【Clip! アカデミー】 第139回 2008/11/4
第3週 展開号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
.http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【現在地】
2)【実験現象学の広がり】
3)【解説:知識の展開】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
のフォント設定のやり方を載せてあります。
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「理論号」… 知識のタネをまく
↓ (用語説明から)
第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす
↓ (具体例を中心に)
※【今回はこちら!】 第3週「展開号」… 知識をつなげる
↓ (テーマを展開する)
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】
● 0ヶ月目 ガイダンス号
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● 0ヶ月目 ガイダンス号2
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
「実験現象学(experimental phenomenology)」
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0ヶ月目 (ガイダンス号)
1ヶ月目 心理学の歴史から
2ヶ月目 基礎心理学から1
3ヶ月目 基礎心理学から2
4ヶ月目 臨床心理学から
【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から
| ↓
| 【※違うテーマではじめから繰り返します。】
| ======================
↓
● 第1週「理論」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
http://clipseminar.blogspot.com/2008/10/clip137.html
● 第2週「応用」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
http://clipseminar.blogspot.com/2008/10/clip138.html
● 第3週「展開」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~
知識は、知識とつなげることで、はじめて意味を持ちます。
取り入れた知識を、自分の中に根付かせるためには、
他の知識とつなげていくことを同時にやらなければなりません。
展開号では、
これまでに紹介してきたテーマを、さらに展開していきます。
関連する様々なテーマを紹介することで、
立体的な理解と、
心理学の中での位置づけが、
容易になるでしょう。
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2)【実験現象学の広がり】
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今回の展開号では、
実験現象学の広がりを、3つのトピックスから
展開していきましょう。
●現象学的還元
哲学者フッサールは、
意識の志向性などについて触れ、
優れた業績を残した哲学者ブレンターノに師事し、
「厳密な学」としての現象学を構想した。
現象学的還元とは、
現象学のためにフッサールが提唱した主要な手段であり、
「判断停止」、「カッコ入れ」とも呼ばれる。
現象学的還元とは、
現象を経験しているとき、
それを「当たり前」としている前提自体を、
ひとまず「カッコに入れる」作業を指す。
たとえば、
リンゴを現象学的に観察しようとするならば、
まず、「それがリンゴである」、
という判断を停止し、脇に置いておく。
この手続きによって初めて、
”それ”は、「リンゴ」という言葉やイメージ、
概念としての含みなどを引き剥がされることで、
意識の作用として私に経験されている現象
として、厳密な観察の対象となることができるのである。
●現象学的心理学
対象としての心理過程や行動を、
現象学的な記述や分析から把握する立場を
指して用いられる。
精神症状や生きがい、疎外など、
実験的に取り扱うことが困難な心理的事象に対し、
特に実存主義的な立場から
記述や分析を行ったメダルト・ボスや、
ビンスワンガー、V・フランクルらの名前が
挙げられることが多い。
心理過程を要素に還元し、
操作的に定義し検証していく自然科学的な
立場と対置して論じられる。
●アフォーダンス
J・J・ギブソンは、
ゲシュタルト心理学や実験現象学に影響を受け、
知覚心理学に新しい視点を提供した。
それがアフォーダンス理論と呼ばれる、
知覚の性質である。
アフォーダンスは、
環境が知覚者に「与える」、
「アフォードする」特徴や機会を指す。
アフォーダンス理論においては、
対象の価値や特性は、
知覚者のなかにあるのではなく、
知覚対象と知覚者の関係によって決まる。
たとえば「水」は、
のどが渇いた人にとっては「飲むこと」を、
海辺の観光客には「泳ぐこと」をアフォードする。
こうした環境と行為主体との相互作用から、
人間の心理や行為を捉えていく立場は、
生態学的心理学と呼ばれている。
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3)【解説:知識の展開】
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世界を客観的に観察しようとするとき、
そこには、
「客観的な世界がまず実在し、私はそれを正しく認識できる」
という前提が隠されています。
しかし、もし本当に厳密に、
「客観的な観察」を行おうとするなら、
そもそも、そうした前提が本当か、
検討する必要があるでしょう。
その問題に、
現象学的還元、という方法論から
真剣に取り組んだのがフッサールです。
「客観的な世界」とはなにか?
