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2006年3月28日火曜日

【Clip!アカデミー】第37回:第1週:エッセイ号「心の対象図あれこれ」

【Clip! アカデミー】 第37回2006/3/28
第1週 エッセイ号「心の対象図あれこれ」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/  
      ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【対象はどのような側面に分けられるか】
            3)【構成概念というもの】
            4)【基礎と応用】
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

==================================================================


   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
  ※【今回はこちら!】第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回エッセイ号より、Clip!アカデミーも新章に突入しています。

これまで、Clip!アカデミーの切り口から、
心理学における”こころ”の捉え方に、様々な方向から
光を当ててきました。

それがひと段落着いたところで、
本章では、一歩引いて、”こころ”にとっての、
対象とはなにか、について考えて行きます。

以上のコンセプトから、
”こころ”に対する対象の位置づけを、
大まかに図にまとめてみたのが、
以下の心の対象図(仮)です。

● 心の対象図(仮)
=======================

時間的広がり
  ↑
  |   ┌-----┐   ┌----┐
  |   |”こころ”| ⇔ | 対象 |
  |   └-----┘   └----┘
 ←+-------------------→
  |              空間的広がり
  ↓
=======================

時間的広がりにおける、
”こころ”と対象との関係は、
たとえば、現在の自分(”こころ”)からみた、
過去の自分(対象)になります。

過去の自分自身は、現在の”こころ”からは、
自分の外にある対象になります。

そして、この関係は、【発達】と名づけることが出来るでしょう。

そして、
空間的広がりにおける関係は、
自分(”こころ”)と他人(対象)との関係が挙げられます。

この関係は、【個人差】として捉えることが出来ます。


今回のエッセイ号では、このような“対象”について、
もう少し詳細に検討していくことにしましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【対象はどのような側面に分けられるか】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

“こころ”から見るとき、
そして、科学の目を通してみるときでは、
“対象”は見える側面が異なります。

たとえば、我々が演劇の舞台を見ているとしましょう。

「ドン・キホーテ」
(もしくはミュージカル「ラ・マンチャの男」)には、
ドン・キホーテが風車に挑みかかっていく有名なシーンがありますが、
ここでは、ドン・キホーテには風車は恐ろしい竜に見えている。

我々は風車であることを知っているから、
竜に向かって行く彼の勇気が、コメディになるわけです。

これが、“こころ”から見ることができる“対象”です。

五感や、引き起こされた感情、印象、イメージ。

それは、常に同じではなく、移ろい、変わっていきます。

だからこそ、
張りぼての舞台道具が、風車になったり、竜になったりします。

それが、我々の心の世界だということもできます。

科学の目を通してみるとき、
舞台道具は風車にも、竜にもなりません。

あくまでも、木材やペンキで作られた舞台道具です。

科学は、対象を捉えるとき、
再現可能性や、一般性を重要視します。

つまり、いつ誰から見ても、
変わらない部分を共通の土台として、
それを、研究を通して拡大していこうとします。

ただ、科学の目を通して捉えることのできる対象は、
我々が“こころ”で直接捉えることのできない部分です。

舞台道具に用いられている木の材質や年代だとか、
釘に使われている金属の混合比。
絵の具の原料。

たとえば、空気の中の、酸素と窒素の比率だとか、
光の波長の中でも、エックス線などの放射線などは、
検査装置、すなわち科学の目を通さなければ、
捉えることのできないものです。


ここでは、いつもどおり、便宜的に
前者を“概念”、後者を“実在”と置いて、
議論を進めていくことにしましょう。

       “  対象  ”
     ┌-----┬-----┐
     | 概念  | 実在  |
     └-----┴-----┘
       風車・竜  舞台道具
        風    酸素・窒素…etc.
         

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【構成概念というもの】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ここまでで皆さんは、
心理学が扱うのが、“対象”のなかでも、
主に“概念”の側面、
“こころ”を通して捉えられる側面であることが
分かったでしょう。

しかし、心理学は、
あくまで、科学の目を通して対象を検証していく学問です。

“概念”的な側面を、どのように科学の目から
捉えるのか。

そのために、心理学がよく用いるのが、
構成概念と呼ばれるものです。

構成概念は、対象に関する実験や観察など、
実際の観察の結果から、理論的に構成される概念です。

そのため、構成概念自体は、
実際に観察可能ではない、
人工的に構築された概念なのです。

心理学は、実在する対象について、
色々な実験をしたり、観察したりします。

そして、多くの場合、
人間の“こころ”について検討をする際には、
なんらかの「仮説」を立てることになります。

たとえば、
臨床現場で、繰り返し似た症例を観察した結果、
人間には、人間の行動を規定している動因としての、
【無意識】というものがある、
と仮に考えることにするわけです。

