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2005年8月30日火曜日

【Clip!アカデミー】第15回:解説号「心の過程図を捉えなおす」

【Clip! アカデミー】 第15回2005/08/30
第3週 解説号「心の過程図を捉えなおす」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

         ◆目次◆
       ※【読売新聞より取材を受けました!!】※            
            ※【セミナーのお知らせ】※
              1)【前回のまとめ】
              2)【問題号の解説】
【Q1】心の過程図に関する問題
          【Q2】リバースエンジニアリングに関する問題
          【Q3】家族システムに関する問題
          【Q4】サイバネティクスに関する問題
          【Q5】システムと臨床心理学に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

==================================================================


   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
※【今回はこちら!】  第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
            第4週 基本的にお休み
           (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

    

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今回は、心の過程図を検討する一連のサイクルの、
最後になります。

次回から、新しい図式を検討していくので、
今回は、これまでの流れと、目的について、
簡単に振り返ってみることにしたいと思います。

Clip!アカデミーでは、
既存の参考書と違い、網羅的な専門知識の解説を目指していません。

その理由としては、紙幅が限られていることと、
優れた参考書が多く世に出てきているからです。

心理学を勉強中の読者の皆さんは、
より実際的な知識を求めていると思いますが、
ここでは、あえて一歩引いた、
「心理学全体」とでもいうものを、検討の対象にしています。

受験勉強は特に、
断片的な知識の寄せ集めになりがちです。

しかし、我々が実際に心を捉えようとするとき
必要になってくるのは、寄せ集めの知識ではなく、
自分の体験や世界観、現在の社会や、現代人の生きかた、
などに結びついて発展してきた、心理学という学問についての、
体系的・全体的な知識だといえます。

心理学全体についてのまなざしは、
もちろん、受験勉強を通しても身についていくと思います。

むしろ、基礎的な専門知識は必要不可欠です。

しかし、心理学を全体として捉えようとすること、
様々な視点から見れることは、
こうした基礎的な受験勉強にも役に立つことでしょう。

そこで、Clip!アカデミーでは、
心理学全体を常に一度に扱い、異なる角度から捉えなおす、
という試みを行うことを通じて、
読者の皆さんが、個々の断片的知識の暗記的学習に埋もれず、
心理学全体へのまなざしを得るお手伝いをすることを目指しています。

はじめに、
心を、「身体」「認知過程」「潜在意識」
「知覚・ゲシュタルト」「意識」「行動」
の6つの側面から捉える、心の構造図(仮)を立てました。

現在は、
心を、身体→知覚→認知過程→潜在意識→意識→行動
という6つのプロセスの流れとして捉える、
心の過程図(仮)を検討しています。

エッセイ号では、こうした心理学全体を捉える図式をまず立て、
次の回で、その詳細と、限界、図式の欠点を論じています。

なぜそんな形式にしているかというと、
そもそも、心理学という学問を、ひとつの図式で捉えることは、
できないからです。

しかし、無理にでもひとつの図式を立ててみることで、
どこがおかしいのかが見えてきます。

そのおかしい部分は、
実は、心というものにとって、
とても大切な視点が隠れているのです。

そこを検討していくことで、新しい視野が開けてくるでしょう。

これは、仮説を立て、検証し、結果から新しい視野を
得ようとする科学的研究と、実は
まったく同じプロセスなのです。


今回は、この心の過程図を検討するサイクルの、
最後の回になります。

現在、Clip!アカデミーエッセイ号では、
プロセスという側面から心を捉えた心の過程図を、
より大きな(マクロな)視点、より小さな(ミクロな)視点から、
捉えなおす試みを行っています。

前回は、それに関連した問題を出題する、
問題号をお送りしました。

今回は、前回の問題の正答と、解説をお送りしたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【問題号の解説】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【Q1】心の過程図に関する問題

● 心の過程図(仮)
 ┌――――――――┐
 |物理的エネルギー|
 └――――――――┘
   ↓
 ┌--------------------------┐
 |身体|→|知覚|→|認知過程|→|潜在意識|→|意識|
 └--------------------------┘
                           ↓
                         ┌――┐
                         |行動|
                         └――┘


心の過程図において、矢印にしたがって流れているものは、
そもそもなにか。
次の選択肢からもっとも適切なものを選びなさい。

   =======選択肢=======

    a. エネルギー

    b. 情報

    c. 意識

    d. 表象

   ===================

※ 心の過程図についての復習問題です。

  基本的な事柄なのですが、意外と盲点で、
  心をプロセスとして捉えるとはどういうことか、
  を理解していないと、答えられないかもしれません。

心の過程図では、
心を、過程(プロセス)・流れ等と表現し、
図式化してきました。

心が流れである、という表現は、
外界からの刺激が入力され、行動として出力される、
という表現をする場合、前提として存在するものです。

したがって、上記のような表現や、図式に触れたことのある人なら、
なんとなく直感的にイメージできるでしょう。

ただ、この場合、この流れは、何の流れなのか、
ということは、意外と考えてみることがないのではないでしょうか。

その意味で、とても基本的な事柄であるにもかかわらず、
答えるのが難しい問題だったと思います。

さて、直感的に陥りやすい誤答は、【 a. 】です。

エネルギーの流れ、という表現は、
特にフロイト(S.Freud)を学んだばかりだとイメージしやすいのですが、
我々の主観的な意識からはそのように感じられる、という意味であって、
実際には、生理学的な裏づけに欠けています。

【 c. 】の意識も同様です。

意識の流れ、という表現は、
ジェームズ(W.James)の心理学で重視された概念ですが、
この選択肢も、あくまで、
主観的に感じられる、という点に限定された選択肢です。

そうなると、問題は、

【 b. 】の情報か、【 d. 】の表象か、

ということになります。

両者とも、認知心理学における中心的な概念です。

心の過程図は、あくまでフローチャートとして表現された、
感覚から行動に至る心的プロセスとして表現されています。

フローチャートは認知心理学の成立と切り離せない、
ということは、前々回のエッセイ号で説明したと思います。

よって、まずは、このどちらかだろう、
と当たりをつけられれば、◎です。

さて、皆さんは、
情報(information)と、表象(representation)
の違いを説明できるでしょうか。

情報は、情報理論によれば、それを受け取る側において、
事態の不確実性を減少させる、
すなわち、物事を規定するものを指します。

例えば、Bさんにとって、Aさんの年齢が、
20代であって30代でない、
ということを表現することができるものは、
全て情報です。

その意味で、
「Aさんは30代ですか?」
と尋ねたとき、「・・・。」と沈黙が返ってきたとしても、
それも情報になります。

また、直立姿勢を維持するためには、
常に筋緊張を微調整する必要があります。

このとき、姿勢を制御する筋肉からは、
現在の姿勢についての情報が、
神経信号としてフィードバックされています。

一方、表象は、
心理学においても様々な経緯をたどってはいますが、
現代においては、人間の心的過程における、
外的対象を表すシンボル、という捉え方をするのが一般的です。

例えば、「Aさん」という言葉はBさんにとって、
実在する「あの人」を表象するシンボル(言語表象)です。

認知心理学においては、
心的表象は認知過程の対象であり、
我々は、外部に対して構成した心的対象を操作することで、
記憶や思考といった認知処理をしているとされます。

こうして両者を比較してみると、
情報の方が、表象よりも広い概念であるといえるでしょう。

また、表象は人間が情報を認知し、操作するための、
形式のひとつであると見ることが出来ます。

よって、常に進行しているプロセスとしての心は、
様々な形の、情報のやり取りの中から立ち上がってくるもの、
と考えることが出来ます。

正解は、  【 b. 】


【Q2】リバースエンジニアリングに関する問題

リバースエンジニアリング(reverse engineering)
とは、再現するための技術である。
認知心理学の観点から見た場合、
リバースエンジニアリングの対象としてもっとも不適当なものは、
次の選択肢のうちどれか。

 ======================選択肢======================

  a. 人間の知能を再現しようとする、人工知能

  b. 人間自身を再現しようとする、人工人間(ロボット)

  c. 人間の臓器を再現しようとする、人工臓器

 =================================================

※ 選択肢自体は、初学者にとって難しいモノではないと思います。
  むしろ、初学者でない人の方が迷うかもしれません。

  リバースエンジニアリングという言葉自体、
  聞きなれない言葉だと思います。

  ただし、認知心理学においては重要な方法論なので、
  基本的な考え方を知っていることで、
  テクノロジーと心理学の関係について、
  これまでと違った見方を出来るようになるのではないかと思います。

料理についての
リバースエンジニアリングを考えてみましょう。

例えば、皆さんがお料理好きだとすると、
話題のお店に行ったときに何を考えるでしょうか。

おそらく、
この味付けにするには、何を調味料に使っているのかとか、
このてんぷらの衣がカリッとしているのはなんでかなど、
なぜ美味しいのか、という理由を探すのではないでしょうか。