そもそも、
その「客観的な~」は、
我々の主観的な経験を通して、
我々の意識の中に現れているわけですから、
その時点で厳密な検証に耐えません。
だからこそ、
まずはじめに、
主観的な経験として我々の意識に現れた
現象自体を検証することが必要だ、
とフッサールは考えたのです。
こうした方法論は、
哲学史の中では、
ハイデガーやメルロ=ポンティといった、
実存主義と呼ばれる人々によって、
継承されていきました。
そして、心理学においては、
●精神症状を脳の構造や化学物質の問題ではなく、
人間が人生の中で経験するままに記述しようとした
精神病理学者たち
●ゲシュタルト心理学を通して、
世界がなぜ今のように経験されるのか、
を同じく単純に生理学や行動主義的な単位に還元しないで
検証しようとした心理学者たち
などに受け継がれていくことになりました。
しかし、
状況や対象を「ありのまま」に観察しようとする、
状況や対象を「当たり前」と考えず、
それを「当たり前」にしている前提自体を疑う、
という発想は、どのような研究においても、
最初の出発点であるはずです。
この問題をよくよく考えていくと、
そもそも「客観性」って?とか、
「実証」とは可能なのか?など、
研究が一歩も先に進まなくなる危険性があります。
しかし、
それを独創的に踏み越えられれば、
ギブソンのように、
新しい学問分野さえ切り開いていけるかもしれません。
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【次回配信】
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次回 【理論号】… 2008年11月18日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社
● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
● わかりたいあなたのための現代思想入門
小坂修平 竹田青嗣 志賀隆生 他著 1990 JICC
● エコロジカル・マインド 三嶋博之 2000 NHKブックス
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【編集後記】
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「あるがまま」というのは、
言葉にする分には簡単なのですが、
かなりの曲者です。
あるがままに観察すれば、
それで現象学になるのかというと、
若干疑問です。
その難しさを引き受けて、
現象学的還元というひとつの方法論を打ち立てたのが、
フッサールであるということが出来るでしょう。
これはさすがに哲学者というところで、
その厳密さと徹底さには、
心理学者はかなわないのかな、
と感じてしまいます。
もちろん、
方法論が異なるのですから、
かなわなくてかまわないのですが、
どうも心理学者が現象学という言葉を使うと、
「あるがまま」のような、
抽象的なお題目になりがちな気がします。
その点については、
個々人のモラルにおいて、
自戒する以外にないのでしょうか。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座 に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2008年12月17日水曜日
【Clip!アカデミー】第139回:展開号「心理学研究法から:実験現象学」
【Clip!アカデミー】第138回:応用号「心理学研究法から:実験現象学」
【Clip! アカデミー】 第138回 2008/10/28
第2週 応用号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【現在地】
2)【現象学的観察】
3)【解説:知識の根っこ】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
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心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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■ 基本サイクル ■
第1週「理論号」… 知識のタネをまく
↓ (用語説明から)
※【今回はこちら!】 第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす
↓ (具体例を中心に)
第3週「展開号」… 知識をつなげる
↓ (テーマを展開する)
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
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■ 第2サイクルへ続く ■
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
「実験現象学(experimental phenomenology)」
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0ヶ月目 (ガイダンス号)
1ヶ月目 心理学の歴史から
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4ヶ月目 臨床心理学から
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知識のタネをまいたら、
次にすることは、水をあげること。
いろいろな方向から刺激してあげることで、
知識を様々なイメージで膨らませていくことが出来るでしょう。
応用号では、
理論号で紹介した概念について、
今度は具体例などを紹介しながら肉付けしていきます。
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2)【現象学的観察】
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ルビンの壷は、
実験現象学者のエドワード・J・ルビンが、
視野における「図」と「地」について
検証するために用いた、
多義図形と呼ばれる図形のひとつです。
下の図を見てみましょう。
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■■■■■■■
■■■■■
● ■■■ ●
■
■■■
■■■■■■
■■■■
■■■■■■
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■■■■■■■■■■■■■
黒い部分を、
ひとまとまりとして捉えると、
どんな風に見えるでしょうか。
壷や杯のような形に見えてきませんか。
このとき、
白い部分は、何もない背景として、
後ろに退いています。
しかし、
白い部分に注目すると、
向き合ったふたりの顔に見えないでしょうか。
このとき、
黒い部分は、今までと逆に、