【無意識】という概念によって、
人間の行動や、その理由が整理され、明確に理解できるならば、
その仮説は有効な仮説です。

それが、構成概念(特に仮説的構成概念)と呼ばれるものです。

実は、心理学において“こころ”を研究するという場合、
こうして形成された、構成概念の確からしさや、
特徴を検証する、ということである場合が多いのです。

             “  対象  ”
┌------┐   ┌-----┬-----┐
| 構成概念 | → | 概念  | 実在  |
└------┘   └-----┴-----┘
    ↓         ↓    ↓
  【無意識】  →    竜    風車

この例の場合、
少々通俗的で、的外れなたとえになりますが、
「風車」が「竜」に見えるのは、ドンキホーテの中の、
巨大なものに対する「無意識」的な恐怖が風車に向けられたためだ、
と考えるわけです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)【基礎と応用】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


同じ心理学の中でも、
取り扱う側面によって研究の対象に違いがでてきます。

そして、この違いは、基礎心理学と、応用心理学では、
より大きくなります。

その主な守備範囲を、大まかに区分したのが、
以下の図です。

● 心の対象図2(仮)
=============================

 ┌-----┐   ┌-----------┐
 |”こころ”| ⇔ |     対象    |
 └-----┘   └-----------┘
                 ↓
┌------┐   ┌-----┬-----┐
| 構成概念 | + | 概念  | 実在  |
└------┘   └-----┴-----┘
                  ======
                   自然科学
                  (大脳生理学等)
            ============
               基礎心理学
 =================
       臨床心理学

=============================

基礎心理学は、観察可能な研究対象から、
“こころ”にアプローチし、構成概念を生み出します。

一方で、
応用心理学である臨床心理学では、
基礎心理学が生み出した構成概念(=心の捉え方)を通して、
個々の対象(クライエント)にかかわっていく、といえるでしょう。

基礎心理学 = モデル化(構成概念の構成)
┌------┐   ┌-------┐
| 構成概念 | ← | “対象”  |
└------┘   └-------┘
    
臨床心理学 = 構成概念から個々の“対象”へ
┌------┐   ┌-------┐
| 構成概念 | → | “対象”  |
└------┘   └-------┘

臨床心理学の仕事のひとつは、
概念と、構成概念を足がかりにして、
基礎心理学が構築した研究成果を、
実在する対象に結び付けていく、
概念と実在の橋渡しをすることだといえます。

ここに、
臨床心理学を実践の場で用いるうえで、
その前提に存在する基礎心理学の知識と考え方
を身に着けておくことの必要性があるのです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【問題号】… 4月4日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● ドン・キホーテ<前篇1> 2001 M・セルバンテス著 
  牛島信明訳  岩波文庫

● 心理学論の誕生 サトウタツヤ 渡邊芳之 尾見康博 2000 北大路書房
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


去年の3月25日に【準備号】をお送りしてから、
本メールマガジン【Clip!アカデミー】も、
丸一年が経過しました。

ひとつの側面からでは捉えきれない、
”こころ”についての学問である、心理学。

それを勉強する人たちのために、
すこしでもお役に立てばと思い、
参考書とはまた違った角度から、
心理学について検討してきました。

よりよいものにするための
試行錯誤を忘れず、
4月からも、心機一転、
新しい進路に進む方たち、
これからのための勉強を始める人たちと、
ともに歩んでいきたいと思います。

これからも、
【Clip!アカデミー】を、
よろしくお願いいたします。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   

2006年3月14日火曜日

【Clip!アカデミー】第36回:解説号「心の対象図」

【Clip! アカデミー】 第36回 2006/3/14
第3週 解説号「心の対象図」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/
  
    
         ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【問題号の解説】
            【Q1】心理学における対象についての問題
            【Q2】個人差に関する問題
            【Q3】ダーウィンの進化論に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
  ※【今回はこちら!】第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前々回から、新章「心の対象図」の検討に入っています。

