【Clip! アカデミー】 第49回 2006/7/25
第2週 問題号「心の関係図の行き先」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【それでは問題です】
【Q1】認知過程に関する問題
【Q2】例外に関する問題
【Q3】集団の性質に関する問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
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●心の関係図2
==========================
個人1
↑↓ 規範
個人2(→ 関係性 )→ → 集団文化
↑↓ =+α 構造
個人N
==========================
前々回のエッセイ号では、
関係性の議論の中で、
関係性には大まかなパターンはあるものの、
常に、パターンから予測される結果を外れるような意外性、
遊びが存在している、と指摘しました。
関係性のこうした特徴が失われる、
すなわち、パターンから外れるような遊びがなくなると、
パターンは硬直し、Aという刺激にはBという反応、
という特定のパターンが、
様々な側面に見られるようになります。
心理療法は、
こころの様々な側面に見られる、
このような特定のパターンに注目し、
治療に用いています。
問題号と解説号では、
具体例を挙げながら、
もう少し詳細な事項を論じていきましょう。
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2)【それでは問題です】
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【Q1】認知過程に関する問題
心理療法において、
【認知過程】に生じる硬直したパターンとみなすことができないものは、
以下のうちどれか。もっとも適当と思われる選択肢を挙げなさい。
====選択肢====
a. 過度の一般化
b. 原因帰属
c. 二分割思考
d. 自己関連付け
===========
【Q2】例外に関する問題
短期療法において重視される「例外」とは、
どのような状況を指すか。
以下の選択肢の中から、もっとも不適切なものを選びなさい。
===========選択肢===============
a. 授業参観中、母親の前では給食を食べることが出来た。
b. 家族との関係は悪いが、叔父との関係は良い。
c. 子どもは嫌いだが、口では「好きだ」という。
=============================
【Q3】集団の性質に関する問題
A~Dにあげた集団を、
目的達成の機能が強い順に並べた場合、
もっとも適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。
A サークル B 家族 C 軍隊 D エンカウンターグループ
========選択肢======
強い←目的達成機能→弱い
a. A > B > C > D
b. A > C > D > B
c. C > B > A > D
d. C > A > B > D
=================
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【次回配信】
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次回 【解説号】… 8月1日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳 大野 裕 著
2003 創元社
● 家族内パラドックス 長谷川啓三著 1987 彩古書房
● エンカウンター・グループ 人間信頼の原点を求めて
カール・ロジャーズ著 畠瀬稔訳 畠瀬直子訳 1973 ダイヤモンド社
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【編集後記】
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前回から、臨床にも大きく関わる話になっています。
関係性に関する今回の議論は、
あまり概論的な話でもないし、
特定の理論的バックグラウンドに立脚した、
なんらかの論争につらなる内容でもありません。
関係性なるものを、
一般的な研究の対象として取り上げることは、
なかなか難しいことだからです。
ただ、関係性にもっともコミットしているのが、
やはり心理学の中でも臨床心理学、心理療法の分野だという
結論が出てきたことは、
非常に面白いところだと思います。
関係性を用いた集団療法的方法論が、
ともすればファシリテーターの
職人的な技能に追うところが多く、
理論的には、シンプルなもの以外、
必要としていないようにみえるところも、
こうした側面にコミットしているからなのかもしれません。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2006年7月25日火曜日
【Clip!アカデミー】第49回:問題号「心の関係図の行き先」