そして、推測の段階であっても、
理解できたら実際に家で挑戦してみる。

そうしてお店の味が再現できたとすれば、
その料理に対する理解が正しかったことが分かります。

認知心理学におけるリバースエンジニアリングも同様ですが、
この場合、再現することができる=理解の正しさが支持される、
という点が重要です。

すなわち、リバースエンジニアリングは、
工業への応用より先に、基礎研究における、
仮説の検証手続きとして、その意義を認められているといえるでしょう。

認知心理学が、研究の対象としてきたのは、
広い意味での人間の認知の仕組みです。

感覚刺激の符号化から、
知覚の成立、記憶や思考、問題解決、
外界への働きかけまで、多様な範囲が対象になりえます。

では、この問題の選択肢の中で、
リバースエンジニアリングという研究方法が有効なものはどれでしょうか。

逆に、ほかの方法でも研究が可能なものはどれでしょうか。

そう考えてみると、
リバースエンジニアリングというアプローチが有効なのは、
やはり形のないモノ、捉えがたいモノであるといえそうです。

人間の、モノを考え、推論し、問題を解決するという、
機能は、いったいどこからくるのか。

そもそも、人間とは、どういったものなのか。

どんなに捉えづらくとも、
実際に再現することが出来たなら、
そこには答えがおのずから存在しているはずです。

また、再現の過程では、
人間とは何か、という哲学的・抽象的な問いが、
おのずから具体的で、技術的な問題に落とし込まれるでしょう。

また、捉えづらい問いにおいて問題となるのは、
何が正解で、何が不正解なのか、という判断基準です。

しかし、人間を再現しよう、という前提から出発すれば、
実際にどれだけ再現できたか、実物にどれだけ近づいたか、
という形で、おのずから、判断基準を得ることが出来ます。

その点で、

【 a. 】人工知能と、【 b. 】ロボットは、
リバースエンジニアリングに適しているといえます。

ですが、臓器の理解は、
わざわざ膨大な手間をかけてそっくり同じ臓器を再現しなくても、
解剖学など、構造を分析することで行われてきました。

よって、最も適当なもの、と考えると、

正解は、【 c. 】

ただ、もちろん、人工臓器への認知心理学的なアプローチの可能性も、
考えられます。

例えば義足などの制御システムに、
人間の脳が行っている情報処理過程を再現できれば、
生身の人間と変わらない運動機能を実現できるかもしれません。


【Q3】家族システムに関する問題

家族システム理論の立場から見たとき、
夫婦というシステムを規定するものとして
もっとも重視されるのは、次の選択肢のうちどの側面か。

  =============選択肢=============

    a. 婚姻届

    b. 愛情

    c. コミュニケーション

    d. 習慣

  ================================

※ 家族や夫婦を、分解できないひとつの全体として考える場合、
  それをシステムとして成立させているものは何か、という問題。

  どの選択肢も、
  それぞれ異なる文脈においては、間違ってはいないのですが、
  家族を、システムとして捉える場合は、
  どのような条件を前提として考えるのでしょうか。

【 a. 】の婚姻届ですが、これは法的な規定です。

法律というルールにおける夫婦成立の前提条件ですが、
そこには、実際の夫婦システムが存在している必要はありません。

【 b. 】の愛情。

確かに夫婦の間には、お互いに対する愛情が必要かもしれません。

愛情がなくなれば、
相手のことはどうでもよくなり、離婚にいたることもあるでしょう。

これは、人間主義的な(ヒューマニスティックな)捉え方といえます。

しかし、愛情がなくても、
夫婦としていっしょに住んでいるふたりは、
ひとつのシステムを構成することが可能です。

正解は、    【 c. 】コミュニケーションです。

【 d. 】習慣ですが、これは、個人内の過程ですね。

システム論は、システムの存在を、
個人内の過程に還元するものではありません。

夫婦間の情報のやり取りによって規定されるのが、
システムとしての夫婦の在り様です。



【Q4】サイバネティクスに関する問題

サイバネティクス(cybernetics)は、
システムを制御するための方法論を提供する。

N.ヴィーナー(N.Wiener)は、
システムの制御に用いられる相互作用として、
フィードバックと、フィードフォアードをあげている。

夫婦システムにおける以下の選択肢は、
フィードバック、フィードフォアード、どの例といえるか。

適切な組み合わせを答えなさい。

1) 妻が泣くと、夫は我に返って慰めた
2) 妻が泣くと、夫はより激しく手を挙げた
3) 夫は、これを言ったら妻は泣き出すだろう、と口をつぐんだ

A プラス・フィードバック B マイナス・フィードバック
C フィードフォアード 

   ==========選択肢============

        1)  2)  3) 
   
    a.   A   B   C

    b.   A   C   B

    c.   B   A   C

    d.   B   C   A

   ============================

※ 【Q3】では、システムの在り様を規定するのは、
  コミュニケーションであるといいました。

  では、コミュニケーションは、
  実際には、どのようにシステムを規定しているのでしょうか。

エッセイ号では、フィードバックについて
エアコンのサーモスタットの例から説明しました。

改めて、簡単に説明すると、
フィードバックとは、出力に関する情報のことであり、
システムを制御するために、出力に関する情報を、
次の入力の調整に用いることです。

このようなフィードバックを、
マイナス・フィードバック(minus feedback)、
あるいはネガティブ・フィードバック(negative feedback)
と呼びます。

夫婦間では、

1) 妻が泣くと、夫は我に返って慰めた

がその例になります。

この二人は喧嘩をしていたのでしょう。

夫婦関係(システム)は安定を求めますから、
それまでの関係を破綻させるような逸脱を、
何とか修正しようとします。

この場合、妻が泣くことは、
夫婦関係の破綻につながるような
システムの不安定のサインになっています。

それ以上、深刻な対立を続けると、
関係が破綻する、というサインを受け止めた夫は、
関係の安定を取り戻すべく、対立を解消するような行動に出ました。

これによって、
夫婦の関係は、これまでのあり方を取り戻します。

夫婦は、個別に反応しているだけですが、
夫婦全体から見ると、お互いにフィードバックのやり取りをしながら、
現状の関係(夫婦システム)を
維持する方向で行動していることが分かります。

ただ、このように、
現状を維持しようとするフィードバック機構は、
現状に問題がある場合、問題をも維持し、
必要な変化を妨害することがあります。

この場合に重要になるのが、
プラスのフィードバック(plus feedback)、
またはポジティブ・フィードバック(positive feedback)です。

プラス・フィードバックは、
システムの安定を維持する方向に修正する
マイナス・フィードバックとは異なり、
逆に現状からの逸脱を増幅するように働きます。

例でいえば、

2) 妻が泣くと、夫はより激しく手を挙げた

にあたります。

この例では、妻が泣くほど、夫の暴力はエスカレートしていきます。

これはどう考えても深刻な状況ですが、
プラス・フィードバックの意味は、
変わる必要のあるシステムに、変化を呼び込むという点にあります。

夫の暴力が激しくなれば、
妻はなんらかの時点で、単に泣くことで、
それまでの関係を維持しようとする努力を放棄せざるを得なくなります。

その結果、妻の対応の変化や、第三者の介入によって、
システムはより現状に即した変化を迫られることになります。

この場合、もちろん、離婚という形で、
システムが崩壊する危険性もありますが、
ポジティブ・フィードバックによって、
よりよい安定に到達する可能性があるのです。

システムの制御には、
過去の出力を次の入力に用いるために差し戻すフィードバックのほかに、
未来に生じるであろう事態を推測し、
その推測を、次の制御に用いようとするものもあります。

3) 夫は、これを言ったら妻は泣き出すだろう、と口をつぐんだ

それが、フィードフォアード(feedforward)です。



よって、正解は

1)…B 2)…A 3)…C

で、 【 a. 】


【Q5】システム理論と心理学に関する問題

一般システム理論の視点から見たとき、
人間は有機体システムとして捉えられる。

以下の心理学研究者のうち、
有機体論に基づく人間観に、立っていないものを答えなさい。

   ============選択肢============

    a. ピアジェ(J.piaget)

    b. ワトソン(J.B.Watson)

    c. ロジャーズ(C.R.Rogers)

    d. オールポート(F.H.Allprt)

   =============================

※ システムという言葉は、
  現代においては、特にパソコンなどの複雑な機械を連想させます。

  そのために、人間や人間関係を、システムとして捉える、
  と聞くと、反射的に、人間や人間関係を、単なる機械として
  扱おうとしているのではないか、と誤解する人がよくいます。

  しかし、ベルタランフィ(L. von Bertalanffy)を初めとした、
  システム理論的な視点は、
  機械論とは正反対の立場を取っていることに注目しましょう。

