【Clip! アカデミー】 第21回2005/10/25
第3週 解説号「心の歴史図を解説する」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【問題の解説】
【Q1】実験心理学の時代に関する問題
【Q2】行動主義の時代に関する問題
【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
のフォント設定のやり方を載せてあります。
==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現在のClip!アカデミーでは、
心の歴史図(仮)を用いて、心理学史を少し違った視点から、
取り上げる試みをしています。
● 心の歴史図(仮)
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
17世紀以前 【 魂→精神→意識 】
17~19世紀後半【 意識 】【 身体 】
20世紀前半:1【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
20世紀前半:2【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半 【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【行動】
====================================
エッセイ号では、
心の歴史図の各年代を、それぞれ個別に解説していきました。
そして問題号では、
心理学史の中でも特に取り上げられることの多い、
◆ ヴントの実験心理学の時代
◆ ワトソンの行動主義の時代
◆ ヴェルトハイマーらのゲシュタルト心理学の動き
について、もう少し詳しく補足的な問題を出題しました。
解説号の今回は、以上の3問について、
心理学史の流れから解説していきたいと思います。
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2)【問題の解説】
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【Q1】実験心理学の時代に関する問題
実験心理学を創始したヴントの影響を示した以下の文章において、
適切な文を○、不適切な文を×とした場合、
選択肢から、正しい○×の組み合わせを選びなさい。
1)アメリカに心理学を広めた
スタンレー・ホール(Hall,G.Stanley.)、J・M,キャッテル(Cattel)、
ティチュナー(Tichener,E.B.)は、ヴント研究室の出身である。
2)ヴントの有名な言葉に、
「心理学の過去は長いが歴史は短い」という言葉がある。
3)クレペリン(Kraepelin,E.)とヴントは同時代人である。
4)ヴントは、ヘルムホルツ(Helmholtz,H.L.F.von)のもとで助手をしていたことがある。
5)ヴントによって初めて出版された心理学の専門紙の名前は、
「哲学研究」だった。
========選択肢========
1) 2) 3) 4) 5)
a. ○ ○ ○ × ×
b. ○ × ○ ○ ○
c. ○ ○ × × ○
d. × × ○ ○ ○
===================
正解は、
【 b. 】
…2)は、エビングハウス(Ebbinghaus,H.)の言葉です。
今回の選択肢は、トリビアというべきもので、
実際に知らなくとも試験や研究に差しさわりがあるものではありません。
ただし、周辺の細かなエピソードは、
その時代に対する我々の興味を膨らませてくれます。
皆さんも、面白い心理学史を目指して、
意外なエピソードをあさってみてはいかがでしょうか。
以下、それぞれの選択肢について。
スタンレー・ホールは、どちらかというと教育学で有名ですが、
アメリカ心理学会の立役者であり、初代会長を勤めました。
彼らは、留学など何らかの形でヴントの研究室にかかわりを持っています。
当時は、心理学の博士号を取れる研究室が
アメリカになかったため、多くの学生が、
学位を取るためにドイツに留学していたのです。
また、精神医学における精神疾患理解の基礎を築いたクレペリンは、
ヴント研究室でも心理学実験を行っていたといわれます。
新しい学問の確立には、
その分野での研究論文を掲載する雑誌の存在が欠かせませんが、
ヴントがはじめて発行した心理学雑誌は、「哲学研究」という名前でした。
のちに「心理学研究」に改称されています。
【Q2】行動主義の時代に関する問題
以下にあげた、人名と理論の組み合わせのうち、
もっとも適切なものを、選択肢から選びなさい。
1)ワトソン(Watoson,J.B.)2)ハル(Hull,C.L.)
2)スキナー(Skinner,B.F.) 4)トールマン(Tolman,E.C.)
