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2005年5月31日火曜日

【Clip!アカデミー】第5回:問題号「心の側面をどう捉えるか」

 【Clip! アカデミー】 第5回 2005/05/31     
 第2週 解説号「心の側面をどう捉えるか」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

                 
         ◆目次◆
   
         1)【前回のまとめ】
        2)【それでは問題です】
      【Q1】「意識」に関する問題
     【Q2】「身体」に関する問題
     【Q3】「認知過程」に関する問題
     【Q4】「ゲシュタルト」に関する問題
     【Q5】心理学の「枠組み」に関する問題         
                【参考文献】
                【編集後記】
   
   =============================================================
   
   
   
      ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
       
   
               ■ 基本サイクル ■
               第1週「エッセイ号」…問題提起
                    ↓
     【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題 
                    ↓
          第3週「解説号」…確認とフィードバック
                    ↓
              第4週 基本的にお休み
          (特別号が配信される場合があります)
                 ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■
   
   
      ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○
   
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   1) 【前回のまとめ】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   前回は、「心の側面をどう捉えるか」と題して、
   エッセイ号をお送りしました。
    
   その結果、心理学で扱われている心の側面を、
   暫定的に以下の6つの側面から捉える試みをしました。
   
   そして、“コンビニの社長=意識が、各店舗の現状(現実)をどのように知るか”
   という例を通じて、心の各側面のつながりを、総体的に把握する、
   ひとつの枠組みを提示したのでした。
   
      
   ● コンビ二の各側面           
   ┏━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┃本社┃ 報告書 |店長の野望| レジ ┃従業員┃販売|
   ┃社長┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┗━━┻━━━━━┻━━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛ 
   
   ● 心の各側面          
   ┏━━┳━━━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃   知覚 | | ┃  ┃ |
   ┃意識┃ゲシュタルト|潜在意識|認知過程┃身体 ┃行動|
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃ | | ┃  ┃ |
   ┗━━┻━━━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛     
   
   ● 外界とのかかわりから生じてくる3つの側面
      ◆ 他者との比較=個人差  
      ◆ 過去との比較=発達
      ◆ 他者との関わり=コミュニケーション
   
   今回は、前回展開してきた、心の各側面に関連した問題を出題します。
   
   各側面についてのイメージを膨らましつつ、
   基礎的な知識を確認してみてください。
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2) 【それでは問題です】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   
   【Q1】「意識」に関する問題
   
   以下に挙げた研究者の、意識についての考え方について、
   正しい組み合わせを、次の選択肢から選びなさい。
  
  (1) ワトソン (2) フロイト (3) フェヒナー (4) ヴント
   
   A 意識と身体との間の関数関係を明らかにする必要がある。
   B 意識こそ、心理学の研究対象である。
   C 意識よりも、意識されないものが重要である。
   D 人間を理解するために、意識を研究する必要はない。
   
   
        ==============選択肢===============
    
          (1) (2) (3)  (4) 
     
         a. B C A D
        
       b. A B D C
        
         c. D C A B
        
         d. D   A B C
        
        ===================================
   
   
   【Q2】「身体」に関する問題
   
   身体の側面から、心へ影響を与える方法の1つとして、
   薬物療法が挙げられる。
   抗うつ薬であるSSRIがうつ症状の軽減に効果を発揮するとき、
   脳の内部で作用しているのはどこか。
   もっとも適当と考えられる選択肢を選びなさい。
   
   
        =========選択肢=========
   
         a. シナプス
         b. レセプター
         c. トランスポーター
         d. セロトニン
   
        ========================
   
   
   【Q3】「認知過程」に関する問題
   
   認知過程の特徴として、もっとも適当な語句の組み合わせを
   次の選択肢から選びなさい。
        A 感覚刺激
        B 記憶や思考
        C 独自な構造
   