2006年7月18日火曜日
【Clip!アカデミー】第48回:エッセイ号「心の関係図の行き先」
【Clip! アカデミー】 第48回 2006/7/18
第1週 エッセイ号「心の関係図の行き先」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【関係性について、再確認】
3)【パターンとゆらぎ】
4)【関係性の在り様】
5)【個人の心的プロセスにおける関係性】
6)【関係性はどこにあるのか】
7)【【身体】における関係性】
8)【関係性としてのこころ】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】 第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
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心の関係図の検討も、今回で3回目になります。
今回エッセイ号では、
仮に立てた図式である心の関係図を相対化する中で、
その欠点と限界について検討していきたいと思います。
これまでの心の関係図の検討においては、
関係としてのこころ、を探るために、
集団について検討してきました。
●心の関係図2
==========================
個人1
↑↓ 規範
個人2(→ 関係性 )→ → 集団文化
↑↓ =+α 構造
個人N
==========================
その中で、集団はそれを構成する個人の総和以上の存在であること、
そして、集団の中でうまく捉えることが難しい、
個々人の間の関係性の部分こそ、
その総和以上の部分、すなわち、+αの部分なのではないか、
という問いを発見したのでした。
問いを発見したというのは、
ここでは、それ以上の検討が出来ないためです。
エッセイ号は、
あくまで読者の皆さんの中にある心理学のイメージを、
様々な角度から検討することで、
豊かに、自由に膨らませることを目的としています。
「もしかしたら、こんな風にも見えるのではないか」
そのような視点や問いに結びついてこそ、
知識は人間の一部になる。
現場に出て、異業種の同僚や、クライエントの人たちに、
平板な知識や技法を押し付けないためにも、
知識ではなく、心理学の持つ、
モノの見方を身に付けるように心がけましょう。
話がそれました。
心の関係図の中で、関係性という言葉で表現した部分。
集団が、心のメタファーになりうるとしたら、
関係性とは、いったい心のどのような側面を捉えているのでしょうか。
今回は、そこから論を進めて行きましょう。
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2)【関係性について、再確認】
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関係性について、もう一度まとめてみましょう。
●心の関係図2
==========================
個人1
↑↓ 規範
個人2(→ 関係性 )→ → 集団文化
↑↓ =+α 構造
個人N
==========================
関係性は、客観的に把握しにくい部分です。
集団においては、集団の維持と、目的達成のために、
個人と個人の間で多くの相互作用が生じています。
ここでの関係性とは、
いうなればこの継続的な相互作用に現れる、
なんらかのパターンのようなものです。
家族を例に取りましょう。
あなたが、帰宅すると着替えてすぐ、
居間に座ってテレビをつける、という習慣を持っている
とします。
居間に座ったとたん、「…はぁ」とため息とついたとき、
「何かあったの?」と聞いてきたのは誰でしょうか。
それは、お母さんかもしれないし、旦那や奥さん、
兄弟かもしれません。
一人暮らしの方なら、猫かもしれませんね。
ここに、関係性のパターンの一端が現れています。
あなたは、居間に座ってため息をつけば、
誰かがその理由を尋ねてくれることを、
どこかで予測していたからこそ、ため息をついたのです。
家族療法や短期療法では、
こうした家族関係のパターンの中でも、
悪循環と呼ばれる、
問題を維持する方向に生じているパターンに注目することがあります。
交流分析において、ゲームとよばれる概念も、
こうした硬直したパターンをうまく表現しています。
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3)【パターンとゆらぎ】
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しかし、パターンという言葉に、
あまりこだわらないようにしましょう。
なぜなら、
あまりに明確なパターンは、
関係性のあり方としては、自然なものではないからです。
「彼女は彼が彼女を欲することを欲する
彼は彼女が彼を欲することを欲する
彼に彼女を欲せしめるために
彼女は彼を欲するふりをする
彼女に彼を欲せしめるために
彼は彼女を欲するふりをする。」
「結ぼれ」(R.D.レイン;1997)より