これまで、Clip!アカデミーの切り口から、
心理学における”こころ”の捉え方に、様々な方向から
光を当ててきました。

それがひと段落着いたところで、
本章では、一歩引いて、”こころ”にとっての外にある、
対象とはなにか、について考えて行きたいと思います。

以上のコンセプトから、
”こころ”に対する対象の位置づけを、
大まかに図にまとめてみたのが、
以下の心の対象図(仮)です。

● 心の対象図(仮)
=======================

時間的広がり
  ↑
  |   ┌-----┐   ┌----┐
  |   |”こころ”| ⇔ | 対象 |
  |   └-----┘   └----┘       
 ←+-------------------→
  |              空間的広がり
  ↓
=======================

時間的広がりにおける、
”こころ”と対象との関係は、
たとえば、現在の自分(”こころ”)からみた、
過去の自分(対象)になります。

過去の自分自身は、現在の”こころ”からは、
自分の外にある対象になります。

そして、この関係は、【発達】と名づけることが出来るでしょう。

そして、
空間的広がりにおける関係は、
自分(”こころ”)と他人(対象)との関係が挙げられます。

この関係は、【個人差】として捉えることが出来ます。

以上のおさらいを前提に、
前回は、補足的な問題三題を出題しました。

今回の解説号では、その解説をしていきたいと思います。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【 問題号の解説 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【Q1】心理学における対象についての問題

心理学における対象とは主にどのようなものを指すか。
心理学の射程から外れるものを次の選択肢から
ひとつ選びなさい。

   ===選択肢===

    a. 人間関係
    b. 象徴
    c. 石
    d. ハチ公

   =========

正解は、  【 c. 】
…厳密には、物自体としての石は、心理学的対象の外にあります。



前回のエッセイ号をお読みになった方の中には、
心理学の対象とはなんだろうか、と思った方もいるでしょう。

そのため、ここで補足するための設問を作りました。

物理学などの、自然科学では、
対象とは、主観の余地を排した、
客観的な観察の対象です。

それは、我々の“こころ”とは無関係に
存在しているものとして扱われます。

しかし、心理学における対象は、
それとは微妙にズレがあります。

心理学における対象とは、
物理学的な対象であるほかに、
我々が主観的に認識している対象です。

“こころ”から見て、外にあるものとして認識されるものは、
すべて対象になります。

これはつまり、対象には、
我々が渋谷駅でハチ公像を認識する場合、
渋谷駅前にある、犬に似ている石の塊と、
我々が認識している「ハチ公」との、二つの側面があるということです。

哲学や言語学など、様々な領域をまたがる議論が必要なので、
ここでは「そんなようなもの」として捉えておきましょう。

心理学が対象としてきたのは、
もちろん、我々が認識している「ハチ公」の方です。

なぜなら、心理学は
あくまで人間が自分の“こころ”を通じて
見た外の世界の認識の仕方、
また、それとの関わり方、の方に興味があるからです。

逆に言えば、我々は、「ハチ公」や「石」という枠組みを、
その物体から完全にはずして見ることができません。

このことは、統合失調症患者の外界認知や、
人間の認識そのものに関係するテーマですが、
いまだ哲学の射程にあり、心理学的に検討できるところまでは
きていません。


【Q2】個人差に関する問題

個人差研究を行った以下の人物について、
心理学者と、心理学者以外とに分けなさい。

1) ガレノス 2) クレッチマー
3) ビネー  4) オルポート

心理学者… ○ 心理学者以外… ×

 =======選択肢========

      1) 2) 3) 4)