A オペラント条件付け(opernt Conditioning) B 認知地図(cognitive map)
C 動因低減説(drive reduction theory) D アルバート坊や
======選択肢=======
1) 2) 3) 4)
a. D C B A
b. D C A B
c. D B C A
d. B A D C
================
正解は、
【 b. 】…BとCを取り違えなければOK
行動主義は、心理学の発展の中で一時代を築き、
最も成果を挙げてきた心の捉え方のひとつといえるでしょう。
初期においては、心や他の構成概念の否定と、
人間の行動を徹底的にS(刺激)-R(反応)の連鎖に解体しうる
という理念によって、心理学研究に新しい領域を開きました。
その後、ハルやトールマンなど、さまざまな立場の登場によって、
その理念は背景に退きましたが、今でも心理学研究の基礎のひとつとして、
多くの研究に、大きな影響力を与え続けています。
アルバート坊やを対象にした嫌悪条件付けの実験は、
学習理論によって、人間の行動を操作することができることを証明し、
それまでの主体的な人間観に大きな衝撃を与えました。
ただ逆に、ワトソンは人間を徹底的な環境の産物と考えたため、
行動主義の考え方は、「教育」というものの価値を高めたともいえます。
スキナーも、教育に大きな関心を示していました。
本メルマガの第2回・第3回でもご紹介した、
彼のプログラム学習や、行動形成の理論は、
今でも教育現場に広く取り入れられています。
特に、障害児教育の現場においては、
受容的・分析的な立場よりも、クライエントの求めるものを
提供しやすいようです。
一方で、ハル、トールマンは、
刺激(S)と反応(R)の間に、媒介変数・中間変数である
有機体(organism)を置き、
S-O-Rの図式を通して、人間を捉えようとしました。
ハルの取り入れた媒介変数のひとつが、動因であり、
トールマンのそれが、認知地図です。
動因や認知といった、観察可能な刺激や反応の中間に仮定される概念は、
初期の行動主義が、“心”と同じく存在しないものとして、
退けたものです。
そのため、彼らは新行動主義と呼ばれました。
この流れは、のちに認知心理学につながっていきます。
【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題
ゲシュタルト心理学と関わりのある以下の4人の
心理学者のうち、仲間はずれと考えられる人物を、
一人選びなさい。
=====選択肢=====
a. ケーラー(Kohler,W.)
b. フェスティンガー(Festinger,L.)
c. レヴィン(Lewin,L.)
d. ヴェルトハイマー(Wertheimer,M.)
=============
正解は、
【 b. 】…初学者ほど答えやすい問題かもしれません。
ゲシュタルト心理学は、まずはじめはヴント流の構成主義、
のちには当時全盛を誇った行動主義へのアンチテーゼであり続けました。
その主張は、科学全般に特徴的であった、
原子論、還元論への抵抗でもありました。
すなわち、自然現象のすべては、
究極的な要素、たとえば“原子”のような存在に分解し、
還元することはできないし、
また、そのような“原子”からすべての現象は解明することができない、
という主張です。
構成主義における“原子”が、
内観によって特定された単純感情、単純感覚であり、
行動主義におけるそれが、SとRでした。
それに対し、ゲシュタルト心理学では、
たとえばゲシュタルトのような、現象の持つ全体性、
還元不可能性を重要視しました。
この主張は、のちに様々な形で心理学に影響を与えていきますが、
ここでは、ゲシュタルト心理学から、社会心理学への流れを指摘したいと思います。
4人のうち仲間はずれとして取り挙げたフェスティンガーですが、
彼は教科書では、ゲシュタルト心理学者というより、
認知的不協和理論を提唱した
社会心理学者として紹介されていることが多いと思います。
ところが、彼はレヴィンの初期の弟子であり、
ゲシュタルト心理学から大きな影響を受けていました。
実際、シャクター(Schachter,S.)やケリー(Kellet,H.)といった
有名な社会心理学者も、レヴィンの下で学んだ人々です。
彼らは人間の社会活動を、
行動主義のように刺激と反応に還元して考えるのではなく、
個人間の認知や緊張関係から導き出されるものと考えました。
フェスティンガーは、知覚から、
ケーラーは学習に、
レヴィンは行動や動機付けに、
要素に還元できないところから人間を規定する
“場”の存在を感じ取っていましたが、
フェスティンガーは、それを人間の社会活動の場に広げたといえるでしょう。
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【次回配信】
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次回 【エッセイ号】… 11月8日(火)にお送りする予定です。
※ 11月1日はお休みです。特別号が配信されることがあります。
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【参考文献】
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● 流れを読む心理学史 世界と日本の心理学 サトウタツヤ 高砂美樹
2003 有斐閣
● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房
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【編集後記】
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今回のQ1のトリビア的情報は、
上のふたつの文献から持ってきました。