        ========選択肢=========
      
         a. A + C
         b. B
         c. A + B + C
      
        =======================
   
   
   【Q4】「ゲシュタルト」に関する問題
   
   以下に示した選択肢のうち、
   知覚現象におけるゲシュタルトの存在を
   示唆するとはいえないもの、を選びなさい。
   
   
        ==========選択肢==========
        
         a. 仮現運動
         b. 両眼視差
         c. 図と地
         d. プレグナンツの法則
        
        ==========================
   
   
   【Q5】心理学の「枠組み」に関する問題
   
   ゲントナーとグルーディンは、
   心理学は歴史的に、「生き物」「神経」「空間」「システム」
   の4つのメタファーによって説明されてきたとしている。
   心理学史後期において、もっとも多く利用されたメタファーは、
   次のうちどれか。
   
   
        =======選択肢=======
        
         a. 「神経」
         b. 「生き物」
         c. 「システム」
         d. 「空間」
        
        ===================
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【次回配信】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
      次回 【解説号】… 6月7日(火)にお送りする予定です。
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【参考文献】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   ● 比喩から学ぶ心理学 2004 田邊敏明 北大路出版
   ● キーワードコレクション 心理学 1994 重野純 新曜社
   ● 心理用語の基礎知識 1973 東 洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 友斐閣
   ● 心理学 1996 鹿取廣人・杉本敏夫 東京大学出版会
   ● 心理学辞典 1999 中島義明ら 編 有斐閣 
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【編集後記】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
   今回の問題号はいかがだったでしょうか。
   
   問題号は、問題に答えたり、調べたりする過程で、
   なるべく多くの基礎概念に触れてもらうことを目的に作っています。
   
   中には難しい問題も混じっているかもしれませんが、
   正解不正解にこだわらず、
   ぜひチャレンジしてみてくださいね。
   
   =============================================================
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。

2005年5月24日火曜日

【Clip!アカデミー】第4回「心の側面をどうとらえるか」

臨床心理士指定大学院受験講座メールマガジン
http://clinicalpsychology.jp/index.shtml
【Clip! アカデミー】 第4回 
第1週 エッセイ号「心の側面をどう捉えるか」

               ◆目次◆
 
         1)【前回のまとめ】
         2)【心の側面をどう捉えるか】
         3)【理解の道具としてのストーリー】
        4)【コンビニの経営者が見ているもの】
        5)【まとめの図解】
                【参考文献】
                【編集後記】
 
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   1) 【前回のまとめ】 
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
   
   前回までの3回では、
   
  「みなさんはどんな勉強をしていますか?」
  
   と題して、
    
   
   今回からは、しばらくの間、
   心理学の諸側面、心の仕組みについて、   
   
   様々なストーリーや比喩を通して、
   枠組みを与えていく試みをしていきたいと思います。
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   2) 【心の側面をどう捉えるか】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
  
   心は、いくつもの側面を持っていると、
   心理学では理解されています。
   
   まず始めに思いつくのは、意識、ですよね。
   
   ほかには、無意識。
   
   これだけで、心は二つの側面を持っている、
   ということができます。
   二つならまだいいのですが、
   心理学の勉強を始めていれば、行動や、認知過程、
   なども心の側面として出てくるのではないでしょうか。
   
   感情や、思考、記憶、感覚・知覚、動機付けなども、
   よく心理学概論書でお目に掛かります。
   
   心理学自体も、それに伴って、
   ○心理学、××心理学、△△心理学…、と、
   際限なく分類できます。
   
   このように、
   心理学おいては、心の側面を挙げていくと限りがありません。
   心は、元々目に見えない部分がほとんどですから、
   基本的にはどういう側面を仮定してもかまわないわけです。
   しかも各側面は、その成り立ちも、研究のされ方もバラバラ。
     
   ● ここで、心理学を勉強する上での問題が1つ出てきます。   
   
          それは、とても憶えにくい。
   
   ということです。
 
     ◆ お互いにどんな関係で、
   
     ◆ どのように心理学という全体を構成しているのか、
   
   
   という勘どころ、すなわち、
          心理学全体が見えてくる
   
   までには、結局かなりの時間が経過していることになります。
   もともと、人間の記憶は、一度に7個の要素が限界とされています。
   
   バラバラに並んだ情報は、記憶に負担をかけます。
   
   心理学を学び始めた人のぶつかる壁。
   それが、   
   
        
        ==========================

        よくわからないけれど、
        とにかく暗記する以外ないか
 
==========================
   と思わせる、心理学の特徴なのです。
   
    
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   3) 【理解の道具としてのストーリー】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
     
