【Clip! アカデミー】 第47回 2006/6/27
第2週 問題号「心の関係図を広げる」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【それでは問題です】
【Q1】集団の力学に関する問題
【Q2】集団の研究法についての問題
【Q3】集団と学問領域に関する問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【前回のまとめ】
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現在Clip!アカデミーでは、
「心の関係図」をめぐる検討を行っています。
さてその前に、
繰り返しになりますが、
Clip!アカデミーの目指すところについて、
もう一度確認しておきましょう。
心理学が対象とする”こころ”なるものは
非常にあいまいな概念であり、
それを反映して、心理学自体も一貫したパラダイムを
持たず、多様な理論が入り混じって存在しています。
そのため、個々の研究や概念を勉強するだけでは、
心理学の全体像が見えてこない、
という問題が生じます。
心理学における”こころ”全体を、
様々な側面から検討することで、
多面的な”こころ”を、立体的に理解すること。
”こころ”を、
イメージ豊かに喚起できること。
そうしたまなざしを育むことによって、
個々の概念は、皆さんの中に、
息づいていくことになるでしょう。
…と、このようなコンセプトにしたがって、
毎回様々な視点から”こころ”の様々な側面を
図式化し、検討してます。
今回、心の関係図を通して検討したいのは、
関係としてのこころ、
という切り口です。
ただ、関係としてのこころ、だけでは、
イメージが沸きづらいために、
まずは、集団における関係性を検討するところから
はじめたのが、第43回のエッセイ号です。
その結果、仮に立てた図式が、
以下の図式です。
心の関係図(仮)
==========================
● 集団 = 個人1⇔個人2⇔個人3…個人N +α
“こころ”= ???⇔???⇔???…N +α
==========================
集団は、個々人の間の相互作用から成り立っている…
しかし、個々人を足しても、集団にはならない。
そこに存在する、+α。
前回エッセイ号「心の関係図を広げる」では、
その+αを中心に、
集団における関係性を検討してきました。
Clip!大学の大学院に入学したAさんが、
新しい心理療法に関する勉強会を立ち上げていくプロセスを通じて、
個々人の間の相互作用のレベルから、
組織としての規範や構造、文化のレベルまで、
集団の様々な側面を検討した結果、
集団における関係性こそ、
集団のなかで、個人の総和からはみ出してしまう部分、
なのではないか、という結論に至っています。
今回・次回の問題号、解説号では、
問題→解説を通じて、
こうした流れについて、
もう少し詳しく論じていきましょう。
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2)【それでは問題です】
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【Q1】集団の力学に関する問題
企業における不祥事隠しが、最近マスコミをにぎわせている。
外部に対して不祥事を隠し続けるという決定が、
集団討議を通じて形成されるとき生じている現象として、
もっとも適当な概念を以下の選択肢から選びなさい。
====選択肢====
a. コーシャス・シフト
b. リスキー・シフト
c. 集団思考
d. 集団極性化
===========
【Q2】集団の研究法についての問題
集団を研究するに至り、
(1)~(3)に当てはまるA~Cの組み合わせとして、
もっとも適切なモノを、以下の選択肢から選びなさい。
個人と相互作用 → ( 1 )
関係性 → ( 2 )・参与観察
規範・構造 → ( 3 )
集団文化 → フィールドワーク
A 面接 B 実験 C 調査
===========選択肢=======
( 1 ) ( 2 ) ( 3 )
a. A B C
b. B C A
c. B A C
d. C A B
=====================
【Q3】集団と学問領域に関する問題
集団に関する以下の図式において、
A~Dと、1)~4)の組み合わせとして、
最も適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。
―――――――――――――――――――――――――
個人1
↑↓ 規範
個人2 → 関係性 → → 集団文化
供 々渋、
個人N
―――――――――――――――――――――――――
←―1)―→ ←―――4)―――→
←―2)―→
←――――3)―――→
A 社会学 B 社会心理学 C 家族療法
D エンカウンターグループ
=======選択肢========
1) 2) 3) 4)
a. D C B A
b. B D C A
c. B C D A
d. A C B D
==================
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【次回配信】
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次回 【解説号】… 7月4日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● グラフィック 社会心理学 池上知子 遠藤由美 サイエンス社
● 心理用語の基礎知識 1973 東 洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 有斐閣
● 心理学 1996 鹿取廣人・杉本敏夫 東京大学出版会
● 心理学辞典 1999 中島義明ら 編 有斐閣
● キーワードコレクション 心理学 1994 重野純 新曜社
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【編集後記】