どちらも、初学者が受験勉強のために使う最初の参考書としては
使いにくいかもしれませんが、
心理学史自体についての考え方や、
歴史を、心理学者たちの物語として捉えた文献の中では、
とっつきやすく、面白いものだと思います。
よく言われることですが、
やはり参考書は、できるだけ幅広いモノに当たるのがいいでしょう。
特に、まえがきを読んでみることをお勧めします。
その文献の編者が、どんな思いとコンセプトでその文献を
作成したかが、にじみ出てくるためです。
Clip!アカデミーでも、
第1回~第3回を中心に、前回のまとめや編集後記にも、
本メルマガのコンセプトや考え方を掲載しているので、
ご覧になってみてください。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
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2005年10月25日火曜日
【Clip!アカデミー】第21回:解説号「心の歴史図を解説する」
2005年10月18日火曜日
【Clip!アカデミー】第20回:問題号「心の歴史図を解説する」
【Clip! アカデミー】 第20回2005/10/18
第2週 問題号「心の歴史図を解説する」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【それでは問題です。】
【Q1】実験心理学の時代に関する問題
【Q2】行動主義の時代に関する問題
【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
のフォント設定のやり方を載せてあります。
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現在のClip!アカデミーでは、
心の歴史図(仮)を用いて、心理学史を少し違った視点から、
取り上げる試みをしています。
● 心の歴史図
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
17世紀以前 【 魂→精神→意識 】
17~19世紀後半【 意識 】【 身体 】
20世紀前半:1【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
20世紀前半:2【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半 【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【行動】
====================================
前回エッセイ号では、
心の歴史図の各年代を、それぞれ個別に解説していきました。
今回の問題号、次回の解説号では、
心理学史の中でも特に取り上げられることの多い、
◆ ヴントの実験心理学の時代
◆ ワトソンの行動主義の時代
◆ ヴェルトハイマーらのゲシュタルト心理学の動き
について、もう少し詳しく捕捉的な説明をして行きたいと思います。
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2)【それでは問題です。】
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【Q1】実験心理学の時代に関する問題
実験心理学を創始したヴントの影響を示した以下の文章において、
適切な文を○、不適切な文を×とした場合、
選択肢から、正しい○×の組み合わせを選びなさい。
1)アメリカに心理学を広めた
スタンレー・ホール、J・M,キャッテル、ティチナーは、
ヴント研究室の出身である。
2)ヴントの有名な言葉に、
「心理学の過去は長いが歴史は短い」という言葉がある。
3)クレペリンとヴントは同時代人である。
4)ヴントは、ヘルムホルツのもとで助手をしていたことがある。
5)ヴントによって初めて出版された心理学の専門紙の名前は、
「哲学研究」だった。
========選択肢========
1) 2) 3) 4) 5)
a. ○ ○ ○ × ×
b. ○ × ○ ○ ○
c. ○ ○ × × ○
d. × × ○ ○ ○
===================
【Q2】行動主義の時代に関する問題
以下にあげた、人名と理論の組み合わせのうち、
もっとも適切なものを、選択肢から選びなさい。
1)ワトソン 2)ハル 3)スキナー 4)トールマン
A オペラント条件付け B 認知地図
C 動因低減説 D アルバート坊や
======選択肢=======
1) 2) 3) 4)
a. D C A B
b. D C A B
c. D B C A
d. B A D C
================
【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題
ゲシュタルト心理学と関わりのある以下の4人の
心理学者のうち、仲間はずれと考えられる人物を、
一人選びなさい。
=====選択肢=====
a. ケーラー
b. コフカ
c. レヴィン
d. ヴェルトハイマー
=============
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【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回 【解説号】… 10月25日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 流れを読む心理学史 2003 サトウタツヤ 高橋美樹 著 有斐閣アルマ
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【編集後記】
