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2005年5月24日火曜日

【Clip!アカデミー】第4回「心の側面をどうとらえるか」

臨床心理士指定大学院受験講座メールマガジン
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【Clip! アカデミー】 第4回 
第1週 エッセイ号「心の側面をどう捉えるか」

               ◆目次◆
 
         1)【前回のまとめ】
         2)【心の側面をどう捉えるか】
         3)【理解の道具としてのストーリー】
        4)【コンビニの経営者が見ているもの】
        5)【まとめの図解】
                【参考文献】
                【編集後記】
 
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   1) 【前回のまとめ】 
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   前回までの3回では、
   
  「みなさんはどんな勉強をしていますか?」
  
   と題して、
    
   
   今回からは、しばらくの間、
   心理学の諸側面、心の仕組みについて、   
   
   様々なストーリーや比喩を通して、
   枠組みを与えていく試みをしていきたいと思います。
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   2) 【心の側面をどう捉えるか】
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   心は、いくつもの側面を持っていると、
   心理学では理解されています。
   
   まず始めに思いつくのは、意識、ですよね。
   
   ほかには、無意識。
   
   これだけで、心は二つの側面を持っている、
   ということができます。
   二つならまだいいのですが、
   心理学の勉強を始めていれば、行動や、認知過程、
   なども心の側面として出てくるのではないでしょうか。
   
   感情や、思考、記憶、感覚・知覚、動機付けなども、
   よく心理学概論書でお目に掛かります。
   
   心理学自体も、それに伴って、
   ○心理学、××心理学、△△心理学…、と、
   際限なく分類できます。
   
   このように、
   心理学おいては、心の側面を挙げていくと限りがありません。
   心は、元々目に見えない部分がほとんどですから、
   基本的にはどういう側面を仮定してもかまわないわけです。
   しかも各側面は、その成り立ちも、研究のされ方もバラバラ。
     
   ● ここで、心理学を勉強する上での問題が1つ出てきます。   
   
          それは、とても憶えにくい。
   
   ということです。
 
     ◆ お互いにどんな関係で、
   
     ◆ どのように心理学という全体を構成しているのか、
   
   
   という勘どころ、すなわち、
          心理学全体が見えてくる
   
   までには、結局かなりの時間が経過していることになります。
   もともと、人間の記憶は、一度に7個の要素が限界とされています。
   
   バラバラに並んだ情報は、記憶に負担をかけます。
   
   心理学を学び始めた人のぶつかる壁。
   それが、   
   
        
        ==========================

        よくわからないけれど、
        とにかく暗記する以外ないか
 
==========================
   と思わせる、心理学の特徴なのです。
   
    
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   3) 【理解の道具としてのストーリー】
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   それでは、
   どうすれば、心理学で扱われている心の各側面を、
   全体として理解することが可能になるでしょうか。
   ここで、問題をこう読み代えてみましょう。
   ==============================================
   暗記するしかない
            イコール
   こころの持つ様々な側面をまとめて理解するための、
一貫した枠組みがない
   ==============================================
  
   ということです。
   
   たとえば、人間の身体の構造について理解する場合を考えてみます。
   心臓や肝臓、手足、神経などなど、
   人体は無数の複雑なパーツで出来上がっています。
   それでも、混乱を防ぐことができるのは、
   我々が、人体という全体に、
   各パーツが位置づけられるのかを、
   具体的にイメージすることができるためです。   
      
   
   つまり、バラバラの各側面をバラバラに記憶するのではなく、
   整理しながら理解するためには、
   なんらかの枠組みが必要だということです。
   このことは、第1回においても、
   先行オーガナイザーの有効性という形でご説明しました。
   