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心の関係図は、
実際には集団についての図式といえます。
人間は、個人という枠の中だけで
完結はしていない生き物なので、
こういう切り口からも、見えてくるモノがあるでしょう。
今回、社会学と心理学の守備範囲についての
問題があります。
心理学だけでなく、
社会学を専門にやられている方からすると、
「?」な部分もあるかもしれませんが。
学問と学問の境目というものは、
論じ始めるときりがないので、
大まかなイメージをつかむためには、
これくらいで十分ではないでしょうか。
あとは、皆さんが実際に社会学、心理学に触れていく中で、
自分なりの住み分けの感覚を身につけていってください。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2006年6月27日火曜日
【Clip!アカデミー】第47回:問題号「心の関係図を広げる」
2006年6月20日火曜日
【Clip!アカデミー】第46回:エッセイ号「心の関係図を広げる」
【Clip! アカデミー】 第46回 2006/6/20
第1週 エッセイ号「心の関係図を広げる」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【+αはどこにあるのか】
3)【相互作用から生まれるパターン】
4)【集団規範と制裁】
5)【集団の構造】
6)【集団文化】
7)【+α=関係性】
8)【関係性へのまなざし】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】 第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
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1)【前回のまとめ】
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これまで、関係としてのこころ、
について検討するための図式として、
集団を取り上げてきました。
“こころ”が、実体的な側面や、
概念的な側面に収まらない部分を持っているとすると、
そこからはみ出る部分を、どのように捉えられるか。
そこで、新しい可能性として検討してきたのが、
関係的な側面です。
関係から生じる存在としてのこころについて、
イメージを膨らませるために、
同じく関係から生じる存在としての、
集団を取り上げています。
集団は、個々人の総和と等しい存在ではありません。
つねに、個々人の総和以上にはみ出ています。
そして、集団が、その構成要素である個々人の外にはみ出していく力は、
どうやら個々人の間の相互作用から生じているらしい、
というのが、前回エッセイ号までの内容でした。
その結果仮に立ててみた図式が、
以下のような心の関係図になります。
心の関係図(仮)
==========================
● 集団 = 個人1⇔個人2⇔個人3…個人N +α
“こころ”= ???⇔???⇔???…N +α
==========================
集団は、現在のところ、
N人の個人と、その間の相互作用「⇔」によって
表現されています。
そして、それ以上にはみ出た部分である+αこそ、
我々が知りたいこころの在り方について、
何らかの示唆を与えてくれるかもしれません。
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2)【+αはどこにあるのか】
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我々は現時点で、
集団を形成する力として、個人と、
個人間の相互作用しか持ち合わせていません。
個人と、相互作用は、いわば、
集団の中でも、観察可能な部分です。
すなわち、実体として存在して、
観察によって、科学的研究が可能な部分、
といってもいいかもしれません。
それに対して、我々が知りたい+αは、
観察を容易に認めない部分です。
観察可能な部分から、
いかにして観察不可能な部分が生じるのか。
これは、我々が“こころ”なるものについて
検討するときにも、重要な視点であるといえます。
我々が実際に集団を形成する過程から、
+αについてイメージを膨らませて行きましょう。
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3)【相互作用から生まれるパターン】
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大学院入試に合格し、
無事Clip!大学の大学院に通うことになったあなた。
クラスメイトと顔合わせをすると、
さっそくメルアドや電話番号を交換し、
集団としての相互作用が始まります。
このようにして、
自然なコミュニティが発展していく過程で、
はじめに生じてくるものがあります。
それは、相互作用のパターンです。
誰が前に出て、誰が一歩下がるのか、
誰がボケて、誰が突っ込むのか、
話題を提供するのは誰か、
仕切ったり、まとめたりするのは誰か。
あなたもクラスメイトも、誰が冗談を言って、誰がうまく拾ってくれるか
を把握し、それを繰り返す中で、
集団全体が和気あいあいとしてくるかもしれません。
集団としてのまとまりを高めるための、
当面のコミュニケーションのパターンの積み重ねによって、
ここでようやく、
個々人の間に、関係性が生じてくることになります。
===================
あなた
↑↓
級友1 → 関係性
↑↓
級友N
===================
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4)【集団規範と制裁】
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ここで、世界的に類を見ない、
まったく新しい形の心理療法がNASAで開発された、
と仮定しましょぅ。
大学院のクラスメイトたちで、
この"Clip!療法"を体系的に勉強していこう!