有機体論とは、人間を、部分に分割できない全体(システム)として
見ようとする視点です。

以外に感じられるかもしれませんが、
システム論は、機械論に立つ行動主義などと対立し、
人間性心理学や、ゲシュタルト心理学などに近い考え方なのです。

ここから、行動主義の祖である、【 b. 】のワトソンが、
異質であることが分かります。

発達心理学に大きな影響を与えたピアジェですが、
彼は、発達という現象を、部分部分の変化ではなく、
あくまで有機体全体の構造の変化として捉えようと試みました。

また、ロジャーズの著作を読むと、
有機体という言葉が頻繁に出てくるのに気づくでしょう。

オールポートが有機体論者なのはどうしてでしょう。

オールポートは、
パーソナリティを、部品として分けられないシステムとして捉えたためです。

よって、正解は 【 c. 】


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【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【エッセイ号】… 9月13日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心理臨床大辞典 改訂版 氏原寛 他 2004 培風館

● 心理用語の基礎知識 東洋・大山正・詫摩武俊 他 1973 有斐閣 

● 一般システム理論  フォン・ベルタランフィー著 長野敬
  太田邦昌訳 1973 みすず書房

● 人格心理学 上・下 G.W.オールポート 著 今田恵 訳 1968
  誠信書房

● 事例で学ぶ家族療法・短期療法・物語療法  長谷川啓三 若島孔文
  2002 金子書房



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【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

6回にわたってお届けしてきました、
心の過程図ですが、いかがでしたでしょうか。

最後は、システム論から、
かなり広い学際的な分野について言及せざるを得ない場面がありました。

私が知りたいのは、システム何チャラではなく、
心理学だ、という方もいるかもしれません。

私が心理学を勉強し始めて、
ようやく心理学全体のあり方みたいなものが見えてきたとき、
一番愕然としたことは、
心理学は、今まで一度も心を研究したことがない、
という事実でした。

本来心を対象とするはずの心理学は、
心を扱わないことでしか、成立できなかった。

その原因には、心理学成立当時の技術的水準や、
心なるものにまつわる、本質的な問いまでもが、
現れているように思います。

技術水準も向上し、
現在、心のナゾに迫ろうという学問は、
何も心理学だけではありません。

我々一人一人が、そうした諸科学からのアプローチを知り、
なおかつ心理学にしか扱えないだろう領域を見極め、
進んでいくまでには、非常な時間が掛かるだろうと思います。

このことは、学校現場や、医療現場での、
カウンセラーの立場、アイデンティティの問題を連想させます。

おそらく、心理学と諸科学との間の問題と、
カウンセラーと異業種との間の問題は、表と裏なのでしょう。

だからこそ、我々は、
ここでもまた、心理学と同じ問題に直面します。

心理学者・カウンセラーとしてあろうとするならば、
むしろ心理学・カウンセリング以外の世界を知らなければなりません。

心というあやふやなものに寄って立ち、
それ以外のものから守られていることは、もうできません。

そう決意して初めて、
我々は心理学に向かうことが出来るのではないでしょうか。

====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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2005年8月23日火曜日

 【Clip!アカデミー】第14回:問題号「心の過程図を捉えなおす」

【Clip! アカデミー】 第14回2005/08/23
第2週 問題号「心の過程図を捉えなおす」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

  
      ◆目次◆

            ※【セミナーのお知らせ】※
            1)【前回のまとめ】
            2)【それでは問題です】
          【Q1】心の過程図に関する問題
          【Q2】リバースエンジニアリングに関する問題
          【Q3】家族システムに関する問題
          【Q4】サイバネティクスに関する問題
          【Q5】システム理論と心理学に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
 ※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

前回は、
プロセスという側面から心を捉えた心の過程図を、
より大きな(マクロな)視点、より小さな(ミクロな)視点から、
捉えなおす試みを行いました。

心をプロセスとして捉えるとき、
イメージされるのは、川の流れです。

川の流れから離れて、より大きな視点から眺めると、
山に雨が降り、それが寄り集まって川となり、
海に合流して、また蒸発して雨雲を形成する、
というエコシステムが見えてきます。

こうした視点において見えてくる問いは、
より大きなシステムの中で、川がどのような役割を、
どのように果たしているのか、というものでしょう。

逆に、川の流れに近づき、より小さな視点から眺めてみると、
見えてくるのは、水分子の複雑な振る舞いです。

ここでは、水の分子の個々の振る舞いから、
どのように全体の川としての性質が生じるのか、
という問いが出てくるかもしれません。

前回エッセイ号で取り上げてきた、
システム理論と、ニューラルネットワーク(コネクショニズム)
は、心に関する、このような対極的な視点でした。

人間の心を研究する上では、
どちらも避けて通れない視点ではありますが、
どちらも心理学だけでは解くことのできない領域です。

心理学を勉強する皆さんには、
不案内な領域だと思われるので、
今回問題号では、以上のテーマについて、
練習問題を通じて、慣れてもらうことにしましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【それでは問題です。】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【Q1】心の過程図に関する問題

● 心の過程図(仮)
 ┌――――――――┐
 |物理的エネルギー|
 └――――――――┘
   ↓
 ┌--------------------------┐
 |身体|→|知覚|→|認知過程|→|潜在意識|→|意識|
 └--------------------------┘
                           ↓
                         ┌――┐
                         |行動|
                         └――┘


心の過程図において、矢印にしたがって流れているものは、
そもそもなにか。
次の選択肢からもっとも適切なものを選びなさい。

   =======選択肢=======

    a. エネルギー

    b. 情報

    c. 意識

    d. 表象

   ===================


【Q2】リバースエンジニアリングに関する問題

リバースエンジニアリングとは、再現するための技術である。
認知心理学の観点から見た場合、
リバースエンジニアリングの対象としてもっとも不適当なものは、
次の選択肢のうちどれか。

 ======================選択肢======================

  a. 人間の知能を再現しようとする、人工知能

  b. 人間自身を再現しようとする、人工人間(ロボット)

  c. 人間の臓器を再現しようとする、人工臓器

 =================================================


【Q3】家族システムに関する問題

家族システム理論の立場から見たとき、
夫婦というシステムを規定するものとして
もっとも重視されると考えられるのは、次の選択肢のうちどの側面か。

   ============選択肢============

     a. 婚姻届

     b. 愛情

     c. コミュニケーション

     d. 習慣

   =============================


【Q4】サイバネティクスに関する問題

サイバネティクスは、
システムを制御するための方法論を提供する。

N.ヴィーナーは、システムの制御に用いられる相互作用として、
フィードバックと、フィードフォアードをあげている。

夫婦システムにおける以下の選択肢は、
フィードバック、フィードフォアード、どの例といえるか。

適切な組み合わせを答えなさい。

1) 妻が泣くと、夫は我に返って慰めた
2) 妻が泣くと、夫はより激しく手を挙げた
3) 夫は、これを言ったら妻は泣き出すだろう、と口をつぐんだ

A プラス・フィードバック B マイナス・フィードバック
C フィード・フォアード 

   ==========選択肢============

        1)  2)  3) 
   
    a.   A   B   C

    b.   A   C   B

    c.   B   A   C

    d.   B   C   A

   ============================


【Q5】システム理論と心理学に関する問題

一般システム理論の視点から見たとき、
人間は有機体システムとして捉えられる。

以下の心理学研究者のうち、
有機体論に基づく人間観に、立っていないものを答えなさい。

   ============選択肢============

    a. ピアジェ

    b. ワトソン

    c. ロジャーズ

    d. オールポート

   =============================


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【解説号】… 8月30日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心理用語の基礎知識 東洋・大山正・詫摩武俊 他 1973 有斐閣 

● 一般システム理論 1973 フォン・ベルタランフィー著 長野敬
  太田邦昌訳 みすず書房

● 人格心理学 上・下 G.W.オールポート 著 今田恵 訳 1968
  誠信書房

● 事例で学ぶ家族療法・短期療法・物語療法  長谷川啓三 若島孔文
  2002 金子書房


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


アンケートに回答いただいた皆さん、ありがとうございました。

ここでひとまず、ひと段落としたいと思いますが、
集計フォームは残しておくので、
お気づきの点がありました際は、遠慮なくご回答ください。

今後の参考とさせていただきます。

さて、今後のセミナーの予定としては、
9月10日に、大学院受験についてのテストゼミセミナー、
を行うことが決定しました。

テーマは、「臨床心理士指定大学院に合格するために必要なこと」


また、今後模擬試験セミナーも実施を検討しています。

詳しい情報は、臨床心理士指定大学院受験講座 HPをご覧ください。

 
皆さんのご意見をいただき、
Clip!アカデミーをよりよいものにしていくため、
これからもアンケートを実施していきたいと考えています。

ご協力をお願いします。

====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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2005年8月16日火曜日