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Clip!アカデミーも、ついに通算20回を数えることになりました。
時間にして、約半年になろうとしています。
細かなミスや、手違いなどもあり、
ときに読者の皆さんに謝罪などしつつも、
ここまで来られたことを嬉しく思っています。
第1回から読まれている方々の中には、
そろそろ大学院の秋受験が一段落、
というかたも多いでしょうね。
受験を終わっても読んでもらえるようなメルマガを目指して、
Clip!アカデミーは、これからも進歩していきたいと
考えています。
これから受験勉強を始める方にも、
これまで受験勉強をしてきた方にも、
受験の予定はないけれど、心理学に関心のある方にも、
何かを持って帰ってもらえるメールマガジンを。
Clip!アカデミーをこれからもよろしくお願いいたします。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
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2005年10月11日火曜日
【Clip!アカデミー】第19回:エッセイ号「心の歴史図を解説する」
【Clip! アカデミー】 第19回2005/10/11
第1週 エッセイ号「心の歴史図を解説する」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
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◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【17世紀以前と、17~19世紀後半】
3)【20世紀前半:1】
4)【20世紀前半:2】
5)【20世紀前半:3】
6)【20世紀後半】
7)【あたらめて、心の歴史図を見る】
8)【心の歴史図の検討点】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
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==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】第1週「エッセイ号」…問題提起
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↓
第4週 基本的にお休み
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↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
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16回から17回までの3回では、
心理学史図としての視点を立ち上げました。
心理学史図は、【魂=精神=意識】の17世紀以前から、
【意識 潜在意識 認知過程 知覚 身体 行動】の6つの側面が
出揃う20世紀後半までの、6つの年代から成っています。
● 心の歴史図(仮)
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
17世紀以前 【 魂→精神→意識 】
17~19世紀後半【 意識 】【 身体 】
20世紀前半:1【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
20世紀前半:2【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半 【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【行動】
====================================
今回から始まる第7サイクルでは、
心理学史図の各年代を、もう少し詳しく解説していきましょう。
※これから心の歴史図を検討していくにあたり、
心理学史を参照しながらの作業になると思います。
しかし、本メルマガでは、
あくまで心理学史の粗雑なダイジェストにはならないように、
気をつけたいと思います。
心理学史は、各自基本的な概論書・教科書から始めて、
勉強を進めてください。
ここでは、心理学を歴史的に眺めるときに、
無味乾燥な人名や年号に押しつぶされないような、
関心の持ち方として、心の捉え方の歴史について論じていたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【17世紀以前と、17~19世紀後半】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
17世紀以前 【 魂→精神→意識 】
科学が台頭してくるまでの一番上の1)では、心的過程は、
【魂→精神→意識】で表されています。
科学が発達する以前の世界観においては、
我々は、科学に還元しきれない心の在り様を取るか、
機械のように完全に組み合わされ、合理的な法則によって全てを
説明できる世界の在り様を取るか、
という難しい選択を迫られるまで、まだいくばくかの猶予がありました。
人間の身体や、物質の在り様も、
魂や精神の在り様と、分かちがたく結びつき、
いずれ、同じ地平で論じることが出来ると考えられていました。
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
【 魂→精神→意識 】
17~19世紀後半【 意識 】【 身体 】
17世紀から19世紀後半にかけては、
心的過程は、分裂し、【意識】と【身体】二つの側面から
説明されるようになります。
【身体】は、精巧な機械として科学の対象になり、
医学や生物学の発展によって、その構造や成り立ちが、
解明されていきます。
しかし、機械として説明しきれなかった部分である【意識】は、