という目的を設定する場合、
集団は目的遂行のための組織になります。
ここからは、勉強会を作る場合を想定して考えて行きましょう。
組織を作る上で、
まず重要なものが、集団におけるルールです。
集団規範は、集団を維持し、目的を遂行するための行動を、
各構成員に要求する圧力になります。
勉強会なら、月に何回、何曜日の何時に集まる。
持ち回りで、Clip!療法に関する発表を行う。
集団規範が設定された瞬間から、
これまで個々人の間の関係性という、
あいまいな揺らぎの中から立ち上がってきた集団という存在が、
逆に個々人の行動を規定し始める、という現象が起こるのです。
サークルを作ろう!だとか、旅行に行こう!だとか、
決めるのは個々人です。
しかし、決めたとたんに、幹事を決めたり、
決まった日時に出席したり、作業を分担して進めたり…
という作業が面倒に感じたことは、皆さんもあると思います。
勉強会にしても、
参加する以上、欠席すればひんしゅくを買うかもしれないし、
持ち回りで発表を負担しなければ、会にはいられなくなるかもしれません。
これが、集団規範によって生じる圧力で、
たとえ法律のような強制力をもたなくとも、逸脱には、
なんらかの制裁(サンクション)が科されることになるのです。
=====================
あなた
↑↓
級友1 → 関係性 → 勉強会のルール
↑↓
級友N
=====================
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5)【集団の構造】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
また、ルールを守り、実際に会を動かしていくためには、
場所取りや事務連絡、などなどの、
集団を維持するための役割と、それを行う人が必要です。
ここから、集団の構造が生じてきます。
世話人と、参加者のように、
個々人の役割や、機能が分化してくるのです。
回を重ねるごとに、こうした構造は、
ますますハッキリとして、
集団は組織化していきます。
もし、Clip!療法の効果が世界的に認められ、
日本で研究していたのが、
このClip!大学Clip!療法研究会だけだったとしたら、
勉強会への所属はある種のステータスになり、
構成員にとっての準拠集団になる可能性もあるでしょう。
本を出版したり、
Clip!療法に関するセミナーを行ったり、
Clip!療法用の心理検査を考案したり。
継続的な研究のために、
日本Clip!療法学会を設立することになるかもしれません。
皆さんも、心理学関係の学会のホームページを回ってみてください。
研修部・広報部・監査部などの様々な部署や、
理事・監査役・学会員・準会員などの、
様々な地位・階層があることが分かると思います。
そして、これらの学会も、
ほとんどはじめは、このような小さな勉強会から
始まったものがほとんどなのです。
=====================
あなた
↑↓ ルール
級友1 → 関係性 →
↑↓ 構造
級友N
=====================
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6)【集団文化】
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ここまで成熟した集団(厳密には、組織)には、
独特の文化や特徴が見られます。
このような集団が、一流企業、学校、国家、民族、あるいは、
個々の家族を形成している集団です。
社風や校風は、組織にとってのパーソナリティに当たるものです。
それは、その組織の名前とあいまって、
実際の振る舞いとは必ずしもイコールにはならないけれど、
その組織の独自性を表象しているのです。
=============================
あなた
↑↓ ルール 「Clip!大学Clip!療法
級友1 → 関係性 → → 勉強会」独自の文化
↑↓ 構造
級友N
=============================
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7)【+α=関係性】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このように見てみると、
はじめ、あなたを初めとした個々人がいて、
相互作用の中で、なんらかの関係を構築していきます。
個々人間の相互作用は、実際に観察可能な部分です。
そうして出来た関係性から、ルールと構造、
独自の文化など、目的を持った集団にとって必要な要素が、