 【Clip! アカデミー】第13回:エッセイ号「心の過程図を捉えなおす」

【Clip! アカデミー】 第13回2005/08/16
第1週 エッセイ号「心の過程図を捉えなおす」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/


         ◆目次◆
 
  
    
        再度【セミナー企画アンケートのお願い】
        1)【前回のまとめ】
        2)【心の流れは流れ図で表現できるか】
        3)【フローチャート】
        4)【離れて見る:サイバネティクスとフィードバック】
        5)【近くで見る:コネクショニズム】
        6)【我々の常識と科学的思考】
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】
 
 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
    
  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messangerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○


            ■ 基本サイクル ■
  ※【今回はこちら!】第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
          ■ 第2サイクルへ続く ■
 
 
   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


前回は、第3週解説号として、第2週の問題号の解説を
していきました。


今回は、第5サイクルのエッセイ号として、
前回のエッセイ号で示した心の過程図を、
検討していきたいと思います。


前回エッセイ号では、Aさんの朝の出来事から、
心の働きを、流れとしてたどってみるという試みは、
心の過程図という形になりました。

 【7月19日のAさんの日記 ※一部抜粋】
  
    ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
    | 「朝、道を歩いていると、     |
    |  通りの向こうに、        |
    |  Bさんが歩いているのが見えた。 |
    |  |
    |  とっさに顔を伏せたくなったが、 |
    |  思いなおして、軽く会釈した。」 | 
    ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~ ○

● 心の過程図(仮)
 ┌――――――――┐
 |物理的エネルギー|
 └――――――――┘
   ↓
 ┌--------------------------┐
 |身体|→|知覚|→|認知過程|→|潜在意識|→|意識|
 └--------------------------┘
                           ↓
                         ┌――┐
                         |行動|
                         └――┘


今回は、この心の過程図に関して、
他の視点をぶつけてみることで、
心理学全体への理解を深めていくことにしましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2) 【心の流れは流れ図で表現できるか】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


心の過程図を眺めていると、
出てくる疑問があると思います。

こうしたフローチャート(流れ図)という形式が、
どこまで実際の心の流れに当てはまるのか、ということ。

フローチャートは、
主に認知心理学において、
心的プロセスのモデルを記述するために用いられてきました。

表現してしまってから、できるかもないものですが、
本メルマガにおいては、心の全体を、ひとつの図式によって
表現することは出来ない、という立場に立っています。

そのために、心の全体を、様々な角度から取り上げつつ、
取り上げた視点の限界について議論することで、
心理学の全体像に迫ろうという方法論を取っています。

ですから、ここでは例によって、一度、その形式で構築した
心の過程図という図式を、
解体し相対化する、という作業をしてみることにします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【フローチャート】
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この、矢印と箱による図式を、心理学に導入したのは、
ブロードベンドだと言われます。

行動主義は、
外からの刺激と、それに対する反応だけを問題にしました。


    Stimulus(刺激)-Response(反応) 

SもRも、観察可能な対象なので、
直接それを取り扱うことが出来ます。

しかし、認知心理学では、SとRの間にある、
中間変数を問題にします。


   S(刺激)-Organism(有機体)-R(反応)

Oの活動は直接観察が出来ないので、
SとRをつなぐ目には見えないプロセスを、
何らかの形で表現する必要があったのです。

こうした心のモデルの作り方は、
認知心理学の基本的な研究方法のひとつになりました。

なので、心の過程図について考えていくと、必然的に、
認知心理学について検討することになっていきます。


我々が現在使っているパソコン(ノイマン型コンピューター)は、
プログラムで指定された命令を、
順番にひとつずつ処理していくように出来ています。

それは、ベルトコンベアー上で自動車を組み立てていくようなものです。

感覚からの入力が終わったら、次にそれを材料に知覚を構成する。
その知覚を元に認知過程が生じて・・・といった具合に、
順番に、より高度な処理が実現していくという流れ。

こうした処理の仕方を、直列処理といいます。

人間の心的プロセスを、流れ作業の個々の工程に分解して、
それを順番に真似していけば、
最終的には、人間の心的プロセスを、そのまま再現することが出来る。

これはリバースエンジニアリングといいます。

例えば、人間の眼球の働きを分析すれば、
優れたレンズを備えたカメラが作れるかもしれない。

その結果が、人間の認知処理を再現した人工知能やロボットなどの、
工学分野への応用なのです。

この考え方は、人間の心的プロセスを、
バラバラのパーツに分解できる、精巧な機械と考えること
を前提としています。

もしできないにしても、
区別がつかないところまで真似できれば問題はないし、
そこまでいってから違いを考えればよい、
という、現実的な実用主義が背景にあります。

それに対して、こうした視点の限界を
論じる、新しい視点も出てきています。

● 人間のような有機体はそもそも機械ではないから、
部分部分にどれだけ詳しくなっても、人間のことは分からない、
という立場に、システム論。

● コンピューターを元にした直列処理に対して、
生物の脳を元にした並列処理モデルを提唱するコネクショニズム。

前者は、心の流れの全体が見えてくるよう、
離れてみるような捉え方。

後者は、心の流れの実際が見えてくるよう、
極力近づいてみるような捉え方、
といえます。

次に、これらの視点から、
心の過程図の欠点について検討をしていきましょう。


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4)【離れて見る:サイバネティクスとフィードバック】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


人間を含む有機体を、
単なる部分の働きの足し算と考えるのではなく、
まず部品に還元できない全体として捉えようという考え方は、
システム論と呼ばれます。

システムとしての有機体が、
自分をどのように成り立たせているか、
あるいは、周囲のシステム(物理的環境から、職場、地域、社会などなど)
とどのように相互作用しているか。

システム論は非常に重要な考え方ですが、
ここで論じるには紙幅が足りません。

いずれきちんと取り上げるとして、ここでは、
システムの働きを理解するために、
有機体や機械がどのように自身の行動や内的過程を制御しているのか、
という点について検討してみましょう。

そのための理論がサイバネティクスで、
そのための仕組みがフィードバックです。

フィードバックとは、
システムが自己を制御し、
よりよい行動や、安定した動作に近づけるための
情報です。

よく引き合いに出される例がサーモスタットです。

クーラーや冷蔵庫に内蔵されているサーモスタットは、
クーラーによる温度の変化を常に監視していて、
結果をフィードバックします。

この情報をもとに、寒すぎれば、温める、暑すぎれば、冷やすことで、
温度を一定に保つことができます。

 ● 設定温度:28度の場合

        冷やしなさい
   ← ← ← ← ← ← ← ←   室温>28度の場合
  ↓               ↑
 クーラー → → 実行 → サーモスタット「今の室温は?」
  ↑               ↓
   ← ← ← ← ← ← ← ←   室温<28度の場合
        止めなさい

人間や社会活動においても、
フィードバック情報が、行動や情報を制御するために、
様々な場面で用いられていることが分かっています。

血中の塩分濃度が高くなると、
喉が乾いて水を飲みたくなります。

友達と並んで歩いているとき、
我々はふつうお互いの距離を一定に保つように、
歩幅やからだの向きなど、様々な運動の微調整を繰り返しています。

また、心理療法において、
セラピストは自分の応答の効果を、
クライエントの表情や返答からのフィードバックによって判断し、
調整しています。

前回エッセイ号で例に挙げたAさんの場合、
Bさんを遠くに見つけて、顔を下げるという運動は、
同時に筋肉運動感覚を生じます。

この感覚フィードバックから、AさんはBさんを避けたいという、
意識されなかった欲求に気づくことができ、
自分の気持ちも加味して、行動を修正することができました。

我々の心の過程図には、
こうしたフィードバックのプロセスが抜けているようです。

付け足してみると、以下のようになりました。

物理的・社会的プロセスと、
心の各プロセスがぐるっと一周する輪になってしまい、
どこからが、心のプロセスの始まりで、終わりなのかが分からない図になっています。

物理的・社会的プロセス    心的プロセス

 ―― →→ ―― → ―― → ―― → ―――― → ―― 
|行動|  |身体| |知覚| |認知| |潜在意識| |意識| 
 ―― ←← ―― ← ―― ← ―― ← ―――― ← ―― 


これは、身体、知覚などの各側面が、
それぞれひとつのシステムとして機能するため、
心的過程は、これらシステム間の情報のやり取り、相互作用
として表現できるためです。

ここでは、もはや直列的な情報の処理の記述は、
難しくなっています。

なぜなら、情報の流れが一方的ではなく、
常にお互いに影響を与えながら、自身の安定性を維持する形に
なっているためです。

こうなると実際には、
ひとつのメインストリームを
追跡することだけでは、厳密には
心の流れを、明らかには出来ないことがわかります。

ある結果にどのような要因が影響しているのか、などは、
実際には非常に複雑だからです。

知覚ひとつとっても、身体的な感覚刺激からも、認知過程からも、
潜在意識的な欲求からも、意識的な注意や行動の結果からも影響を受けて、
常に変更され続けるのです。

それでは、先ほどのようなフローチャート的な捉え方は、
もはや過去の遺物なのでしょうか。

そんなことはありません。

川の流れも、目を近づけるほどに、
水分子の振る舞いは複雑で予測不能になりますが、
目を離していくほど、
全体の流れが、どのように、どこに向かっているのか、という、
それなりの構造が見えてきます。