  a.   ×  ○  ×  ○
  b.   ×  ○  ○  ○
  c.   ×  ×  ○  ○
  d.   ×  ×  ×  ○

 ==================


正解は、 【 c. 】
…クレッチマーはドイツの精神科医です。

 精神病患者の観察から、健常者の性格も、
 体格から、躁鬱気質、分裂気質、粘着気質に分類できると考えました。


この問題は、少し意地悪な問題でした。

今回皆さんに注意を向けてもらいたかったのは、
個人差研究と、心理学との関係についてです。

ガレノスは2世紀頃ギリシャで代表的な
医者であり、当時の解剖学的見地から、
人間の性格の違いを、からだをめぐる4つの体液の
優劣から説明しようとしました。

クレッチマーは、
上述のとおり、20世紀初頭に活躍した
天才肌の精神科医であったとされています。

ビネーとオルポートに関しては、
いうまでもないでしょう。

ビネーは知能検査の生みの親であり、
オルポートは、個人差研究に特性論を導入した人物です。

以上の概念は、どれも心理学の教科書に載っている、
個人差研究における基本的な知識です。

しかし、ここらから読み取れるのは、
個人差研究は心理学以前から存在した、ということです。

今でこそ、パーソナリティ・テストや知能テストなど、
個人差を測定する検査は心理学の専門分野のひとつです。

とはいえ実際には、
占いから疑似科学に至るまで、
個人差に関する理論化は古今東西様々な形で行われてきました。

なぜそのような昔から、
個人差に関する理論が求められてきたのでしょう。

それは、正しさや、科学性の問題とは別に、
手相であれ、血液型であれ、
個人差に関する理論を持つことは、他人の行動を推測する上で役に立つためです。

その例は、ブルーナーらが行った、
暗黙の人格理論に関する実験にも見ることが出来ます。

心理学における個人差研究も、
心の働きを解明することで、個人差を説明できる、という前提から、
信頼性が高いと考えられますが、
実際の運用の面では、同様の理由から求められることも少なくありません。

標準化されていない心理占いと、
ロールシャッハテストを同列に扱われることは、
心理学を勉強した人間にとっては抵抗があることもあります。

しかし、心理学を臨床的に運用していくならば、
科学的な側面と、実際的な側面、この二つを、
バランスよく見る視点が必要になるのです。




【Q3】ダーウィンの進化論に関する問題

以下の進化論の中から、チャールズ・ダーウィンが提唱し、
当時の社会や学問に多大な影響を与えた理論を選びなさい。


==========選択肢=============

 a. 自然淘汰による適者生存
 b. 要らない器官が退化し、必要な器官が発達する
 c. 遺伝子の突然変異
 d. 個体発生は、系統発生を繰り返す

==========================

正解は、   【 a. 】
…ダーウィンは、生物学における地道な研究から、
人間は、神によって作られたのではなく、
 自然淘汰の繰り返しにより、環境に適応した種が生き残った結果
 生まれたと考えました。

ダーウィンの進化論は、以後の学問や思想に大きな影響を与えました。

単純な生物から、複雑な生物へと進化していく、
というイメージは、遺伝子の発見など、他の生物学的な根拠が
多数発見される中で、次第に人間そのもののイメージをも
変化させていったとさえいえるでしょう。

母親の胎内にいる様々な種の胎児を比較してみると、
人間の胎児は、受精卵の状態から、
魚類や鳥類、哺乳類の胎児に似た状態を経て、
人間の胎児らしく成長していくことが見て取れます。

これを見て、「個体発生は系統発生を繰り返す」、
といった学者さえいました。

人類の進化に関する理論は、
学者たちに様々なイメージを掻き立てましたが、
実際には、ダーウィンの進化論も多くの批判を受けており、
いまだ、ハッキリとはしていないのが現状です。

しかし、ここから“こころ”を心的な器官と考え、
身体器官と同様に、受精卵からの発生と発達を研究する、
という発想までは、一足です。

フロイトの精神-性的発達の理論を含め、
その意味で、ダーウィンが心理学に与えた影響は、
非常に大きいということができるでしょう。

ただし、発達心理学の教科書を開いても、
こうした生物学上の議論が紹介されているものは、
多くはありません。

「心理学」の教科書である以上、
それは仕方ないことでもあるのですが、
心理学が、「人間」というものを、あまりに当たり前のものとして、
自明視している点もあるかもしれません。

“こころ”の議論は、
身体や人間という実在物を、明白な前提にしていますが、
それさえも、生物学の世界では、
明白な実在物とはいえないのです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【エッセイ号】… 3月28日(火)にお送りする予定です。
   
※ 次週3月21日(火)は休刊です。特別号が配信されることがあります。


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【参考文献】
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● わかりたいあなたのための現代思想・入門 小阪 修平 志賀 隆生 
  竹田 青嗣著 2000 宝島社

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣

● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房

● 図解現代の心理学2-人間性の発達- 南博 監訳 藤永保 訳 
  1975 講談社 

● しっかり学べる発達心理学 桜井茂男 大川一郎著 1999 福村出版

● 発達心理学への招待 柏木恵子 古澤頼雄 宮下孝広 著 1996
  ミネルヴァ書房


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【編集後記】
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   【ブログ立ち上げ!】

春といえば、
始まりの季節。

新しいスタートには、不安がつきものだと思います。


勉強の仕方や、心理業界の動き、これからの受験の流れ、
本講座やメルマガの活用法などなど・・・。

知っておいた方がいいことは、
すべて押さえてありますか?

ここが分からない、
分からないことが出て来たら、
どこで聞けばいいの?