   
   それでは、
   どうすれば、心理学で扱われている心の各側面を、
   全体として理解することが可能になるでしょうか。
   ここで、問題をこう読み代えてみましょう。
   ==============================================
   暗記するしかない
            イコール
   こころの持つ様々な側面をまとめて理解するための、
一貫した枠組みがない
   ==============================================
  
   ということです。
   
   たとえば、人間の身体の構造について理解する場合を考えてみます。
   心臓や肝臓、手足、神経などなど、
   人体は無数の複雑なパーツで出来上がっています。
   それでも、混乱を防ぐことができるのは、
   我々が、人体という全体に、
   各パーツが位置づけられるのかを、
   具体的にイメージすることができるためです。   
      
   
   つまり、バラバラの各側面をバラバラに記憶するのではなく、
   整理しながら理解するためには、
   なんらかの枠組みが必要だということです。
   このことは、第1回においても、
   先行オーガナイザーの有効性という形でご説明しました。
   
           
   そのため、
   
   情報を構造化して、ストーリーにすることで、
   記憶にかかる負担を軽減することが、
   学習のコツに数えられるわけです。
   
   
   ルート5=2.23620679=富士山麓にオウム鳴く。
   
   これもその1つです。
   
   
   もともと枠組みがないところに、
   無理やり枠組みを持ち込むということは、
   それだけ、一面的で、強引な枠組みにならざるを得ません。
   
   ただ、枠組みからはみ出すところを議論していくことは、
   逆に、我々に興味深いトピックスを提供してくれるはずです。
  
   その点を議論する中で、新しい枠組みを建てていく。
   その積み重ねの中から、心理学という学問の全体が、
   おぼろげながら、姿を現すのではないでしょうか。    
     
   
   ということで、
   今回からは、心理学の各側面を整理し、
   心理学全体をストーリーの中に位置付けていく、
   という試みをしていきたいと思います。
   
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   4) 【コンビニ経営者が見ているもの】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
 
   さて、以上のような議論を受けて、
   
   今回は、
      コンビニの仕組み
   を通して、
   心にどのような側面を置くかを検討していきましょう。
   
   あまりに唐突で、面食らった方もいるかもしれませんが、
   まずは、ウォーミングアップ。
   身近なコンビニを思い浮かべてみましょう。
   
   そして、
   
   あるとき、本社の社長が、
   ================================
   今、現場はどうなっているんだろう。
================================
   と、考えたとします。
   
   ここで心でいうなら、
   
        【社長=意識】
   
   です。
   
   意識とは、人間にとって、直接体験している感情や感覚など、
   「私」が存在している、という感覚の根拠となっている部分です。
   
   さて、次に、社長が、現場の状況を知るにはどうすればいいでしょうか。
   
   これは人間でいえば、
   我々が外界を認識するために、どうするか、
   ということに当たるでしょう。
   
   現場を視察するにしても、
   チェーン店は全国にあります。
   仮に全国のチェーン店をすべて回れば、
   現場の状況を理解することができるでしょうか?
   