どちらが本当の川か、という問いに意味はありません。

心の構造においても、
流れから目を離して遠くから見ると、心の過程図のようなまとまりが見え、
目を近づけて、詳細に眺めると、
それとはまったく異なる要素の振るまいが見えるのかもしれません。

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5)【近くで見る:コネクショニズム】
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ここで、流れに目を近づけたときに見えてくる心の流れのモデルに、
コネクショニズムがあります。

先ほどの、フィードバック・システムは、
心的プロセスが、単純な直列処理であるとすると、
非常に手間が掛かります。

なぜなら、常に様々なレベルの処理の間を行ったり来たりするためです。

これでは、いつまで立っても、
ゴール(行動)にたどり着きません。

単純な処理は同時並列的に行っていると考えないと、
人間の認知処理の速度は説明がつきません。

なぜって、
神経線維を伝わる電気信号(インパルス)の速度は、
コンピューターよりはるかに遅いからです。

それでも、人間の頭脳は、
コンピューターよりはるかに高速な処理を実現しています。

ですからそこには、
コンピューターにはない、
同時並列処理を行う仕組みがあるはずなのです。

このような立場を、
コネクショニズムといいます。

コネクショニズムでは、
認知処理のモデルを構築するにあたり、
先ほどのフローチャートは姿を消し、
たくさんのニューロンが並び、相互に接続し合っている図式が
登場します。

入力層   中間層   出力層

  →●A  ○  ●E→
       ○ 
  →●B  ○  ●F→
       ○ 
  →●C  ○  ●G→
       ○
  →●D  ○  ●H→

これは、実際に脳の神経系の仕組みに似ており、
ニューラルネットワークと呼ばれます。

ニューラルネットワークは、
コンピュータープログラムのように、
あらかじめ決められた経路が設定されていません。

それが、繰り返し刺激が入力されて、
その結果がフィードバックされることで、
次第に正解に近づくような情報の経路が形成されていきます。

入力a → ●A 
         → ○ 
         → ○ → ●F → 出力 b

すなわち、柔軟に変化しながら、
より良いプログラムが勝手に出来ていくことになります。

このような学習によって、成長するネットワークを用いて、
実際に複雑な問題を解かせるプログラムが作られています。

ここまでくると、
心の過程図のような図式は、
大雑把過ぎるということになります。

神経ニューロン間の接続や発火。

特に脳科学においては、
こうした脳の神経ニューロンの振るまいだけから、
心の過程図で見てきたような
心的プロセスを説明できると考えています。

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6)【我々の常識と科学的思考】
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どうでしたか。

後に行くほど、頭の中で、心の流れをイメージするのが、
逆に難しくなってきたのではないでしょうか。

認知心理学の立役者のひとり、ミラーの研究から、
我々が意識的に一度に認識できる単位は、
7プラスマイナス2程度であることが知られています。

そして、意識的な処理は並列処理が苦手です。

だからこそ、
我々には、複雑なフードバックループや、システム、
ニューラルネットワークのような並列分散処理のような仕組みは、
要素が膨大過ぎて、その全体をイメージしづらいのです。

逆に言えば、
心の流れにフローチャートのような特徴があるのは、
我々が直観的に把握しづらい流れを、
単純化して理解しやすくするための、
我々の認知の枠組みを反映しているから、
そう見えるのだ、ともいえるでしょう。

フィードバックやシステム理論、コネクショニズムについて、
これ以上深入りするのはよしましょう。

ここでは、

 ◆ 我々に理解しやすい図式以外にも、
   心の流れを説明する図式は存在するということ、

 ◆ それは、我々の認知特性に合わないので、
   日常の体験だけでは理解しにくいこと、

だけ、心に留めておいてください。

我々は、普段我々が見たいよう、
見やすいように物事を理解することに、慣れています。

しかし、気をつけていないと、
我々が見たがっている図式が、実際に存在するかのような錯覚に
とらわれてしまいます。

特に心理学は、
その根底に、まず自分の心というものに対する、
常識というか、思い込みがあるところからスタートします。

だからこそ、理解しやすい代わりに、
そのような錯覚にとらわれやすいともいえます。

フローチャートに対するコネクショニズムなどの図式は、
おそらく、日常体験からではなく、
科学的方法論にしたがって、仮説と証拠を積み上げることから
見えてくるものです。

それは、我々の素朴な世界の見方からすると、
奇妙で理解しづらいけれど、
我々の見方と両立しうる、ひとつの世界のあり方なのです。

自分の常識にだまされず、
訓練されたやり方で、証拠と推論と仮説を積み重ねることで、
目に見えない流れを見るやり方。

それが、科学的思考というものの特徴であり、
利点です。

常識と科学的思考、この両者の相互作用によって、
我々は、人間の心について、より多くのことを学ぶことが出来るのです。


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【次回配信】
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   次回 【問題号】… 8月23日(火)にお送りする予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

● 一般システム理論 1973 フォン・ベルタランフィー著 長野敬
  太田邦昌訳 みすず書房

● 「複雑系」とは何か 1996 吉永良正著 講談社現代新書

● 精神の生態学 上・下 1986 グレゴリー・ベイトソン著
  佐伯泰樹・佐藤良明・高橋和久訳 思索社

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● 現代心理学〈理論〉事典 2001 中島義明 編 朝倉書店

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


いかがでしたか。

今回は、システムという考え方が鍵概念といえます。

システムという言葉自体は、
コンピューター用語など、かなり日常語に入ってきていて、
皆さんもなじみがあると思います。

そういう意味では、直感的に把握できるし、
生態学(エコロジー)や家族療法などを勉強するには、
その程度で充分理解できると思います。

ただ、よくよく考えてみると、
システムという言葉を、自分なりの言葉で
適切に説明するのは難しいと思います。

一般には、
システム理論と言う場合、
ベルタランフィの一般システム理論を指すことが多いので、
興味があって、理系のテーマにもアレルギーがない人は、
チャレンジしてみてもいいかもしれません。

あとは、ダブルバインド説で有名なベイトソンの著作からも、
感じがつかめるでしょう。

カオスやフラクタルなどを扱う、複雑系科学と総称される領域も、
とても心理学やシステム理論に近いところにある学問なので、
覗いてみると、面白いと思います。

参考文献に入れておくので、
よかったら読んでみてください。

ここでは詳しく説明できませんが、
問題号や解説号などで、
出来る限りのフォローを入れておくことにします。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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2005年8月2日火曜日

【Clip!アカデミー】第12回:解説号「心の流れを追う」

【Clip! アカデミー】 第12回2005/08/02
第3週 問題号「心の流れを追う」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/
 


        ◆目次◆
   
            1)【前回のまとめ】
             2)【それでは問題です】
           【Q1】“身体”の側面に関する問題
           【Q2】“知覚”の側面に関する問題
           【Q3】“認知過程”の側面に関する問題
           【Q4】“意識”の側面に関する問題
           【Q5】“行動”の側面に関する問題
                【次回配信日】
                【参考文献】
                【編集後記】
   
   ====================================================================
   
      ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
   
               ■ 基本サイクル ■
               第1週「エッセイ号」…問題提起
                    ↓
               第2週「問題号」…練習問題 
         ↓
    ※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
                    ↓
              第4週 基本的にお休み
            (特別号が配信される場合があります)
                  ↓
             ■ 第2サイクルへ続く ■
   
      ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○
   
    
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   1)【前回のまとめ】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   本メルマガは、
   エッセイ号、問題号、解説号のサイクルで、動いています。
   
   前回は、エッセイ号「心の流れを追う」を受けての問題号でした。
   
   今回は、問題の解答と解説をしていきましょう。
   
    
   エッセイ号では、心を捉える新しい図式として、
   心を「流れ」として見る試みを行いました。
   
   心的プロセスを具体的に追って行くために、
   ある日Aさんの日常のヒトコマにご登場頂きました。
   
   【7月19日のAさんの日記 ※一部抜粋】
   
          ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
          | 「朝、道を歩いていると、     |
          |  通りの向こうに、        |
          |  Bさんが歩いているのが見えた。 |
          |  |
          |  とっさに顔を伏せたくなったが、 |
          |  思いなおして、軽く会釈した。」 |
          ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
   
   そして、Aさんの心の流れを追う中から、
   以下のような図式を立てたのでした。
   
   ● 心の過程図(仮)
   