           
   そのため、
   
   情報を構造化して、ストーリーにすることで、
   記憶にかかる負担を軽減することが、
   学習のコツに数えられるわけです。
   
   
   ルート5=2.23620679=富士山麓にオウム鳴く。
   
   これもその1つです。
   
   
   もともと枠組みがないところに、
   無理やり枠組みを持ち込むということは、
   それだけ、一面的で、強引な枠組みにならざるを得ません。
   
   ただ、枠組みからはみ出すところを議論していくことは、
   逆に、我々に興味深いトピックスを提供してくれるはずです。
  
   その点を議論する中で、新しい枠組みを建てていく。
   その積み重ねの中から、心理学という学問の全体が、
   おぼろげながら、姿を現すのではないでしょうか。    
     
   
   ということで、
   今回からは、心理学の各側面を整理し、
   心理学全体をストーリーの中に位置付けていく、
   という試みをしていきたいと思います。
   
   
   
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   4) 【コンビニ経営者が見ているもの】
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   さて、以上のような議論を受けて、
   
   今回は、
      コンビニの仕組み
   を通して、
   心にどのような側面を置くかを検討していきましょう。
   
   あまりに唐突で、面食らった方もいるかもしれませんが、
   まずは、ウォーミングアップ。
   身近なコンビニを思い浮かべてみましょう。
   
   そして、
   
   あるとき、本社の社長が、
   ================================
   今、現場はどうなっているんだろう。
================================
   と、考えたとします。
   
   ここで心でいうなら、
   
        【社長=意識】
   
   です。
   
   意識とは、人間にとって、直接体験している感情や感覚など、
   「私」が存在している、という感覚の根拠となっている部分です。
   
   さて、次に、社長が、現場の状況を知るにはどうすればいいでしょうか。
   
   これは人間でいえば、
   我々が外界を認識するために、どうするか、
   ということに当たるでしょう。
   
   現場を視察するにしても、
   チェーン店は全国にあります。
   仮に全国のチェーン店をすべて回れば、
   現場の状況を理解することができるでしょうか?
   
  
   ● 結論からいうと、社長(=意識)は、
   “現場の状況”なるものの全貌を見ることは出来ないのですね。
   
   というよりも、
   そもそも“現場の状況”などという現実そのものは、
   存在しない、ということができます。
   
   存在しているのは、
   従業員たちが、様々な現場で日々働いている、
   という事実です。
   
   ここで、
   【従業員=身体】
   
   と言えるでしょう。
   
   ここでいう身体の中には、実際に動く手足という以外に、
   【感覚器官および、脳を含む神経ネットワーク】
   も含まれます。   
   かれらは、その仕事の中で、様々なお客さんと接し、
   棚卸や清掃まで、様々な作業を繰り返しています。
   バイトがレジに値段を打ち込んだり、
   店長に引き継いだり、日誌を書いたりすると、
   様々な形で体験が他の形式の情報に変換されていきます。
   
   
   神経ネットワークでいうならば、
                     
   光の波長や、振動など、様々な形で感覚器官が捉えた外界の変化が、
   電気信号や化学物質に変えられて神経を運ばれるプロセス
   と比較することができるでしょう。      
   
     
   そして、そうした現場の情報は、
   レジから入力された統計情報や、
   日誌や報告書に記入された記述として、
   中間管理職たちによって集約され、加工されます。
   
   【レジ=認知過程】
   
   ここには、自分たちや外部に関する、
   様々な憶測や仮定、願望も入り込みます。
   その中には、店長が売り上げを水増しするなど、
   店長の個人的野望など、感情的な要素も
   入ってくるかもしれません。
   
   【店長の野望=潜在意識】
   そうして最終的にまとめられた最終報告書が、
   社長の見ることの出来る“現場の状況”なのです。
   
      
   社長が見ているこの最終報告書が、人間でいえば、
   最終的に認識されるべく構成された知覚、
   我々が今ここで見ている世界です。
   
   【報告書=知覚】
   
   ただし、知覚の特徴として、
   ひとつの世界=ストーリーとして統合(体制化)されている点を
   上げることが出来ます。
   
   コンビニで言えば、ここで上がってくる報告書は、
   おそらく現場で社員達が生み出している断片的な情報ではなくて、
   それらを集約した1つのストーリーとしての性質を
   持っているでしょう。
   このストーリーは、単なる断片的な情報の総和ではなく、
   社員一人一人からの情報に還元することが出来ません。
   