生じているように見えます。
ルールや構造は、実際に目で見ることは出来ませんが、
文書やHPなど、何らかの形で概念化され、共有されます。
独自の文化を概念化することも、
ルールや構造のように容易ではありませんが、
社会学や文化人類学によって行われています。
それに対し、関係性、
すなわち、個々人の間の相互作用に生じてきた様々なパターンは、
集団が一度成立してしまうと、
陰に隠れてしまいます。
二者間のパターンならまだしも、
集団内のパターンは、すべてを観察し、把握するには変数が多すぎるし、
複雑すぎて、容易な概念化を拒むところがあるからです。
集団のプロセスの根底に常にありながら、
捉えられない要素があること。
これこそが、
集団が個々人の総和ではありえない理由
といってもいいのかもしれません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
8)【関係性へのまなざし】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここで、
これまでの検討を加えて、
心の関係図を書き直してみましょう。
●心の関係図2
==========================
個人1
↑↓ 規範
個人2(→ 関係性 )→ → 集団文化
↑↓ =+α 構造
個人N
==========================
長々と、関係性についての議論を重ねてきたのは、
実は、集団におけるこうした関係性のあり方に
直接触れていこうとするのが、
心理療法や、臨床心理学の視点だからです。
この図式を見ていると、
当たり前のように見えて、驚くべき部分があります。
それは、我々にとっての、“集団らしさ”の
ほとんどは、あるようなないような、幻想に近いものだ
ということです。
実際に存在し、この目で見ることが出来るのは、
個々の人間であり、個々人の間の相互作用だけ。
あとは、生徒手帳に書いてある校則のような、
単なる取り決めにしかすぎないように見えます。
しかし、それにしたがって、
それがあるかのように、人々が動くことによって、
集団は力と生命を与えられます。
集団規範や、集団の文化は、
そうした、生々しいプロセスの上に成立しています。
その生々しいプロセスは、
時にくすぶったり、ドロドロしたりする。
集団のルールや構造と合わなくなったり、
対立したりすることもあるかもしれません。
臨床心理学的な視点においては、
個々人を観察する中で、
個人を超えた関係性に目を向け、
その中に入っていって、直接・間接に、
それに触れていこうとするのです。
そのために求められているのは、
見えないものを見ようとする想像力。
それも、どこまでが想像で、どこまでが実在なのか、
を区別するための、理論的な準拠枠を常に参照し、
修正を続けられる想像力です。
その二つを手に入れるために、
皆さんも今の勉強をしているのだと考えましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回 【問題号】… 6月27日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 心理用語の基礎知識 1973 東 洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 有斐閣
● 心理学 1996 鹿取廣人・杉本敏夫 東京大学出版会
● 心理学辞典 1999 中島義明ら 編 有斐閣
● キーワードコレクション 心理学 1994 重野純 新曜社
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【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
集団という単位は、
臨床心理学では、以外と知っているようで、
知らない領域かもしれません。
知っているように思うのは、
我々が日常において、日々それを体験しているからです。
知らないというのは、
その体験を学問的に言葉で捉えるということが、
難しいからかもしれません。
また、心理職が触れるグループプロセスというのは、
社会学や人類学など、
他分野が扱っている“集団”とは、どこかズレる。
逆に、集団療法や集団を扱う心理療法は、
どうも理論的バックボーンが弱いように感じるのは、
私だけでしょうか。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2006年6月6日火曜日
【Clip!アカデミー】第45回:解説号「心の関係図のイメージ」
【Clip! アカデミー】 第45回 2006/6/6