人物の背後に広がっている背景に
見えてきます。
図形も、視覚的刺激も変わらないのに、
我々の注意の向け方によって、
まったく異なる現象が立ち上がってきたわけです。
我々の知覚においては、
いったい何が起こっているのでしょうか。
この現象を研究するための、
もっともシンプルな方法は、
何度も何度も図形を観察して、
黒い壷と、白い顔を交互に見比べてみて、
その特徴や、それが逆転するときに何が起こっているのか、
を素朴に観察しようとすることです。
皆さんも、
まずは、何度も繰り返し
ルビンの壷が自分の視野にどのように
存在するのか、観察してみてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【解説:知識の根っこ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
視覚について研究するためには、
様々な方法があります。
視覚的刺激や、眼球の構造について
検証する。
視覚的刺激が、どのように伝達され、
脳によって視覚に統合されるか、
を検証する。
前者は生理学的なアプローチであり、
後者は認知的なアプローチといえるでしょう。
実験現象学的なアプローチにおいては、
主観的に体験されている視野の、
現象としての性質を観察することから、
研究がはじまります。
前面に浮き上がって、
モノとしてのまとまりをもって
認知される部分は、
視野の中でも中心的な位置を占め、
注意の対象となっているようです。
一方、背後に引いて、
形を持たず、図の後ろにも広がっている
印象を与える部分は、
モノとして注意の対象にはならないようです。
ルビンは、前者を「図」、
後者を「地」と呼びました。
普段われわれは、
視野を無自覚にこのような図と地に分け、
全体の視野を構成しています。
そして、
なぜその部分が「図」で、
他の部分が「地」なのか、
などということを疑問に思ったりはしません。
ルビンの壷の画期的な点は、
多義的な図形であるために、
「図」と「地」の区別が、
対象がアプリオリに持つ特性ではなく、
われわれが対象を見るたびに
形成している、心理的な現象であることを、
示しえた点にあるといえるでしょう。
ルビンは、
ほかにも、図と地の観察から、
図となりやすい要因として、
閉合の要因、狭小の要因、内側の要因、
同じ幅の要因、相称の要因、空間方位の要因、
などをあげています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回 【展開号】… 2008年11月4日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社
● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
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【編集後記】
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我々が当たり前のこととして、
無自覚にしている行為を疑い、
素朴に観察することによって検証すること。
これは実は、
どのような形式の研究においても、
もっともはじめの段階で必要とされる態度です。
そのあとで、
その疑問をどのように検証するかが、
それぞれの研究法で異なるだけなのです。
その意味では、
こうした物事の捉え方を身につけることは、
心理学を学び、研究をする上では、
必須の基礎であるといえるでしょう。
=====================================================送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 http://www.clinicalpsychology.jp/
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無断転載・転用を禁止します。
【Clip!アカデミー】第137回:理論号「心理学研究法から:実験現象学」
【Clip! アカデミー】 第137回 2008/10/27
第1週 理論号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
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◆目次◆
1)【現在地】
2)【実験現象学(experimental phenomenology)】
3)【解説:知識の種】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
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◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】 第1週「理論号」… 知識のタネをまく
↓ (用語説明から)
第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす
↓ (具体例を中心に)
第3週「展開号」… 知識をつなげる
↓ (テーマを展開する)
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
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■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】
● 0ヶ月目 ガイダンス号
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● 0ヶ月目 ガイダンス号2
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【お詫び】
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○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
10月21日(火)配信予定だった、
137回理論号をお送りします。
配信が遅れましたこと、お詫びいたします。
申し訳ありませんでした。
Clip!アカデミー事務局
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
「実験現象学(experimental phenomenology)」
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0ヶ月目 (ガイダンス号)
1ヶ月目 心理学の歴史から
2ヶ月目 基礎心理学から1
3ヶ月目 基礎心理学から2
4ヶ月目 臨床心理学から
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~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~
用語説明は、知識のタネです。