科学的に捉えられることのないまま、
哲学の領域にとどまりました。
ここでいうデカルト的【意識】と、
心理学的【意識】とは、かなり異なるものといえます。
デカルト的【意識】を、科学的に捉えようと夢見たのが、
フェヒナーであり、ヴントでした。
ヴントは、【意識】を、我々が直接感じられる感覚や感情の
積み重ねによって構成された、構造体と考えます。
そして、フェヒナーの精神物理学的実験と、
自らの意識を内観し、それをありのままに報告し、
分析することを通して、科学的に捉えることを目指しました。
人間の中でも、【意識】を研究対象にする学問、
心理学の誕生です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【20世紀前半:1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
【 魂→精神→意識 】
【 意識 】【 身体 】
20世紀前半:1【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
ただ、心的過程に関心を持つ学問は、
決して心理学だけではありませんでした。
むしろ、ヴント心理学の限界は、
他の学問における心的過程への関心を、
心理学の中に引き入れていくことになりました。
それにしたがって、心の捉え方も、
様々なに多様化していくことになります。
20世紀前半においては、
ヒステリー症状や催眠療法といった医学的現象に、
人間の心的過程への関心の高まりが見られます。
フロイトは、ヒステリーや催眠などの研究や臨床実践を通して、
それまでの心的過程の捉え方である、【意識】と【身体】の間にも、
広大な心の領域が広がっていることを確信します。
フロイト以降、
【意識】と【身体】の間に、
潜在的な、もしくは自覚なき意識過程が存在する、
という心の捉え方は、現代に至るまで一般的なものになっていきます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)【20世紀前半:2】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
【 魂→精神→意識 】
【 意識 】【 身体 】
【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
20世紀前半:2【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:1・2・3の3つの年代は、
ほとんど年表的には重なっており、順番をつけることが、
ためらわれるほどです。
言い換えると、
この時期に、心理学は、異なる心の捉え方を、
多数手に入れたということが出来ます。
細胞は激しく分裂・分化を繰り返し、
急激に成長しようとしていました。
その原因は、新しい学問であった心理学において、
ヴント的な心の見方(構成主義)や、捉え方(内観報告など)が、
限界を迎え、心の新しい捉え方を探っていたためです。
その中でも、もっとも力を持ち、
主流となったのは、【行動】という捉え方です。
もはや、心的過程そのものを捉えることを放棄した
行動主義は、心的過程の結果として表出された【行動】、
それも、外的刺激に対する身体的反応と、
両者を結びつけるための単純な法則のみを、
心の在り方として許容しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5)【20世紀前半:3】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
【 魂→精神→意識 】
【 意識 】【 身体 】
【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
ヴント流の構成主義や、行動主義に批判を加え、
心の捉え方として、また異なる視点を付け加えたのが、
ゲシュタルト主義者たちです。
彼らは、錯覚を初めとする知覚の性質を研究する中で、
知覚を含む心的過程には、単なる要素や、刺激と反応の間の、
機械的な結びつきだけでは説明できない性質があることを、
主張しました。
すなわち、今我々が体験している世界は、
単一で、常に全体として変化していきます。
これは、心的過程のどこかに、
無数の刺激を、ひとつの世界に統合するプロセスがあることを、
示しているようでした。
【知覚】は、感覚器という物理的・化学的機械から生じるという意味では、
【身体】に近く、また、知覚している本人にしか、
体験できない、という意味では、主観的な【意識】に近い、
という、独特の位置にあります。
それは、物質的な側面を持ちつつ、
精神的な現象が、【知覚】です。
【知覚】は、ひとつに統合されたものとして成立し、存在します。
それは常に変化していて、決して1つの機械のように、
変わらない構造を保ち続けることはないのです。
心のこの性質のことを、彼らは【ゲシュタルト】と呼びました。
この性質は、今では“システム”という捉え方の一部として、
心理学に影響を与え続けています。
20世紀前半の時代に見られた3つの心の捉え方は、
同時代に出てきたため、政治的にも、
お互いの捉え方を牽制しようとする歴史を持っています。
ただ、現代においては、
【行動】も、【ゲシュタルト】も、
ともに心理学における心の捉え方の、ひとつの側面として、
並列され、許容するのが、一般的な立場です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6)【20世紀後半】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
【 魂→精神→意識 】
【 意識 】【 身体 】
【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半 【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【行動】