      ┌――――――――┐
      |物理的エネルギー| 
      └――――――――┘
        ↓
      ┌--------------------------┐  
      |身体|→|知覚|→|認知過程|→|潜在意識|→|意識|
      └--------------------------┘  
                                ↓
                               ┌――┐
                               |行動| 
                               └――┘
   ●エッセイ号のバックナンバーはコチラ↓
   【Clip!アカデミー】第10回:エッセイ号「心の流れを追う」
   http://k.d.mail-magazine.co.jp/t/k9wv/50z6s200e8ghjsgmqu
   
   この図式についての議論は、次回エッセイ号に譲ることにして、
   さっそく問題の解説に入っていきたいと思います。
  
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2)【問題号の解説】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   
   【Q1】”身体”の側面に関する問題
   
   感覚モダリティに関する文章について、
   以下の選択肢から、不適切なものを選びなさい。
   
    ============================選択肢============================
   
     a. 感覚のモダリティは、ヘルムホルツが提唱した概念である。
   
     b. 同じモダリティに属する感覚は、質的に連続である。
   
     c. 異なるモダリティが連続して体験される共感覚は、
       条件付けで生じる。
   
     d. 感覚をモダリティで分類すると、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、
       皮膚感覚、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚などに分けられる。

    ==============================================================
   
   
   【解説】
   
   ※モダリティとは、様相と訳される言葉です。
   ほかにも、言語学などで用いられることがあるので、
   注意してください。
   
   感覚のモダリティは、心理学の立役者の一人である、
   生理学者ヘルムホルツによって、
   感覚を、区別するために提唱されました。
   
   よって、
       【 a. 】は正しい。
   
   われわれが五感を区別するとき、
   目・鼻・口・耳・皮膚のように、
   われわれが備えている物理的な感覚器官の区別によって行っています。
   
   しかし、われわれの感覚は実際にはほかにも、
   運動感覚、平衡感覚、内臓感覚など、
   感覚器官で区別しづらい感覚も存在していますし、
   触感などのように、圧力や熱さ、冷たさ、痛さなど、
   実際には区別されるべき感覚も存在しています。
   
   感覚モダリティによる区別も結果的にはそれと変わりませんが、
   その区別の仕方は、少し異なります。
   
   ここから、
         【 d. 】は正しい。
   
   物理的な器官による区別と異なり、
   主観的な体験による区別です。  
   
   ある感覚のモダリティを変化させたとき、
   連続して感じられる感覚があります。
   
   
   例えば、お風呂に入るとき、
   お湯の温度は、生ぬるさから適温、熱湯まで、連続して感じられます。
   
   音の大きさや、色の変化も、
   同様に変化のグラデーションとして感じることが出来ます。   
   
   ただ、低音から段々音階を上げていって、
   色の変化につなげることはできません。
   
   これがモダリティの特徴で、
   感覚的な質が連続して体験されるものを、同一のモダリティ、
   不連続なものを、異なるモダリティとして区別することが出来ます。
   
   よって、
        【 b. 】は 正しい。
   
   しかし、ちょっとまてよ、と思った方は
   いらっしゃいませんか。
   
   低音から高音まで音階を上げていくとき、
   我々はなだらかな音の変化を感じることが出来ますが、
   同時に、その音の変化を、色にむすびつけることも出来ます。
   
   例えば、
   黒っぽい低音から深い青、緑から、黄色、オレンジ、赤い高音、
   という具合に。
   
   よく、女性の「黄色い声」という表現を聞くことがありますが、
   これなども、高音と黄色という異なる感覚のモダリティを
   結びつけた表現です。
   
   ここまでは、あくまで文章上の表現や、
   我々のイメージの中での連想。
   
   しかし、ごくまれに、実際にこうした音の変化を色の変化として
   体験できる人も存在するようです。
   
   彼らは、例えばペパーミントの味を尖った三角錐として、
   文字通り体験するのですが、
   
   音の変化を、実際に色の変化として体験したり、
   味の変化を、形の変化として体験するなど、
   異なるモダリティの感覚が連続して体験される現象を
   共感覚といいます。
   
   この共感覚、10万人に一人といわれるまれな感覚なのですが、  
   
   つまり、この共感覚は、
   生得的な現象であって、我々が体験や条件付けによって
   身につけることはありません。
   
   よって、
         正解は 【 c. 】
   
   
   【Q2】”知覚”の側面に関する問題
   
   モジュールは、独立して働く情報処理の単位。
   
   我々の知覚を成立させている情報処理過程の少なくとも一部は、
   高度にモジュール化されていると考えられます。
   
   複雑な情報処理が、複数のモジュールによる
   多重構造から生じているとすると、
   一部が損傷しても全体の機能が止まることはないという利点が挙げられます。
   
   
   以上のようなモジュールを考えたとき、
   不必要と考えられる特徴を以下から選びなさい。
   
   
       =============選択肢=============
   
         a.強制的で高速
   
         b.記憶の参照を必要とする
   
         c.領域固有的に働く
   
         d.他のモジュールと干渉しない
   
       ===============================
   
   
   【解説】
   ※今回の問題には、モジュールについての説明文を
   付け加えました。
   
   モジュール仮説は、心理学概念としては、
   概論書レベルを超えていると考えたためです。
   
   ただし、モジュールという言葉や考え方自体は、
   知っていたほうが、研究や物の見方の面で、
   何かと便利です。
   
   そのため、問題自体はこの説明文をヒントにして推測することで、
   ある程度回答できるように作ってみました。
   
   
   モジュールは、
   複雑な処理をより簡潔に、すばやく行うことに適した構造です。
   
   例えば、パソコン。
   
   パソコンは、キーボードやディスプレイ、ハードディスク、メモリ、
   CPU・・・様々な部品で出来ています。
   
   乱暴ですが、
   パソコンは、こうしたいくつかのモジュールによって出来ているといえます。
   
   
   例えば、CDロムドライブは、それ自体が様々な部品から出来ていて、
   それ自体がCDからの情報の再生と記録という、
   ひとつの機能だけを行うモジュールです。
   
   パソコンは、元からモジュール化された部品によって作られていますが、
   我々生物も、その身体構造の多くを、
   進化の過程でモジュールとして発達させてきたと考えられます。
   
   脳の機能もモジュール化されていると考えられますが、
   もとから分解可能なモジュールとして作られたわけではないので、
   実際には、モジュールとして機能しているだろう、
   と推測できるだけで、確かなことはまだ分かっていません。
   
   機械の場合、モジュールとしてまとめておくと、
   分解や組み立てが簡単だったり、
   モジュールが壊れても、そこだけ交換できる、など、色々な利点があります。
   
   
   人間の場合も、モジュール化によって、
   情報処理のプロセスを効率化したり、
   事故などで、脳が傷ついた場合、
   被害を少なく抑えることが出来ると考えられます。
   
   首都機能が分散していれば、
   地震で東京の機能がストップしても、日本の機能はマヒしないですむ、
   という考え方と同じです。
   
   表現としては、モジュールは、
   たくさんの小さな箱として表現できます。
   
   情報は、それぞれたくさんの箱のひとつで処理されて、
   そこから出て行きます。
   
   モジュールは、特に単純で、決まったことを処理する場合に向いています。
   
   ただし、この場合のモジュールは、
   単にある作業を行う際の機能単位(まとまり)として
   比喩的に表現されただけなので、
   パソコンなどに用いられるモジュールよりも、もっと柔軟です。
   
   認知心理学にモジュールを持ち込んだのは、フォーダーです。
   
   フォーダーは、以上のような意味合いを要約して、
   モジュールを規定しています。
   
   選択肢に挙げたのはフォーダーによる規定で、
   認知プロセスが、
   モジュールとして有効に働くために必要な条件でもあります。
   
   このなかで、【 b. 】の「領域固有的」という表現は、
   先ほどでいえば、CDロムドライブがCDの再生と録音のみをする、
   ということを指します。
   
   モジュールは、特定の処理しか行いません。
   
   だからこそ、モジュール化する意味があるのです。
   
   会社の部署にしても、経理課が営業にまでいっていたら、
   せっかく専門の部署をおく意味がありません。
   
   専門の部署を置くのは、特定の作業のみを、
   迅速に、集中的に行うためです。
   
   人間の認知過程でいえば、
   視覚を成立させるための「形」や「色」、「運動」や「位置」の処理は、
   モジュールによって自動的に処理されると考えられています。
   
   フォーダーが、認知心理学におけるモジュールを強調したのは、
   人間の認知処理を、
   特定のアルゴリズム(問題解決のマニュアルのようなもの)
   に従う計算のプロセスとして取り上げるためです。
   
   その計算の方法を明らかにすることで、
   人間の認知過程の一部を明らかに出来ると考えたのです。
   
   こうした立場を、心の計算理論と呼びます。
   
   心の計算理論の限界は、こうした周辺系のモジュールに対する、
   中央系の複雑な処理は手に負えない、という点です。
   
   モジュールが専門に行う単純な処理に比べて、
   記憶と関連づけながら足りない部分を補い、
   情報をまとめ上げ、全体的な知覚を成立させる中央系の作業は、
   実に複雑で手間の掛かる作業です。
   