第3週 解説号「心の関係図のイメージ」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
※【お詫び】※
1)【前回のまとめ】
2)【問題の解説】
【Q1】集団の定義についての問題
【Q2】集団の分類についての問題
【Q3】集団内の相互作用についての問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
のフォント設定のやり方を載せてあります。
==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※【お詫び】※
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| 前回のClip!アカデミー(第44回問題号)において、
| 【Q2】の選択肢に記載上のミスがありました。
|
| 以下に、正誤表を示します。
|
| ×… c. B D A C
|
| ○… c. B A D C
|
|一生懸命問題を解いてくださった読者の皆さんに、
|心からお詫び申し上げます。
|
|
|
| Clip!アカデミー事務局一同
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Clip!アカデミーでは、
全体的なイメージを捉えるために図式を立てつつ、
”こころ”をこれまで様々な側面から検討してきました。
前回のエッセイ号では、
新しく、心の関係図の検討が始まりました。
”こころ”が実体としても、概念としても、
捉えきれない存在であるとすると、
”こころ”には、まだまったく別の側面があるのではないか。
そこに、関係性としての心の在り様を、
想像してみる余地があります。
心の関係図(仮)
==========================
● 集団 = 個人1⇔個人2⇔個人3…個人N +α
“こころ”= ???⇔???⇔???…N +α
==========================
集団を形作るのは、まずは、N人の個人です。
それに加えて、集団においては、
個人間に継続的な相互作用(⇔)が生じています。
果たして、個人間でやり取りされる相互作用から、
個々人の総和とは異なる存在として、
どのようにして集団が立ち上がっていくのでしょうか。
集団という、関係性に特徴付けられた存在を検討する中から、
”こころ”についての、新しいイメージを得られるかもしれません。
エッセイ号では、集団に対する大まかなイメージを
把握するところからはじめましたので、
問題号・解説号では、
集団の基本的な特徴をつかんでいくことにしましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【問題の解説】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Q1】集団の定義についての問題
以下の文章は集団の定義について挙げたものである。
成熟した集団にもっともよく見られる特徴を、以下の選択肢から選びなさい。
============選択肢=============
a. 複数の人々の間に、持続的に相互作用が行われている
b. 外部と内部の境界が意識されている
c. 構成員に帰属意識や愛着が存在する
d. 集団内に構造が形成され、機能の分化がみられる
============================
正解は、 【 c. 】
…このような集団を、構成員にとっての準拠集団といいます。
集団は、様々な特徴から、定義することが可能です。
選択肢の【 a. 】で挙げた、
持続的な相互作用という特徴は、前回のエッセイ号でも
とりあげた、集団の基本的な条件でした。
集団としてのまとまりを、
社会心理学では、集団凝集性と呼んでいます。
【 a. 】や【 b. 】のような特徴は、
出来たばかりの集団にも見られます。
それに対して、
【 c. 】や【 d. 】のような特徴は、
出来たばかりの集団において、
ハッキリと見られるとは限りません。
これらの特徴は、
目的が明確に設定されている集団や、
凝集性の高い集団に見られるものです。
企業ように目的が明確な集団では、
初期から目的に向けて、
集団内に明確な構造(たとえば地位)や、
機能(営業や事務)の分化が進みます。
学校や習いものにおける友人関係のように、
目的が明確でなくても、
枠組みの中で持続的に集団が維持される場合、
それぞれの力関係や役割は、自然と分かれていくことになります。
その中でも、
構成員が、自分はこの集団の一員である、
という帰属意識を持ち、自分を同一化していくような集団があります。