  
   ● 結論からいうと、社長(=意識)は、
   “現場の状況”なるものの全貌を見ることは出来ないのですね。
   
   というよりも、
   そもそも“現場の状況”などという現実そのものは、
   存在しない、ということができます。
   
   存在しているのは、
   従業員たちが、様々な現場で日々働いている、
   という事実です。
   
   ここで、
   【従業員=身体】
   
   と言えるでしょう。
   
   ここでいう身体の中には、実際に動く手足という以外に、
   【感覚器官および、脳を含む神経ネットワーク】
   も含まれます。   
   かれらは、その仕事の中で、様々なお客さんと接し、
   棚卸や清掃まで、様々な作業を繰り返しています。
   バイトがレジに値段を打ち込んだり、
   店長に引き継いだり、日誌を書いたりすると、
   様々な形で体験が他の形式の情報に変換されていきます。
   
   
   神経ネットワークでいうならば、
                     
   光の波長や、振動など、様々な形で感覚器官が捉えた外界の変化が、
   電気信号や化学物質に変えられて神経を運ばれるプロセス
   と比較することができるでしょう。      
   
     
   そして、そうした現場の情報は、
   レジから入力された統計情報や、
   日誌や報告書に記入された記述として、
   中間管理職たちによって集約され、加工されます。
   
   【レジ=認知過程】
   
   ここには、自分たちや外部に関する、
   様々な憶測や仮定、願望も入り込みます。
   その中には、店長が売り上げを水増しするなど、
   店長の個人的野望など、感情的な要素も
   入ってくるかもしれません。
   
   【店長の野望=潜在意識】
   そうして最終的にまとめられた最終報告書が、
   社長の見ることの出来る“現場の状況”なのです。
   
      
   社長が見ているこの最終報告書が、人間でいえば、
   最終的に認識されるべく構成された知覚、
   我々が今ここで見ている世界です。
   
   【報告書=知覚】
   
   ただし、知覚の特徴として、
   ひとつの世界=ストーリーとして統合(体制化)されている点を
   上げることが出来ます。
   
   コンビニで言えば、ここで上がってくる報告書は、
   おそらく現場で社員達が生み出している断片的な情報ではなくて、
   それらを集約した1つのストーリーとしての性質を
   持っているでしょう。
   このストーリーは、単なる断片的な情報の総和ではなく、
   社員一人一人からの情報に還元することが出来ません。
   
   こうした特徴を、心理学では、ゲシュタルトといいます。
   
   つまり、報告書は、
   ゲシュタルトとして体制化されていることになります。
   
   【報告書=ゲシュタルト】
   
   ゲシュタルトという性質は、知覚以外にも、様々な領域で見られる、
   心の基本的な側面ということができるでしょう。
   
   こうして社長は、存在しないはずの“現場の状況”を、
   1つのストーリーとして手にします。
   
   このストーリーは、現実の中には存在しない、
   という意味で厳密にはフィクションですが、
   会社の意志決定には役立ちます。
   
   社長はそれを元に、状況を判断し、会社としての基本方針を決定し、
   現場に販売の方針を提示しなければなりません。
   
   【販売=行動】
   
   我々が、自分の現状を認識するまでに、
   このような多くの心的プロセスがかかわっているのです。
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   5) 【まとめの図解】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
  
   
   ここで、これから心理学の勉強をたどっていくために、
   今回コンビ二の例でたどってきた心の仕組みを、
   図式にまとめてみます。
   
                         
            心の各側面          
   ┏━━┳━━━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃   知覚 | | ┃  ┃ |
   ┃意識┃ゲシュタルト|潜在意識|認知過程┃身体 ┃行動|
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃ | | ┃  ┃ |
   ┗━━┻━━━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛        
      
           コンビ二の各側面           
   ┏━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┃本社┃ 報告書 |店長の野望| レジ ┃従業員┃販売|
   ┃社長┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┗━━┻━━━━━┻━━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛        
      
   
   この6つの側面に、                        
   
   
     ◆ 他者との比較=個人差
     ◆ 過去との比較=発達
     ◆ 他者との関わり=コミュニケーション
   
   という外界との関係で生じてくる3つの側面を加えると、
   心理学が対象とする心の側面は、大体出揃うことになります。
   
   これからは、これらの側面を、様々な角度から
   検討していく予定なので、今回はこの図式だけでも
   頭に入れておいてください。
   
   
   次回は、今回見てきた心の各側面について、
   基礎的な知識を確認する問題号をお届けします。   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【参考文献】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
   