ここに取り上げた「彼」と「彼女」のパターンは、
構造としては非常にシンプルです。
相手から求められたいために、
相手を求めるふりをする。
↓ ↑
相手が自分を求める「ふり」をしているのを見ると、
自分を本当に求めていないのかと感じる。
彼らは、もはや硬直したパターンから逃れられず、
堂々巡りを繰り返す関係性の泥沼にはまり込んでいます。
しかし、
逆に健康な集団、個人においては、
関係性はこのように明確なパターンとして取り出すことが出来ません。
全体としてはおぼろげなパターンらしきものがありながら、
もっとあいまいで、わかりづらく、常に流動している。
なぜかというと、
継続的な関係においては、ある働きかけをするさい、
相手がどのような反応をするかをある程度予測することができます。
とはいえ、予測が当たるかどうかは、
実際に働きかけをしてみるまで分からない。
そのため、全体としてはパターンがありつつ(=予測可能)、
結果には、一定の揺らぎや遊びが生じることになるのです。
全体としては相互作用のあり方や結果が、
一定のパターンを持っているのに、
アウトプットは多様になるところに、
関係性の自然で豊かなあり方があるのだといえるでしょう。
こうしたゆらぎは、
なかなか統計的手続きによって、
表現することが困難なように感じます。
現在広く用いられている統計的手続きは、
あいまいな例外を切り捨てることで、
存在するパターンを強調して、
明確なものとして取り出すことを目的としているためです。
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4)【関係性の在り様】
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このため、集団内における個々人間の関係性を、
明確に同定しようとすればするほど、
自然な関係性とはかけ離れていくことになります。
先ほどのように、明確に取り出すことの出来るのは、
硬直し、機能不全に陥った関係性だけだからです。
関係性を明確に同定しようとすればするほど、
自然な関係性から離れていく。
これがおそらく、関係性という側面の、
研究が難しい理由だといえるでしょう。
そして、無理に一般化可能な統計上の結果や、
再現可能な法則性を求めれば、一部の病的なパターンを、
人間の関係性全体に当てはめることにもなりかねません。
我々は、健康な人々について、
まだ多くを知らないのだということは、
常に意識しておく必要があります。
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5)【個人の心的プロセスにおける関係性】
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これを承知の上で、
個人の心的プロセスにおいて、
関係性がどのように存在しているか、
について検討してみましょう。
まず単純に、個人と集団を、
比較してみたいと思います。
実際は、集団と個人が一対一で対応するわけがないし、
似ていないところを切り捨てることで、
先ほどのように関係性の特性を損ないかねない危険性があります。
それでも、心理学に統計的手続きが必要なように、
関係性について、なんらかのイメージを
喚起するためには、
我々には比喩と比較が必要なのです。
●心の関係図(仮)
==========================
個人1 |
↑↓ 規範 |
個人2(→ 関係性 )→ → 集団文化 | ⇔ 外部
↑↓ =+α 構造 |
個人N |
==========================
●心の構造図(仮)
┏━━┳━━━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
┃ ┃ | | ┃ ┃ |
┃ ┃ 知覚 | | ┃ ┃ |
┃意識┃ゲシュタルト|潜在意識|認知過程┃身体 ┃行動| ⇔ 外部
┃ ┃ | | ┃ ┃ |
┃ ┃ | | ┃ ┃ |
┗━━┻━━━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛
※ 心の構造図については、第4回「心の側面をどう捉えるか」
を参照のこと。
http://k.d.mail-magazine.co.jp/t/k9wv/50nm88z01a6qjphz37
個人の内的な側面の中では、個人や関係性、規範・構造、集団文化に
あたるのは、どのような側面でしょう。
●個人→【身体】…個人や集団を形作る、もっとも基本的な側面。
【行動】…観察可能で、もっとも基本的な側面。
●規範・構造→【認知過程】…コンピューターにおけるプログラムのように、
個人や集団の働きを支えている側面。
この辺までは、納得してくれる人も多いのではないでしょうか。
●集団文化→【人格】…このへんになると、あやしくなってきます。
「その人らしさ」な部分、といえるでしょうか。
ほかにも、ヴントらが活躍した時代には、集団にも、
個人の【意識】にあたる、
「集団心」「民族心」「集団表象」といったものが
想定されていました。
関係性は、どこにあたるのでしょうか。
【知覚・ゲシュタルト】か、