   こうしたことを、モジュールが行っていたら、
   せっかくのモジュールの利点がそがれてしまうでしょう。
   
   ここから、記憶との照合を必要とする作業は、
   他の特徴である高速性や、領域固有性、他のモジュールとの不干渉などと、
   矛盾することが分かります。
   
   よって、
        正解は 【 b. 】
   
   
   【Q3】”認知過程”の側面に関する問題
   
   以下に、カクテルパーティー効果のような
   選択的注意に関する説明文があります。
   
   (A)~(C)の空白に入る、適切な語句の組み合わせを
   選択肢から答えなさい。
   
   ● ブロードベンドは、(A)が多くの情報から
     一部を選別する機能を(B)と考え、
     選別された情報のみが中枢で処理されると考えた。
   
                  …これを(A)モデルという。
   
   ● これに対し、トレイスマンは、
     (B)の関与しない情報も、弱められるが中枢に送られることで、
     自分の名前など重要な情報の場合、それに気づくことが出来るとした。
   
                  …これを(C)説という。
   
   
       ==================選択肢=================
   
          (A)    (B)    (C)
   
        a. 注意    刺激の減衰 フィルター
   
        b. フィルター 注意    刺激の減衰
   
        c. 注意    フィルター 刺激の減衰
   
      =========================================
   
   
   【解説】
   ※ブロードベンドは、
   認知心理学的な視点を心理学に導入したはじめの一人であり、
   選択的注意の研究も、行動主義によって追放された「注意」という主観的な現
   象を、
   心理学の領域に取り戻したという点で、重要な意味を持っています。
   
   カクテルパーティー効果は、
   特定の情報に選択的に注意を向け、
   ほかの情報を無視することができることを指します。
   
   この効果を研究するには、
   チェリーの行った両耳分離聴という実験を用います。
   
   その実験では、
   右耳と左耳で、異なる情報を聞かせます。
   
   一方の耳からの情報に注意してもらうため、
   その情報を口で繰り返してもらいます(追唱)。
   
   もう一方の耳からの情報は、
   男女の性別など、物理的な属性までは覚えていても、
   その意味までは把握できないことが、実験から分かっています。
   
   ここからブロードベンドは、
   注意を向けていない情報は、物理的・感覚的な情報は処理できても、
   意味の処理はできないと考えました。
   
   意味の処理は単一のチャンネルしかなく、
   複数のチャンネルから入ってくる感覚情報の全てを、
   同時に処理することができないのではないか。
   
   ブロードベンドは、
   このような振る舞いをする仕組みを考えるにあたり、
   当時シャノンとウィーバーらによって提唱された
   情報処理理論に依拠しました。
   
   情報処理理論は、
   もともと通信システム間での情報のやり取りに関する、
   数学的理論です。
   
   送信機から受信機へ情報を送るときにどれだけの
   情報が失われるのか、情報の単位量をどう考えるか、などに有効で、
   人間を通信システムの一種とみなすことで、
   心理学にも応用されるようになります。
   
   ADSLや光回線などを例に取るまでもなく、
   通信回線にも情報が通過できる容量というものがあります。
   
   一度に全ての情報を、意味処理のチャンネルに
   送ることは出来ません。
   
   そこでブロードベンドが想定したのが一種のフィルターでした。
   
   フィルターによって必要な情報を選別する機能を、
   注意と考えることが出来ます。
   
   よって、
       (A)…フィルター
       (B)…注意
   
   感覚器官から短期記憶に情報が送られ、
   フィルターを通過した情報のみが、さらに意味処理の過程に回される。
   
   こうした情報処理の流れは、
   
   感覚入力 → 短期記憶 → フィルター → 意味処理
   
   と表せます。
   
   トレイスマンの修正モデルでは、
   フィルターを通過しなかった情報についての修正が施されました。
   
   カクテルパーティー効果では、
   例えば、自分の名前など、自分の注意を特別ひくような情報なら、
   注意を向けていなくても、それと気づくことができたのです。
   
   自分の名前だと気づくためには、
   情報が意味処理を受けていなければなりません。
   
   フィルターで情報を切り捨ててしまっては、無理なことです。
   
   そこでトレイスマンは、
   フィルターは情報を切り捨てるわけではなく、
   単に弱めるだけで、失われてはいない、という刺激の減衰説を提唱しました。
   
   
   (C)… 刺激の減衰
   
   よって、
          (A)   (B)   (C)
       b. フィルター  注意   刺激の減衰
   
           【 b. 】が正解
   
   注意通信には人間をひとつの通信システムと見なす所から、
   情報理論の心理学への応用が始まりました。
   
   これは、コンピューターとの比較、
   脳の構造との比較など、
   比較の対象は変化していますが、
   今でも心を捉える上での重要な視点となっています。
   
   
   【Q4】”意識”の側面に関する問題
   
    【哲学的ゾンビ】
   
     「我々と同じように振るまい、同じように感情を表現し、
      同じ知能を持つように見えるが、
      我々のような意識や主体だけが存在しない仮想的存在。」
   
   このような存在を想定することから、何が分かるでしょうか。
   以下の選択肢から、もっとも適切なものを選びなさい。
   
   
     ===========================選択肢===========================
   
      a.他人に意識があるかどうかを客観的に証明することは出来ない。
   
      b.哲学的ゾンビを作り出すような大脳の損傷部位から、
       意識の座を脳の機能として証明することが出来る。
   
      c.哲学的ゾンビは存在しない。
   
    ============================================================
   
   
   【解説】
   ※ 主観的体験としての意識は、
   もっとも科学的なアプローチの難しい難問であると同時に、
   臨床の場においては、実践の前提条件でもあります。
   
   
   前々回お届けしたClip!アカデミーのエッセイ号では、
   感覚情報を受け取ってから、行動に至るまでの、心の流れを、
   たどってみました。
   
   あの中で、意識のプロセスが抜けると、どうなるのでしょうか。
   
   あの心の流れの図式では、
   それまでの情報処理の流れを受けて、
   最後に総合的な判断を行うのが意識でした。
   
   意識がない、ということは、
   一般的な常識からすると、首から上がそっくりないのと同じくらい、
   あり得ないことのように思えます。
   
   しかし、最近の脳研究においては、
   少なくとも現時点では否定できないのが、哲学的ゾンビの存在です。
   
   我々は、普段、心の過程図でたどったように、
   あらゆる感覚情報を、総合して意識し、
   最終的な決断をしているように感じています。
   
   それに対し、脳研究の結果からは、
   脳の機能が我々にそうした感覚を与えることに関与しており、
   実際に総合的な判断の主体としての意識が存在するかどうかについては、
   議論が分かれています。
   
   そのひとつが分離脳の研究であり、
   もうひとつが、リベットによる運動野の準備電位の研究です。
   
   スペリーの分離脳の研究は、
   てんかん発作を抑えるための治療法として、
   1960年代から70年代、脳梁を切断された患者に対して行われたものです。
   
   分離脳においては、切り離された右脳と左脳は、
   情報の連絡ができないため、それぞれ独自に反応します。
   
   この場合、右脳の司る左目だけにエンピツを見せ、左手がそれをつかんでも、
   
   左脳はそれを知ることができません。
   
   言語中枢のある左脳に行動の理由をたずねても、
   あとづけの解釈しかできない、という結果になります。
   
   一方、1970~80年代に行われたリベットの研究も、
   盛んな議論を呼びました。
   
   我々が随意運動を行うことを決める0.35秒前に、
   脳の該当の部位に準備電位が認められる。
   
   このことは、我々が意識的に「動こう」と決める前に、
   すでに身体の方は動く準備を始めている、ということを示唆しています。
   
   そこで、我々が意図してコップを手に取ろうとする場合にも、
   すでに意識的に決断する前に、
   コップを手に取る動作が、脳の中で生じている可能性が論じられたのです。
   
   我々は普段、
   「私は気(意識)を失っていた」という言い方をしますが、
   これは、覚醒(水準)のことです。
   
   ここで問題になるのは、
   主観的体験、あたかも身体の中から自分自身や、
   外の世界を眺めている主体があるかのように感じる心のことなのです。
   
   これは、自己意識、現象学的意識、ホムンクルス(脳の中の小人)
   などと呼ばれることがあります。
   
   現在のところ、脳の特定の部位に、脳の機能を統括し、
   意識を生じさせる仕組みがあるわけではないことが分かっています。
   
   だだし、脳科学・認知科学は、
   我々が問題にしている意識、すなわち、現象(学)的意識を、
   脳のニューロンや、情報処理の仕組みだけから
   説明できると考えています。
   