   ※ 今回は、心理学概論を新しい枠組みで捉えようという、
     野心的な参考書をご紹介したいと思います。
    
   ● 【心理学物語-テーマの歴史】 2004 R.C.ボールズ 北王子書房
   ● 【比喩から学ぶ心理学-心理学理論の新しい見方】 2000 田辺 敏明 
      北王子書房    
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【編集後記】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
   
   いよいよ本論に入りました。
   
   特にゲシュタルトという概念は説明が難しく、      
   日常にどうつながるかわかりづらいため、
   皆さん理解に苦労するところのようです。
   そうした概念も、全体の流れの中に位置づけてみると、
   やはり心理学にとって、重要な側面なのだということが
   わかるかと思います。
   
   この説明でもわかりづらいかな・・・。
   
   簡単すぎるという方も、
   これからの展開の中で、
   より詳細に、より専門的な内容も織り込んでいく予定なので、
   お待ちください。
 
   ===================================================================
    
   □■■■■■■送信者:臨床心理士指定大学院受験講座■■■■■■■□
       http://clinicalpsychology.jp/index.shtml
   ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
    無断転載・転用を禁止します。
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2005年5月10日火曜日

【Clip!アカデミー】第3回:解説号「みなさんはどんな勉強をしていますか?」

臨床心理士指定大学院受験講座メールマガジン
http://clinicalpsychology.jp/index.shtml 
【Clip! アカデミー】 第3回解説号「みなさんはどんな勉強をしていますか?」
  
         ◆目次◆
  
         1)【前回のまとめ】
        2)【問題号の解説】
     【Q1】先行オーガナイザーに関する問題
    【Q2】有意味受容学習に関する問題
    【Q3】様々な学習理論とその提唱者に関する問題
    【Q4】ピグマリオン効果に関する問題
    【Q5】プログラム学習に関する問題
                【参考文献】
                【編集後記】
   ==================================================================
   
   
      ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
       
  
               ■ 基本サイクル ■
               第1週「エッセイ号」…問題提起
                    ↓
               第2週「問題号」…練習問題 
                    ↓
【今回はこちら!】第3週「解説号」…確認とフィードバック
                    ↓
              第4週 基本的にお休み
          (特別号が配信される場合があります)
                 ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■
      ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   1) 【前回のまとめ】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
    第2回である前回は、
    5問の、学習にまつわる問題をお送りしました。
 以下に、その5問の出題分野を挙げます。
   
 
    ==================================================
    
 【Q1】先行オーガナイザーに関する問題
   
【Q2】有意味受容学習に関する問題
   
【Q3】様々な学習理論とその提唱者に関する問題
   
【Q4】ピグマリオン効果に関する問題
   
【Q5】プログラム学習に関する問題
   
    ==================================================
   
   ※ 解説号である今回第3回は、前回の問題号の各問題の正解と、
   その解説をお送りします。
   「みなさんはどんな勉強をしていますか?」は今回で最後。
   
   
   次回エッセイ号は、新しいトピックスにはいります。
   お休みをはさんで、5月24日(火)の配信予定です。
 
   
   それではまいりましょう。
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   2) 【問題の解説】
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   【Q1】先行オーガナイザーに関する問題 
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   先行オーガナイザーには、次の二つがあるといわれる。
   学習材料に関する知識が少ない場合、有効と考えられるのはどちらか。
   
         =========選択肢==========
         a. 比較オーガナイザー
   
         b. 概念的オーガナイザー
   
         =========================
   ※ エッセイ号でも取り上げた、先行オーガナイザーの問題からです。
   ◆ 概念的(説明)オーガナイザー…学習内容を概念化して説明するもの
   ◆ 比較オーガナイザー…類似概念AとBを比較し、区別するもの
   子どもに、「労働」という言葉の意味を教えるとき、
   八百屋の子と会社員の子では、
   学習材料に関する知識には差があると考えられます。
   八百屋の子は、いつもお店で家族がしていることを見ていますから、
   