【潜在意識】か、あるいは【意識】の側面か。
どれもしっくりきません。
無理にこじつけると、
科学もどき、の世界に突入してしまいそうです。
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6)【関係性はどこにあるのか】
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…行き詰ってしましました。
このあたりが、心の関係性図の限界かもしれません。
もう一度、関係性のイメージに立ち戻って
考えてみましょう。
集団において、
関係性は、継続的な相互作用に現れるパターンであって、
しかも、全体としてはパターンがあるようにみえつつも、
常にゆらぎ、流動しているような存在でした。
これは、個人の内部では、
どのような部分に現れているでしょうか。
とここまで論を進めると、
関係性を、人間を形作る部品のひとつにように
扱うこと自体が、まちがいのように見えてきました。
たとえば、
関係性とは、【身体】や【行動】【認知過程】など、
個人の様々な側面における、
様々な相互作用の中に生じているものなのかもしれません。
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7)【身体】における関係性
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【身体】を例にとって検討してみましょう。
身体動作に対する、
心理療法的アプローチとして、
一定の成果をあげている臨床動作法(動作療法)では、
個人の身体運用の結果として生じる、
慢性緊張を重視します。
「肩に力が入っている」という慣用句にあるように、
心理的な緊張をすると、
肩の筋肉が不当に緊張することは、
多くの人が体験することです。
しかし、何をするにも、常に肩の筋肉が緊張する、
すなわち、慢性緊張になるということは、
その人の、身体の動かし方に、
非常に明確で、しかも硬直したパターンがある、
と考えることが出来ます。
この場合、
たとえば歯磨きをするときでも、
歯を磨こうという意図から始まって、
歯を磨くという一連の協調運動の中に、
肩に力を入れるというプロセスが紛れ込んでいる。
協調運動という、
様々な感覚器、神経系、筋肉の間の無数の相互作用
によって達成される運動が、無数に繰り返される。
協調運動自体は、
【身体】だけでなく、
【認知過程】や【行動】など、
様々な側面が関与することで行われるプロセスですが、
どうやら、そのパターンの一端が、
【身体】の側面に現れる、
と考えることが出来そうです。
そう考えると、
認知療法でよく知られているようなうつ病特有の認知の偏りも、
【認知過程】の側面に現れた硬直したパターンの一端である、
と考えることができるかもしれません。
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8)【関係性としてのこころ】
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7)【身体】における関係性
関係性とは、なんらかの要素の間で、
継続的な相互作用が生じているときの、
パターンの在り様ということができます。
個人と個人の間の、
コミュニケーションの在り様を人間関係といいます。
個人の内的プロセスにおいても、
様々な要素が無数の相互作用を行っています。
そうした相互作用のパターンの在り様を、
関係性としてのこころ、ということができるでしょう。
そして、そうしたパターンは、
ある程度規則性がありつつも、揺らぎや遊びによって、
幅があり、必ずしも同じような結果を生み出さない。
個人における関係性というものを検討してみると、
心理学の中でも、特に心理療法の概念の中に、
参考になるものが多くあることは、
興味深い点です。
特に、治療機序、
すなわち治療が効果を発揮するメカニズムに、
深く関与しているのです。
集団に生じる問題も、
問題を維持している硬直したパターン=悪循環を、
効果的に断ち切ることで、
解消されると説明されます。
臨床動作法では、慢性緊張をすぐに解消することを
直接目指すわけではありませんが、
問題に関わる身体の動かし方のクセ=パターンを見抜き、
そのパターンを、動作課題を通じて変えていくことで、
クライエントの体験世界自体が変容し、
問題の解消につながっていくと考えるわけです。
認知療法が、
過度の一般化、自己関連付け、二分割思考など、
認知の歪み、自動思考などと呼ばれる、
うつ病患者などによく見られる思考のパターンを、
解消することを目指すことも、よく知られています。
関係性の側面は、
あいまいで、つかみどころがないからこそ、
こころの中でも、そこに働きかけることによって、
人間の中に、何か新しい変化へのきっかけを生み出していくような、
可能性に満ちた部分なのかもしれません。
そのよさを損なわない形で、
関係性の在り様を良く知ることが、
これからの心理学においても、
大きなテーマになっていくかもしれません。
そのとき、各々の心理療法が培ってきた、
関係性についての繊細な知識が、