という皆さんのために、
臨床心理士指定大学院受験講座では、
この春から、
皆さんの様々な質問にお答えしていく
ブログを立ち上げていく予定です。

つきましては、
立ち上げにあたって、
皆さんの日々のちょっとした疑問、
講座やメルマガについて聞きたいことなど、
ブログで聞いてみたい質問をお寄せください。

別に、受験に関係のない質問、
受験の予定のない方からの質問も大歓迎です。


● Clip!アカデミー事務局

   ↓ コチラ ↓
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
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2006年3月7日火曜日

【Clip!アカデミー】第35回:問題号「心の対象図」

【Clip! アカデミー】 第35回 2006/3/7
第2週 問題号「心の対象図」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

  
      ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【それでは問題です】
            【Q1】心理学における対象についての問題
            【Q2】個人差に関する問題
            【Q3】ダーウィンの進化論に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
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 ※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題 
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         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


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1)【前回のまとめ】
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前回から、新章「心の対象図」の検討に入っています。

これまで、Clip!アカデミーの切り口から、
心理学における”こころ”の捉え方に、様々な方向から
光を当ててきました。

それがひと段落着いたところで、
本章では、一歩引いて、”こころ”にとっての、
対象とはなにか、について考えて行きたいと思います。

以上のコンセプトから、
”こころ”に対する対象の位置づけを、
大まかに図にまとめてみたのが、
以下の心の対象図(仮)です。

● 心の対象図(仮)
=======================

時間的広がり
  ↑
  |   ┌-----┐   ┌----┐
  |   |”こころ”| ⇔ | 対象 |
  |   └-----┘   └----┘       
 ←+-------------------→
  |              空間的広がり
  ↓
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時間的広がりにおける、
”こころ”と対象との関係は、
たとえば、現在の自分(”こころ”)からみた、
過去の自分(対象)になります。

過去の自分自身は、現在の”こころ”からは、
自分の外にある対象になります。

そして、この関係は、【発達】と名づけることが出来るでしょう。

そして、
空間的広がりにおける関係は、
自分(”こころ”)と他人(対象)との関係が挙げられます。

この関係は、【個人差】として捉えることが出来ます。

以上のおさらいから、
今回は、補足的な問題を三題出題です。


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2)【それでは問題です】
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【Q1】心理学における対象についての問題

心理学における対象とは主にどのようなものを指すか。
心理学の射程から外れるものを次の選択肢から
ひとつ選びなさい。

   ===選択肢===

    a. 人間関係
    b. 象徴
    c. 石
    d. ハチ公

   =========


【Q2】個人差に関する問題

個人差研究を行った以下の人物について、
心理学者と、心理学者以外とに分けなさい。

1) ガレノス 2) クレッチマー
3) ビネー  4) オルポート

心理学者… ○ 心理学者以外… ×

 =======選択肢========

      1) 2) 3) 4)

  a.   ×  ○  ×  ○
  b.   ×  ○  ○  ○
  c.   ×  ×  ○  ○
  d.   ×  ×  ×  ○

 ==================


【Q3】ダーウィンの進化論に関する問題

以下の進化論の中から、チャールズ・ダーウィンが提唱し、
当時の社会や学問に多大な影響を与えた理論を選びなさい。


==========選択肢=============

 a. 自然淘汰による適者生存
 b. 要らない器官が退化し、必要な器官が発達する
 c. 遺伝子の突然変異
 d. 個体発生は、系統発生を繰り返す

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【次回配信】
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   次回 【解説号】… 3月14日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● わかりたいあなたのための現代思想・入門 小阪 修平 志賀 隆生 
  竹田 青嗣著 2000 宝島社

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣

● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房

● 図解現代の心理学2-人間性の発達- 南博 監訳 藤永保 訳 
  1975 講談社 

● しっかり学べる発達心理学 桜井茂男 大川一郎著 1999 福村出版

● 発達心理学への招待 柏木恵子 古澤頼雄 宮下孝広 著 1996
  ミネルヴァ書房

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【編集後記】
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そろそろ卒業式のシーズンですね。

今年は桜の開花が早く、
卒業式にはちょうどいいかもしれませんが、
入学式までには終わってしまうかもしれないそうです。

卒業の後には、
新しい始まりがあります。

Clip!アカデミーでも4月から、
読者の皆さんとインタラクティブにつながるための、
様々な企画を考えています。

次号から、順次お知らせしていく予定です。

おたのしみに!



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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
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