     「お金を稼ぐために、お店でお父さんがしていること」
   というと、ああ、ああいうことか、
   と漠然としたイメージを持つことができます。
        
                   → 概念化オーガナイザー
   また、この子に、
     「賃金労働=お父さんがお店でしていること、
      家事労働=お母さんが、家でしていること」
    という図を見せれば、「働く」ことにもいろいろな種類があるのだ、
    という学習の構えが出来ます。
                   → 比較オーガナイザー
   上記の二つの例を比べてみると、
   どちらがより多くの既有知識を必要とするかはお分かりでしょう。
よって、
   正解は、   【 b 】
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   【Q2】 オーズベルに関する問題
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   オーズベルは、先行オーガナイザーを用いた学習法として、
   有意味受容学習の有効性を提唱した。
   
   逆に、批判の対象として比較したのは、次のうちどれか。
   
    ==========選択肢=========
         
         a. 問題解決学習
   
         b. 発見学習
   
         c. 機械的(暗記的)学習
   
         d. プログラム学習
    =========================
   
   ※ 続いて、先行オーガナイザーの提唱者、オーズベルに関する問題です。
   オーズベルの提唱した先行オーガナイザーは、
   同じく彼の提唱した、有意味受容学習のための道具です。
 
   受容学習とは、教師が知識を提示し、
   生徒がそれを自分の知識構造の中に受容し、位置付けていく学習です。
   
しかし、この説明だと、確かに普段自分がしていることに近い気がするけれど、
  
   ====================
   暗記とどこが違うの?
====================

   という疑問がわいてきませんか?

   学習が暗記学習になるか、有意味受容学習になるかは、
     学習者が、学んでいる知識を、自分の既有知識と結び付けて、
     自分にとって意味があるものとして受け止めていけるかどうか、
   すなわち、
   
   「学習材料を、自分にとって意味のある知識にできるかどうか」なのです。
   ここにこそ、先行オーガナイザーの役割があります。
   
   それと対照的なのが、発見学習です。
   
   発見学習とは、
   生徒自らが、仮説の構築から検証に至るプロセスを繰り返すなかで、
   学ぶべき知識を再発見できるよう、導いていく学習です。
   
   どちらが有効な学習法なのか気になるところですね。
   オーズベルは、言語が理解できる年齢ならば、
   有意味受容学習を用いた方が、
   言語による知識を学習するためには効率がいいと考え、
   発見学習に多くの時間を費やすことを批判しています。
   
   一方、発見学習の提唱者ブルーナーは、
    ◆ 発見や検証の技術も身につく
 
    ◆ 発見を経て身につけた知識は忘れにくい
   
    ◆ 好奇心など内発的動機付けによって、学習が進む
   
   などの点を、発見学習の利点としてあげています。      
   皆さんは、どれが好みですか。
   
   暗記学習は、未だに根強い人気があるようですが、
   本メルマガでは、有意味受容学習の立場に立ちたいと考えます。
   
   ただ、臨床心理士指定大学院に進学したい方は、発見学習も必要でしょう。
   
   研究のテクニックは、やはり、発見のプロセスを経て、
   初めて身に付くと考えられるからです。
   よって、
   正解は、   【 b c 】   ※ふたつでした。
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   【Q3】 様々な学習理論と、その提唱者に関する問題
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   次の人名と用語との、正しい組み合わせを選びなさい。
   
    
   (1)ケーラー (2)バンデューラ (3)ジンマーマン (4)ブルーナー
  
    A 観察学習  B 洞察学習  C 自己制御学習   D 発見学習 
   
         =============選択肢===============

         (1) (2) (3) (4) 
   
         a. A D C B
   
       b. A C B D
   
         c. B A D C
   
         d. B A C D
   
==================================
   
   ※ 問題形式は、臨床心理士の資格認定試験の形式です。
      
     この形式は、出題の仕方に慣れることがコツです。 
     
   まず(1)ケーラーは、アカゲザルを用いた、
   様々な研究で有名なゲシュタルト心理学者で、洞察学習の提唱者です。
   この時点で、選択肢 【 a. 】 【 b. 】 はアウト。
   