役に立つかもしれません。
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【次回配信】
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次回 【問題号】… 7月25日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 臨床動作法の基礎と展開 日本臨床動作学会 2000 コレール社
● こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳
大野 裕 著 2003 創元社
● 結ぼれ R.D.レイン著 村上光彦訳 1997 みすず書房
● 家族内パラドックス 長谷川啓三著 1987 彩古書房
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【編集後記】
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こうした思考実験は、
学問には不可欠な態度ですが、
ある意味で“遊び”であり、
まじめな仮説検証や受験勉強に、
直接結びつくものではありません。
ですが、既存の知識を使ってのこうした“遊び”こそ、
学問の喜びや楽しみの、かけがえのない一部であることを、
皆さんにも知ってもらいたい、
とClip!アカデミーでは考えています。
現在、臨床心理学においては、
学問についての基本的な志向性を持たず、
受験勉強の延長として大学院を目指す人々が大勢います。
ですが、本来大学院とは、
専門分野についての共通の基礎知識を持ち、
こうした学問の楽しみを知っている人たちが、
集う場所なのです。
大学院受験を目指す方は、
大学院でも、このような、自由で、
ある意味無責任な議論を、
たくさん持ってもらいたいと思います。
====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2006年7月4日火曜日
【Clip!アカデミー】第48回:解説号「心の関係図を広げる」
【Clip! アカデミー】 第48回 2006/7/4
第3週 解説号「心の関係図を広げる」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
【Q1】集団の力学に関する問題
【Q2】集団の研究法についての問題
【Q3】集団と学問領域に関する問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
※【今回はこちら!】第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
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2)【問題の解説】
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【Q1】集団の力学に関する問題
企業における不祥事隠しが、最近マスコミをにぎわせている。
外部に対して不祥事を隠し続けるという決定が、
集団討議を通じて形成されるとき生じている現象として、
もっとも適当な概念を以下の選択肢から選びなさい。
====選択肢====
a. コーシャス・シフト
b. リスキー・シフト
c. 集団思考
d. 集団極性化
===========
正解は、 【 a. 】
…コーシャス・シフトは、
集団極性化のひとつです。
集団討議を経て意思決定を行うプロセスは、
集団意思決定と呼ばれ、
K・レヴィンらの始めたグループダイナミックスにおいて、
重要な研究テーマとなりました。
その中でも、
概論書で取り上げられることの多い、
代表的な研究成果に、集団極性化が挙げられます。
集団極性化では、
特定のテーマについて集団で討議を経て意思決定を行う場合、
結論は、個々人が持っている傾向を助長し、
極端にしたものになりやすい、とされます。
あるサッカーファンが、
テレビの前で試合の審判に不満を感じたとします。
確信はないけれど、
やっぱりあれは誤審じゃないだろうか。
彼が翌日、昨日の試合に不満を持っている友人たちと
審判について議論した後では、
事実は脇に置いて、誰もが、あれは誤審にちがいない、
という印象を強くしているかもしれません。
もともとのテーマがリスキーなものだと、
結論もリスキーなほうへ、
慎重なテーマだと、慎重な結論へ流れます。
すなわち、リスキー・シフトも、
コーシャス・シフトも、集団極性化のひとつの現れ、
ということになります。
こうした光景は、日常でよく見られることです。
しかし、強力な発言力を持つリーダーが不在になりがちな
大企業などにおいて、重役会などの集団討議を通じて
問題解決や、重要な判断をする場合、
このような現象は常に警戒される必要があります。
なぜなら、参加者たちが
自分たちの保身ばかりを気にしていれば、
討議の結果も、それを反映して、
非現実的なまでに慎重な結論にしかたどり着かない
場合があるためです(コーシャス・シフト)。
集団極性化が生じ、