このような集団は、
ベンチャー企業の中でも有名なもの、
質の高い教育を提供する大学や研究室、
昔でいう不良グループであることもあるでしょう。
目的の差、規模の大小はさておき、
凝集性が高く、持続性があって、
構成員の価値規範に大きく影響する、
準拠集団であるといえます。
臨床心理士を目指す人は、
臨床心理士のコミュニティを、
準拠集団として受け入れようとしているといえます。
そのコミュニティが、どのような集団なのか、
全体的な視野をゆがみなく反映しているか、
ときとして、覚めた目で見る余裕も持ちたいものです。
【Q2】集団の分類についての問題
集団は、以下のように様々な集団に分類することが出来る。
1)公式集団と非公式集団 2)一次的集団と二次的集団
3)ゲマインシャフトとゲゼルシャフト 4)タテ型組織とヨコ型組織
以下のA~Dは、1)~4)に示された集団類型を、分類する基準である。
A 直接接触か間接接触か B オフィシャルかプライベートか
C 年功序列か資格か D 親和か打算か
A~Dと、1)~4)の組み合わせとして、
もっとも適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。
=======選択肢======
1) 2) 3) 4)
a. A B C D
b. D A B C
c. B D A C
d. B D C A
================
正解は、 【 】
※問題号では、選択肢に正解がありませんでした。
正解は、【 c. 】… B D A C です。
知識を整理するために、以下に正解の組み合わせを
挙げておきたいと思います。
1)公式集団と非公式集団…B オフィシャルかプライベートか
2)一次的集団と二次的集団…A 直接接触か間接接触か(C.H.コーリー)
3)ゲマインシャフトとゲゼルシャフト…D 親和か打算か(F.テンニース)
4)タテ型組織とヨコ型組織…C 年功序列か資格か(中根千枝)
1)の「公式(フォーマル)-非公式(インフォーマル)」以外は、
聞きなれない言葉が多いかもしれません。
2)「一次的-二次的」の分け方は、
クラスメイトや同じ部署の成員のように、
実際に顔をあわせ、常に接触がある集団かどうか、
という分け方です。
同居家族は一次的集団ですが、
よほど近くに住んで、行き来が盛んでないかぎり、
親類縁者は、二次的集団になるといえます。
3)の「ゲマインシャフト-ゲゼルシャフト」は、
営利活動など、目的を達成するために形成される機械的組織、
コミュニティのように、人間が持っている、
自然な志向性として生じてくる共同体の対比です。
4)の「タテ型-ヨコ型」は、
一般に、「タテ社会」というときに用いられる類型です。
日本はタテ社会である、といわれますが、
先輩後輩、上司部下、お上と下々のように、
タテの結びつきが重視される構造を持っているということです。
一方で、ヨコ型の集団では、
上司部下、先輩後輩よりも、
同輩関係、同業種関係が重視され、
ギルドといった同業種集団が形成されたりします。
インドのカースト制度や、ヨーロッパの階級社会も、
こうしたヨコ型の結びつきから構成された社会であると
いうことができます。
様々な集団の捉え方について、
簡単に解説してきましたが、
この問題、聞いたことのない用語が多くて、
不安になった人も多いと思います。
それもそのはず、
ゲマインシャフトやタテ型組織、といった用語は、
心理学ではなく、社会学における基本概念なのです。
ですから、
そもそも用語の意味が分からない、
という方もひとまずご安心ください。
とはいえ、集団を論ずるうえで、
このような類型のパターンはある程度おさえておいたほうがいいことは、
いうまでもありません。
しかし、心理学だけみていても、
こうした集団のパターンは多くは見つかりません。
心理学では、実際の社会や現実に活動している集団よりも、
集団の形成過程や、個人間の相互作用、
個人の社会的行動に関心があるためでしょうか。
このように、学問によって守備範囲が異なったり、
同じものを見ていても、焦点の当て方が異なります。
あらゆる領域における詳しい知識は、
我々には持ちようもありませんが、
どこに何があるか、ありそうか、だけでも心得ておくと、
その後の視野の幅が変わってきそうです。
【Q3】集団内の相互作用についての問題
以下に挙げた選択肢の中から、集団内の相互作用のうち、
非言語的コミュニケーションの例と思われる選択肢を選びなさい。
=============選択肢============
a. メーリングリストにおいて意見のやり取りをすること
b. メールでの書類催促に返信を返さないこと
c. 挨拶メールをひんぱんにやり取りすること