さて、心の捉え方が、
歴史的にどのように移り変わり、
多様化してきたかを検討してきましたが、
いよいよ、認知心理学の登場です。
【認知過程】という心の捉え方は、
心理学に、実に多くの変化をもたらしました。
特に重要なのは、
心的過程を、他の側面を許容しうる形式で、
機械論的な枠組みの中に取り込んだことです。
そこで有効だったのが、
情報処理技術の発達による、コンピューターの比喩です。
コンピューターは単なる機械ですが、
理論上は、あらゆる演算が可能なはずであり、
それは、人間の心的過程の演算も可能ということになります。
その仮説は、人間の心的過程とは、
そもそもそうした情報処理のプロセスのことなのではないか、
という結論を導きます。
【意識】と【身体】の間にあるものが、
こうした情報処理のプロセス、【認知過程】である、
と考えると、【ゲシュタルト】という側面も、
認知過程の一部と考えることが可能であり、
潜在意識も、自覚的にアクセスできない認知過程として、
捉えなおすことが出来るのです。
しかも、こうした心の捉え方は、
もとはコンピューターなど、工学的な捉え方から生じているので、
科学的なアプローチを容易にします。
こうして、20世紀後半には、
【認知】という心の捉え方は、心理学者の多くを魅了することになります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
7)【あたらめて、心の歴史図を見る】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以上、心の歴史図を大まかに追ってきました。
あたらめて、
心の歴史図の全体を眺めてみてください。
===時代==|==========心的過程===========|=外界=
17世紀以前 【 魂→精神→意識 】
17~19世紀後半【 意識 】【 身体 】
20世紀前半:1【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
20世紀前半:2【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半 【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【行動】
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今まで検討してきた、
各時代の心の捉え方を、並べてみたとき、
全体としては、どのようなパターン、模様が浮かび上がってくるでしょうか。
筆者に思い浮かぶのは、
受精卵が、ひとつの細胞から、次第に分裂し、
複雑に分化していく様子です。
はじめは、シンプルだった心の捉え方が、
時代を経るにしたがって、
次第に分化し、複雑になっていきます。
これが、心理学をややこしくさせている一因かとも
思われるのですが、
心というものを仮定するにしても、ひとつの捉え方では捉えきれない、
様々な側面を持つ存在ないし概念なのだ、ということができるでしょう。
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8)【心の歴史図の検討点】
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【認知過程】という心の捉え方が、
現代心理学において、いかに力を持っているか、
というところで終わりました。
しかし実際には、認知心理学さえあれば、あとの心理学、
ほかの側面はいらない、というわけではありません。
潜在意識と、認知過程は、
重なるところも多いと考えられますが、
はたして重複するのでしょうか。
特に、フロイト的無意識と、認知過程とは、
どのような位置関係にあるのか。
これは、拠って立つ部分がまったく異なるために、
一筋縄ではいかない問題です。
また、【意識】は、【認知過程】の一部なのか、
あるいは認知心理学から、説明可能か、という問題もあります。
この点については、次回のエッセイ号で、
あたらめて検討していくことにしましょう。
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【次回配信】
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次回 【問題号】… 10月18日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 流れを読む心理学史 世界と日本の心理学 サトウタツヤ 高砂美樹
2003 有斐閣
● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房
● 試験にでる心理学 <一般心理学編> 山口陽弘 高橋美保 2001 北大路書房
● 現代心理学〈理論〉事典 2001 中島義明 編 朝倉書店
● 心理学群像 全2巻 末永俊郎 監修 2005 アカデミア出版会
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【編集後記】
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今、大学院受験の方々は秋入試の真っ只中ですね。
講座の方でも、合格者の方々から、
喜びのご報告が来ています。
受験生の方々も、そうでない方々も、
長く勉強を続けるためには、
勉強を通して、物の見方が変わる、
という瞬間が大切だと思います。
Clip!アカデミーでも、そうした瞬間を、
皆さんと一緒に見つけていきましょう。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
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