   一方で、それを経験の主観性を無視しているという批判が、
   哲学から出てくることになる。
   
   そこから、意識をめぐって、
   我々はなぜ哲学的ゾンビではないのか、という問いが
   発せられることになるのです。
   
   現在、脳研究の結果と、我々が日々感じている素朴な実感、
   この両方を満足させるような説明を求めて、研究が進められていますが、
   今はまだ解決されていません。
   
   よって、
       正解は、【 a. 】
   
   ヴントが初の心理学研究室を、ライプチヒに開いたとき、
   心理学は意識を研究する学問であるとされました。
   
   しかし、心理学が科学として確立していくなかで、
   意識を直接研究する、という行為は、
   いつの時代もどことなくタブー視されてきたところがあります。
   
   こう書くと、中にはびっくりなさる方もいるかもしれません。
   
   というのは、
   同じ心理学でも、臨床心理学などにおいては、
   主観的経験としての意識を、自明の前提として扱っている場合が多いためです。
   
   
   どのような臨床的援助も、
   クライエントの感じていること、
   主観的経験なくしては成立しません。
   
   この点は、例え意識の仕組みが、
   我々の素朴な思いこみからかけ離れたモノであったとしても、
   変わることはないでしょう。
   
   我々が経験的に知っている、こうした意識体験の特徴と、
   脳科学・認知科学における近年の研究結果とは、
   果たしてどのように結びつくのでしょうか。
   
   科学的手続きの重要性と、語り得ないものへの謙虚さを
   ふまえつつ、我々の実感が正しいことを信じて、
   今後の動向に注目したいものです。
   
   
   【Q5】”行動”の側面に関する問題
   
   運動を引き起こす筋や腺は、効果器と呼ばれます。
   
   効果器への神経経路を示した以下の図のうち、
   空白を埋める語句の適切な組み合わせを、以下の選択肢から答えなさい。
   
   中枢神経系→脊椎前柱→体性運動ニューロン→(1)→(2)運動(オペラント反応)
   
   
   →交感神経幹・神経節→自律性運動ニューロン→(3)・(4)→(5)運動
   
   
   (3)は、内臓を構成し、(4)は、外分泌(涙や汗)、
   内分泌(各種ホルモン)を行う。
   
   
   A 随意  B 腺  C 骨格筋  D 平滑筋  E 不随意
   
   
        ===============選択肢=============
   
          (1)(2)(3)(4)(5)
   
         a. B  C  D  E  A 
   
         b. D  E  B  C  A
   
         c. D  A  C  B  E
   
         d. C  A  D  B  E
   
        =================================
   
   
   【解説】
   ※ ここでは、行動主義が対象としてきた各種の行動について、
   その神経生理学的な基盤をまとめていきましょう。
   
   
   我々の行う行動は、全て効果器と呼ばれる器官によって
   引き起こされます。
   
   随意運動、不随意運動、反射に分けられます。
   
   行動主義は、我々の行動を、
   大まかにオペラント行動と、レスポンデント行動の、
   二つに区別します。
   
   オペラント行動は、自発的になされる行動であり、
   我々が意図的に引き起こすことのできる随意運動です。
   
   ただ、行動主義におけるオペラント行動の捉え方は、
   オペラント水準といって、
   確率的に生じる偶発的な行動、というものです。
   
   その偶発的な行動に対し、なんらかの報酬や罰が伴うと、
   次回その行動が生じる確率が高まります。
   
   一方、レスポンデント行動は、生得的な反射要素を含む行動です。
   
   パブロフの犬は、エサを前にして、
   生得的な反射的行動である唾液反射を引き起こしましたが、
   それに毎回ベルの音を随伴させると、
   ベルの音でも唾液反射を引き起こすようになりました。
   
   このように、レスポンデント行動は、生得的で、
   生きるために必要な行動を多く含みます。
   
   特定の刺激(条件刺激CS)に対して生じる反応ですが、
   条件刺激に、無関係な刺激(無条件刺激US)を合わせて与えると、
   条件付けが成立します。
   
   先ほどあげた唾液反射を始め、
   心臓の脈動や、胃や腸の収縮運動、発汗や瞳孔の拡大・収縮など。
   
   これらは、通常我々が意識せずとも生じる不随意運動です。
   
   ほかに、
   我々が通常思い浮かべる反射があります。
   
   姿勢反射や防御反応などのように、
   特定の刺激に急速に反応するための、生得的で固定された運動です。
   
   これらは、上の二つの運動とは異なり、
   高次の脳による複雑な処理を受けない、短く単純な神経経路によって生じます。
   
   
   それでは、
   随意運動と不随意運動は、どのようにして生じるのでしょうか。
   
   まず、我々の全ての運動は、
   効果器と呼ばれる器官によって生じます。
   
   この効果器には、骨格筋、平滑筋、腺が含まれます。
   
   随意運動を生じるのが骨格筋であり、内臓諸器官を動かすのが、平滑筋です。
   
   
   汗や唾液を分泌する外分泌系と、
   各種ホルモンを分泌する内分泌系に分かれる腺も、
   効果器の一つです。
   
   随意筋と不随意筋では、司る神経が異なります。
   
   随意筋につながっているのは、
   体性神経系に属する体性運動ニューロンです。
   
   不随意筋や腺には、
   自律神経系に属する自律性運動ニューロンがつながっています。
   
   以上を、問題に載せた表に沿ってまとめると以下のようになります。
   
   ● オペラント運動の経路

    中枢神経系→ 体性神経系 →(1)C骨格筋→(2)A随意運動
   
   ● レスポンデント運動の経路

     中枢神経系→ 自律神経系 →(3)平滑筋・(4)B腺→(5)E不随意運動
   
   (3)D平滑筋は、内臓を構成し、(4)B腺は、外分泌(涙や汗)、
   内分泌(各種ホルモン)を行う。
   
   よって、    (1) (2) (3) (4) (5)
    d. C   A   D   B   E
   
     
        正解は【 d. 】
   
   このように、オペラント行動と、レスポンダント行動では、
   神経経路や司る行動が異なります。
   
   自律神経系は、危険やリラックスなど、
   我々にとって重要な生存環境に結びついています。
   
   だから我々は、レスポンダント条件付けを通して、
   中性刺激が、(危険やリラックスなど)我々のどのような状態を表すか
   を学習することができるのです。
   
   これを、認知心理学的に表現すると、
   ブザー音が、「エサ」=おいしい、うれしい、を表す心的表象となった、
   ということになります。
   
   初期の行動主義は、オペラント行動と強化を重視しましたが、
   我々が言語やイメージといった心的表象を用いて、
   何ができるかを考えると、レスポンダント条件付けの重要性は、
   驚くべきものがあります。
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【次回配信】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
      次回 【エッセイ号】… 8月16日(火)にお送りする予定です。
  
※ 次週9日の特別号は、お休みをいただきます。
 
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【参考文献】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   ◎お勧め:
  
 ● 分離脳について:よく出来たHP:
       http://k.d.mail-magazine.co.jp/t/k9wv/50z6u200e8ghjsgmqu
   
   ● 共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人 2002
   リチャード・E. シトーウィック 著 山下 篤子 訳 草思社
  
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  ● 現代心理学〈理論〉事典 2001 中島義明 編 朝倉書店
   
   ● 脳内現象〈私〉はいかに創られるか 2004 茂木健一郎 
     日本放送出版協会
   
   ● 意識の神経哲学 2004 河村 次郎 著 萌書房
   
   ● 脳内現象〈私〉はいかに創られるか 2004 茂木健一郎 
     日本放送出版協会
   
   ● 心理学物語-テーマの歴史 2004 R.C.ボールズ著 富田 達彦 訳 
    北大路書房
   
   ● 心理用語の基礎知識 東洋・大山正・詫摩武俊 他 1973 有斐閣
   
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   【編集後記】
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解説号をお送りしました。

   本メルマガは、
   バウムクーヘンのように、
   心理学全体を一度に提示し、視点を代えて
   繰り返し全体を積み重ねていく形式になっています。

   バウムクーヘンは、
   生地を焼き重ねていくごとに、
   全体が大きくなっていきます。

   本サイクルで、図式も二つ目になります。

   Clip!アカデミーでも、
   同じ全体を繰り返すわけですから、
   内容も、より深く、概論をはみ出す内容も盛り込んでいく方向
   で書いていきたいと考えています。

   ただ、場合によっては、
   内容が難しすぎるとか、長すぎる、というご感想を
   お持ちになることもあるでしょう。

   そんなときは、ぜひ事務局までご一報下さい。

   アンケートのほうも、ご協力ありがとうございます。

   まだの方も、
   まだしばらく続けますので、
   気が向いたときに答えてみていただけるとありがたいです。
      
   来週9日は、夏休みをいただきたいと思います。

   次回16日のエッセイ号でお目にかかります。
   
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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