   自動的に、
   (2)の行動主義に新しい風を吹き込んだバンデューラは
   観察学習の提唱者ということになります。  
 
   
   次に、(3)ジンマーマン。
   
   ジンマーマンの名前は、これまでの二人ほど著名ではありませんから、
   ここで止まる方も多いでしょうが、分からなくても問題は解けます。
   という訳で、先に(4)ブルーナーに進みます。
   
   
   ニュールック心理学、表象様式の発達で必ず概論書に登場するブルーナーは、
   教育心理学においても多くの結果を残しています。
   彼の提唱した学習方略は、D 発見学習です。
   
   ここまで分かれば、
   (3)ジンマーマン―自己制御学習 となります。
自己制御学習とは、文字通り、学習者自身が、
   自分の学習を制御していく学習のことです。
動機付けや学習スキルを高めながら、見通しを持ち、
   目標設定‐遂行‐自己評価を繰り返すことで進むとされます。
   
   最近のトピックスであるため、邦訳の文献はまだ見当たりません。
   (ご存知の方がいらっしゃったら、事務局までご情報をお願いします。)
   
   大学院受験等では必要ないかもしれませんが、
   心理学を生涯ブラッシュアップし続けていこうという、
   本メルマガの読者の方々には有効な示唆を与えてくれると思われます。
   
   興味のある方は、ネットや論文などを探してみるといいでしょう。
   
   よって、

 
==========================================
   
      (1)ケーラー - B 洞察学習
      
      (2)バンデューラ - A 観察学習
      (3)ジンマーマン - C 自己制御学習
      (4)ブルーナー - D 発見学習 
     
==========================================
   正解は、  【  d.  】
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
   【Q4】 ピグマリオン効果に関する問題
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   以下の文章のうち、ピグマリオン効果に関する文章として
もっとも適当なものはどれか。
   
   
========================選択肢==============================
    a. 学習者の意欲に関する効果である。
    b. 学習援助者の意欲に関する効果である。
    c. 学習援助者の構えが学習者に与える影響に関する効果である。
 
     d. 学習者が学習援助者に与える影響に関する効果である。

============================================================
   
   ※ ピグマリオン効果は、教師期待効果とも呼ばれます。
     
     
   
   ピグマリオンは、ギリシャ神話に出てくる彫刻師です。
    
   彼は、自らが象牙から削り出した美女の彫像に恋します。
   服を着せ、様々な贈り物をするうちに、彼の願いに答えて
   美女像は生身の女性に変わり、二人は結ばれる、というのが、
   神話の内容です。
   
   この効果について知らなくても、
   この時点でもう答えはお分かりでしょう。
   
   ● あなたが持っている期待は、相手を変える。
   
   学習援助者(教師)の持っている構えが、
   学習者(生徒)に影響を与える事に関する効果なのです。
   もともとは、ローゼンソールらのアメリカの教育現場での
   実験からきています。
   教師たちに、潜在能力が高いと考えられる子どもたちのリスト
  (実はランダムに20%を抽出したリスト)を与えると、
   半年後の再調査の際に、彼らの学業成績が向上していた、
   というものです。
   
   教師達からの期待が高まった子どもは、
   教師達から非言語的な励ましを受け、
   誉められる機会も多くなっていたそうです。
   
   また、生徒が自分自身に向ける期待の高低も、
   成績に大きな影響を及ぼすことが分かっています。
 
   よって、
   
   正解は、   【 c. 】
   
   
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━
   【Q5】プログラム学習に関する問題
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
   スキナーが提唱したプログラム学習の原理は、
   行動主義に基づく学習法として広く受け入れられた。
   
   次にあげたプログラム学習の原理のうち、仲間はずれは
   どれか。
    
==============選択肢===============
         a. スモールステップ
   
         b. 積極的反応
   
         c. フィードバック
   
     d. プロンプティング・フェイディング 
   
     e. 般化
   
         f. 学習者ペース
   
     g. 学習者検証
   
         ===================================
   
   
   ※ プログラム学習の原理は、
     行動療法のプロセスと似ていると考えられます。
   そう考えて、ざっと見渡すと、
   分かりづらいのは、【 b. e. f. g. 】あたりでしょうか。
                   