集団意思決定が非合理的な結論に至ってしまう傾向は、
集団思考と呼ばれます。
集団思考においては、
ほかにも意見の一致のために
個々人の批判や疑問が抑圧されたり、
過剰な楽観主義、ステレオタイプな思考、などの
現象が見られることが分かっています。
社会的に有名な大企業が、
しばしば不祥事に対する不適当な対応しかできないのは、
こうした集団内の力学に、
適切な対応が取れなかった結果であるともいえるでしょう。
【Q2】集団の研究法についての問題
集団を研究するに至り、
(1)~(3)に当てはまるA~Cの組み合わせとして、
もっとも適切なモノを、以下の選択肢から選びなさい。
個人と相互作用 → ( 1 )
関係性 → ( 2 )・参与観察
規範・構造 → ( 3 )
集団文化 → フィールドワーク
A 面接 B 実験 C 調査
===========選択肢=======
( 1 ) ( 2 ) ( 3 )
a. A B C
b. B C A
c. B A C
d. C A B
=====================
正解は、 【 c. 】
―――――――――――――――――――――――――
個人1
↑↓ 規範
個人2 → 関係性 → → 集団文化
↑↓ 構造
個人N
―――――――――――――――――――――――――
観察可能 ←―+α――→ ←――概念化可能――→
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
実験 面接 参与観察 調査 フィールドワーク
集団の中の個人の内的プロセスや、
個々人間の社会的相互作用を研究するということは、
集団が成立する基本条件について、
かなり基本的な研究をすることになります。
集団は、個人からどのように組織化されるのか。
集団を集団たらしめている要素は何なのか。
逆に、集団の規範や構造、文化について
研究するということは、
どういうことでしょうか。
それは、実際に活動している、
実際の集団について研究するという方向性になっていきます。
実際に活動している集団について研究する場合、
個人間の相互作用を研究するときのような意味での
観察をすることは、不可能になります。
実験における、観察が可能、とは、
条件を統制して、特定の変数の変化を観察できる、
ということになるためです。
実際の集団について研究する場合、
その集団の構成員を対象にした質問紙調査や、
その集団について、様々な角度から情報収集を行う、
フィールドワーク的方法で進めていくことになるでしょう。
そして、あつめた情報から、
その全貌を浮かび上がらせるような
モデルを構築していく。
これが、概念化可能だ、という意味です。
それに比べて、+αで示した部分は、
観察も概念化も非常に難しい領域です。
なぜなら、誰も友人との日常的なやりとりや、
職場内のちょっとしたコミュニケーションのズレといったものを、
あえて言葉にすることがないためです。
丹念に調査を重ねて、
集団の目に見えないルールや構造、文化を
言葉にしていくことは、非常に労力を必要とします。
質的研究法で有名な
グラウンデッド・セオリーとは、
意訳するなら、地を這うようにして仮説を構築していく、
ということなのです。
しかも、個々人の間の関係性は、
集団規範・構造や集団文化のように、
スタティックで変化の遅いものではなく、
常にダイナミックに変化しています。
だからこそ、科学的方法論の力強い武器である、
仮説検証や、モデル化といった方法が適用しづらい、
ともいえるでしょう。
こうした関係性の特徴を捉えるためには、
分析し、検証する、というよりも、
実際に体験し、参入していく、
というスタンスが求められることになります。
なぜなら、そのときその場で生じたものを
拾い上げていくには、人間自身の感受性を研ぎ澄ます以外に
ないためです。
ですから、この+αの部分は、
さしずめ、体験可能、とでもいうべきなのでしょうか。
【Q3】集団と学問領域に関する問題
集団に関する以下の図式において、
A~Dと、1)~4)の組み合わせとして、
最も適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。
―――――――――――――――――――――――――
個人1
↑↓ 規範
個人2 → 関係性 → → 集団文化
↑↓ 構造
個人N
―――――――――――――――――――――――――
←―1)―→ ←―――4)―――→
←―2)-→
←――――3)―――→
A 社会学 B 社会心理学 C 家族療法
D エンカウンターグループ
=======選択肢========
1) 2) 3) 4)
a. D C B A
b. B D C A
c. B C D A
d. A C B D
==================
正解は、 【 b. 】
集団を扱う心理学近接分野においては、
その扱い方に、それぞれ特色があります。
もちろん、重なる部分も多いのですが、
次に、それぞれの特色を、単純化して、
比較してみることにしましょう。
―――――――――――――――――――――――――
個人1
↑↓ 規範
個人2 → 関係性 → → 集団文化
↑↓ 構造
個人N