   こうした特徴を、心理学では、ゲシュタルトといいます。
   
   つまり、報告書は、
   ゲシュタルトとして体制化されていることになります。
   
   【報告書=ゲシュタルト】
   
   ゲシュタルトという性質は、知覚以外にも、様々な領域で見られる、
   心の基本的な側面ということができるでしょう。
   
   こうして社長は、存在しないはずの“現場の状況”を、
   1つのストーリーとして手にします。
   
   このストーリーは、現実の中には存在しない、
   という意味で厳密にはフィクションですが、
   会社の意志決定には役立ちます。
   
   社長はそれを元に、状況を判断し、会社としての基本方針を決定し、
   現場に販売の方針を提示しなければなりません。
   
   【販売=行動】
   
   我々が、自分の現状を認識するまでに、
   このような多くの心的プロセスがかかわっているのです。
   
   
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   5) 【まとめの図解】
   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   
  
   
   ここで、これから心理学の勉強をたどっていくために、
   今回コンビ二の例でたどってきた心の仕組みを、
   図式にまとめてみます。
   
                         
            心の各側面          
   ┏━━┳━━━━━━┳━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃   知覚 | | ┃  ┃ |
   ┃意識┃ゲシュタルト|潜在意識|認知過程┃身体 ┃行動|
   ┃  ┃      |    |    ┃   ┃  |
   ┃ ┃ | | ┃  ┃ |
   ┗━━┻━━━━━━┻━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛        
      
           コンビ二の各側面           
   ┏━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━┳━━━╋━━┓
   ┃  ┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┃本社┃ 報告書 |店長の野望| レジ ┃従業員┃販売|
   ┃社長┃     |     |    ┃   ┃  |
   ┗━━┻━━━━━┻━━━━━┻━━━━┻━━━╋━━┛        
      
   
   この6つの側面に、                        
   
   
     ◆ 他者との比較=個人差
     ◆ 過去との比較=発達
     ◆ 他者との関わり=コミュニケーション
   
   という外界との関係で生じてくる3つの側面を加えると、
   心理学が対象とする心の側面は、大体出揃うことになります。
   
   これからは、これらの側面を、様々な角度から
   検討していく予定なので、今回はこの図式だけでも
   頭に入れておいてください。
   
   
   次回は、今回見てきた心の各側面について、
   基礎的な知識を確認する問題号をお届けします。   
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   【参考文献】
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   ※ 今回は、心理学概論を新しい枠組みで捉えようという、
     野心的な参考書をご紹介したいと思います。
    
   ● 【心理学物語-テーマの歴史】 2004 R.C.ボールズ 北王子書房
   ● 【比喩から学ぶ心理学-心理学理論の新しい見方】 2000 田辺 敏明 
      北王子書房    
   
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   【編集後記】
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   いよいよ本論に入りました。
   
   特にゲシュタルトという概念は説明が難しく、      
   日常にどうつながるかわかりづらいため、
   皆さん理解に苦労するところのようです。
   そうした概念も、全体の流れの中に位置づけてみると、
   やはり心理学にとって、重要な側面なのだということが
   わかるかと思います。
   
   この説明でもわかりづらいかな・・・。
   
   簡単すぎるという方も、
   これからの展開の中で、
   より詳細に、より専門的な内容も織り込んでいく予定なので、
   お待ちください。
 
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   □■■■■■■送信者:臨床心理士指定大学院受験講座■■■■■■■□
       http://clinicalpsychology.jp/index.shtml
   ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
    無断転載・転用を禁止します。
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