   プログラム学習は、提唱者のスキナーが、
   娘の授業参観をした折に、
   個人差を無視した授業に対して反感を覚えたことから
   始まったといわれています。
   すなわち、学習援助者は、学習者個人のレベルに合った、
   学習者個人のペースで進められるような課題を提供するべきである、
   というのが、プログラム学習の考え方です。
     したがって、【 f. 】学習者ペースは、OK
   
   学習者ペースでの学習を与えるために、
   課題は適切にプログラムされている必要があります。
   
   
   プログラムの実行は、ティーチングマシンが行います。
   
   ティーチングマシンは、1つづつ課題を表示し、
   学習者の回答に応じて、すぐに次の問題を出題します。
   
      
   まず、誤反応が生じないよう、
   問題は少しずつハードルを上げていきます。
   
      …【 a. 】スモールステップ
   
   また、プログラムは、学習者が、
   自ら自発的に取り組む必要があります。
   つまり、学習者が問題に取り組もうとしなければ、
   どんなに高価で高性能のティーチングマシンでも、
   機能することは出来ません。  
   
      …【 b. 】積極的反応
   正解不正解は、その場で即フィードバックされる必要があります。
   
      …【 c. 】フィードバック
   回答へのフィードバックとして、より高いハードルに進むか、
   より低いハードルからやり直すかが決定されます。
  
   始めは手がかりをふんだんに与え正解しやすく(プロンプティング)、
   次第に、手がかりを減らしながら(フェイディング)、
   反復することで、学習が定着しやすくなります。
      
      …【 d. 】プロンプティング・フェイディング
         
   
   さて、作成したプログラムは、学習者によって使用され、
   学習が身についたかどうかで、再度修正される必要があります。
   
   すなわち、【 g. 】学習者検証 です。
   
   【 f. 】般化 は、条件付けされた反応が、他の刺激においても
   生じることをいいます。
   プログラム学習の原理には含まれません。
   よって、
     
   正解は、   【 f. 】

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   【参考文献】
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   ● 【子どもとむかいあうための教育心理学概論】 1996 会田元明・
      内野康人之・横山明子 ミネルヴァ書房
   
   ● 【図でわかる学習と発達の心理学】 2000 新井 邦二郎編著 福村出版
   
   ● 【学習方略の心理学―賢い学習者の育て方】 1997 辰野 千寿 文化社
   
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   【編集後記】
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   前回の配信後、励ましや、こうしたらもっとよくなるのでは、
   というご要望が事務局に届くようになりました。
   読者の皆さんと一緒に作って行きたいと思い作ってきたこのメルマガ、
   このようなメールに事務局も大感激です。
   その中に、問題がどの参考文献からの引用かを示すと、
   もっと面白くなるのでは、というご意見がありました。
   それぞれの問題に関係した参考文献を、巻末に挙げるというのは、
   参考文献に興味を持ってもらえるようないいアイデアですね。
   いただきです。
   ただ、今回の問題自体は5問ともオリジナルで、
   【参考文献】は、教育心理学や学習理論全般についての
   文献という形であげています。
   なので、【参考文献】については、次回以降の配信の中で、
   どのような形にするか検討していきたいと思います。
   
   以上のようなご意見など、
   必ずしも全てを反映できるとは限りませんが、
   ありましたら、事務局までお願いします。
   
   
   …今回は、かなり長くなっています。
 
   読者の皆さんが、最後まで読んでくれているかな、
   と少し不安になりながら書いています。
   解説号は、特に長くなりますね。
   HTMLにしたら、皆さんからの投票結果のグラフなども入る予定なので、
   また構成が変わるかもしれません。
   次回5月24日(火)配信のエッセイ号は、新展開。
   
   お楽しみに。
  
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。