d. ダイレクトメールを、ゴミ箱に移動すること
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正解は、 【 c. 】
議論を単純にするため、
ここではメールを介したコミュニケーションに的を絞っています。
実際のコミュニケーション状況においては、
非言語的(non-verbal)なコミュニケーションとは、
我々の行っている相互作用の中で、
言語に寄らないコミュニケーションを指します。
すなわち、
声の高さやテンポ、間などの
聴覚的(vocal)なメッセージのやり取りや、
身振りや表情などの
身体言語(body-language)によるやり取りなどが挙げられます。
すなわち、コミュニケーションには、
異なるメッセージを伝達しうる、
複数のレベルが存在するということです。
言葉の上では「Yes」でも、
からだが逃げていたり、声が沈んでいれば、
我々はその同意が、単なる同意ではないことが分かります。
ちなみに、
ベイトソンによる、有名なダブルバインド理論は、
異なるレベルの間でのメッセージの矛盾が、
統合失調症の発生メカニズムと関係している、とするものです。
メール上では、
実際の音声や身体言語は伝達することが出来ません。
それでも、我々はメールを介して、
言語的なコミュニケーションだけでなく、
非言語的なメッセージのやり取りをしています。
選択肢を見てみると、
【 a. 】の意見のやり取りは、
言語的コミュニケーションの例といえます。
【 d. 】のダイレクトメールを捨てる、
というのは、コミュニケーションとして成立していません。
コミュニケーションとは、
あくまでも相互作用であり、
送り手の投げた球を受け手がどう受け止めたか、
が送り手に伝わらなければ成立したとはいえないためです。
言語内容以外のレベルでの、
メッセージのやり取りが行われているのは、
【 c. 】の挨拶メールの頻繁なやり取りです。
【 b. 】の返信を返さないという場合を、
非言語的コミュニケーションの典型例と言いたいところですが、
沈黙は非言語的メッセージではあっても、
コミュニケーションであるとはいえません。
その意味で、
内容を極力薄くし、
返信の間隔やスピードという非言語的メッセージを
多くやり取りするという、
今日的なメールの使い方は、
音声や身体言語の伴わないメールの弱点を補うという点で、
実に独創的です。
ちなみに、
こうしたメールのやり取りが、
恋人間や、友人間で多く見られるのは、
非言語的コミュニケーションのレベルでは、
人は嘘をつきにくい、とされているためです。
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【次回配信】
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次回 【エッセイ号】… 6月20日(火)にお送りする予定です。
※ 次週6月13日(火)は休刊です。特別号が配信されることがあります。
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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編著 1999 有斐閣
● マンウォッチング<上> デズモンド・モリス 1991 小学館
● タテ社会の人間関係 中根千枝 1967 講談社
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【編集後記】
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本メルマガも、今回で45回を数えますが、
前回問題号では、ついに正答のない問題を出題してしまいました。
いくら考えてみても、
答えが分からなくて、
自分に自信がなくなってしまった方・・・
読者のみなさんにお詫びしたいと思います。
発行開始から多くの読者の皆さんに支えられてきたにもかかわらず、
期待に答えられなかったことを、とても重く受け止めています。
Clip!アカデミーも、もうすぐ50回を数えます。
このようなミスもありますが、
50回、60回、その先へと、
よりよい内容を目指して、
これからも、皆様のご期待に沿える内容を目指し、
尽力していきたいと考えております。
これからも、Clip!アカデミーをよろしくお願いいたします。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
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