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社会心理学 ←――社会学―――→
エンカウンター
←――家族療法――→
社会心理学における研究は、
主に人間の社会的行動について行われます。
たとえば、
対人認知や、態度・説得の過程、
同調行動や社会的怠業などの社会的影響の過程、
集団内の意思決定過程やリーダーシップ。
これらの研究に共通しているのは、
観察可能な個人1~Nの振る舞いを対象にしていることです。
個人の振る舞いを実験的な手法によって検証することで、
社会や集団を規定している、
もっとも基本的な条件を探り出そうとするのです。
一方の極として、
社会学を置くことが出来ます。
社会学が主に対象として取り扱うのは、
我々が日々生活のうえで関わることの多い、
この社会にすでに存在し、活動している集団です。
地方自治体や企業、NPOなどの法人組織、
マスメディアによって形成される世論や社会現象、
所得や年齢などによって形成される社会階層など。
実際に存在し、活動している集団について検討するためには、
社会心理学のような実験をすることはできません。
そのため社会学では、
社会全体ついてのデータを得るために社会調査を用いたり、
フィールドワークによって、
実際にその集団の中に入っていくことで、
詳細なデータを手に入れます。
そのとき、分析の対象になるのは、
その集団の持つ社会構造、組織構造のような、
構造の理解や、集団を規定している規範、
集団の持つアイデンティティです。
そのため社会学では、
集団の中でも、モデルを立てたり、
概念化されうる部分を対象とした研究が
多いといえるでしょう。
このような両極に対して、
集団を対象とした心理療法が扱うのは、
両者の中間にある、
もっとあいまいで、ごちゃごちゃした相互作用の領域なのです。
それは、個々人が実際にコミュニケートし合い、
関係性を確認し、構造や規範を維持し、
影響を与え合っている現場です。
社会学のフィールドワークでは、
目が集団全体に向かっているために、
捉えきれない部分であり、
社会心理学では、統制された実験状況からはみ出してしまう
部分だといえるでしょう。
エンカウンターグループや、
家族療法などにおいては、
まさに目の前で展開される個人間の相互作用自体に、
焦点が向けられます。
このように見てみると、
同じ集団であっても、学問領域によって、
かなり焦点の当て方に違いがあることが分かります。
(ただし、社会学では、近年社会構成主義やエスノメソドロジーなど、
相互作用の領域へのアプローチも、盛んになってきています。)
スクールカウンセリングのように、
集団の中で仕事をする場合、
心理学にとどまらず、このような視点を持っていると、
自分が今焦点を当てているのはどこなのか、
という見取り図を手に入れることが出来るでしょう。
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【次回配信】
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次回 【エッセイ号】… 7月18日(火)にお送りする予定です。
※ 次週7月11日(火)は休刊です。特別号が配信されることがあります。
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【参考文献】
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● グラフィック 社会心理学 池上知子 遠藤由美 サイエンス社
● 心理用語の基礎知識 1973 東 洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 有斐閣
● 心理学 1996 鹿取廣人・杉本敏夫 東京大学出版会
● 心理学辞典 1999 中島義明ら 編 有斐閣
● キーワードコレクション 心理学 1994 重野純 新曜社
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【編集後記】
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最近の某エレベーター会社に限らず、
集団におけるミスや不正は、
構成員の意思とは別のところで処理され、
その結果として大きな不祥事につながることも少なくありません。
これまで、社会的影響から切り離された面接室の中で、
個人と向き合ってくることで守られていた心理職も、
社会的に認知されてくれば来るほど、
集団の力学に巻き込まれていくことは、
間違いありません。
そのさい、特にデリケートな問題を扱うことの多い心理職は、
いかに身を守っていけばいいのか。
実際に大きな事件に巻き込まれてからでは遅いのですが、
前例の少ない現在では、
想像すらすることが難しいのが現実です。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
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