勉強、特に受験勉強においては、まずはたくさんのタネを
自分の脳の中にまかなければなりません。
タネは小さくてかまいません。
逆に、完ぺき主義はいい結果を生みません。
はじめはできるだけコンパクトな知識からはじめましょう。
しかし、そこで勉強は終わりではありません。
そこからが、勉強のスタートなのです。
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2)【実験現象学(experimental phenomenology)】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は心理学研究法から、
「実験現象学(experimental phenomenology)」
を通して、心理学について考えていきましょう。
============用語説明==============
心理学における実験現象学とは、
我々に直接体験されている現象を、
実験的手続きを持って記述し、検証しようとする
ものである。
たとえば、
色を研究する場合、
知覚の対象であるリンゴやコップ
の性質を問題にするのではなく、
主観的な体験の中で、
色がどのように経験されているのか、
それがどのような条件・要因に影響されているのか、
といった問題を問う。
研究対象への、
こうした接近の態度を現象学的方法と呼ぶ。
また、実験の際は、
被験者に「ありのままに見える」
ものを報告してもらう、
という方法が好んで用いられる。
条件や要因による「見え方」の違い
を比較するためである。
代表的な研究者としては、
E・J・ルビンや、D・カッツ
などが挙げられる。
ルビンは、
「ルビンの壷」と呼ばれる図形を
用いて、我々の知覚における、
「図」と「地」の現象的な特性を明らかにした。
カッツは、
我々の知覚に現れてくる仕方を観察し、
色を、表面色、面色、空間色、透明面色、
透明表面色、鏡映色、光沢、などに分類している。
ヴェルトハイマーらゲシュタルト心理学者も、
実験現象学の立場から研究を
行っていたことが知られている。
==============================
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【解説:知識の展開】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
たとえば、
ひとつのリンゴを見る場合、
哲学者のカントやヘーゲルは、
我々が見ているリンゴは、
実際の”リンゴ自体”か、
つまり、
経験と対象は一致するのか
否かについて議論しました。
議論自体については割愛しますが、
これは、主観と客観、
主体と他者、
に関するかなり根本的なテーマであり、
今日でも最終的な結論は出ていない難問です。
今の時点でいえることは、
我々が持っているといえるデータは、
主観的に「見えて」「体験している」
現象のみである、ということです。
しかし、
哲学がこうした難問を考え続けて
きたおかげで、
生理学者や心理学者が知覚について
研究しようとしたとき、
ひとつの方向性が示唆されることになりました。
それが、
現象学的なアプローチです。
「リンゴ」を客観的に知覚し、
認識できるという前提で知覚を考えだすと、
複雑な哲学論議に巻き込まれてしまいます。
しかし、
我々が意識し、体験している現象、
すなわち、
”リンゴ自体”ではなくて、
我々が今見て、体験している
「赤」や「いびつな円形」については、
検証の余地があります。
哲学においては、
フッサールという哲学者が、
「現象学的還元」という方法によって、
こうした経験を分析しようと試みました。
今日では、「現象学」と言った場合、
主にフッサールの哲学思想を指すことがほとんどです。
心理学においては、
主に視覚研究において、
こうした問題意識を、
実験的に検証しようとする試みが続きました。
ヴェルトハイマーの仮現運動や、
ルビン、カッツらの研究も、
こうした努力のひとつの成果であるといえるでしょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回 【応用号】… 2008年10月28日(火)にお送りする予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
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● わかりたいあなたのための現代思想入門
小坂修平 竹田青嗣 志賀隆生 他著 1990 JICC
● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社
● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
● 心理学物語 テーマの歴史 R.C.ボールズ 著 富田達彦 訳
2004 北大路出版
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
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現象学とは、
今日においては主に、
哲学の、それもフッサールの哲学思想を
指して用いられます。
そのため、
心理学における実験現象学と
混同されることが良くあります。
ただし、
混同されるのも当たり前で、
この二つは
同じ問題意識から出発し、
同じ哲学的伝統に根ざしています。
ただし、実際には両者の現象学を、
同じものということはできないでしょう。
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【Clip! アカデミー】第136回:展開号「臨床心理学から:ゲシュタルト療法(Gestalt Therapy)」
【Clip! アカデミー】 第136回 2008/10/27
第3週 展開号 「臨床心理学から:ゲシュタルト療法(Gestalt Therapy)」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
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◆目次◆
1)【現在地】
2)【全体性を重視する治療】
3)【解説:知識の種】
【次回配信日】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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■ 基本サイクル ■
第1週「理論号」… 知識のタネをまく
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第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす
↓ (具体例を中心に)
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第4週 基本的にお休み
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【お詫び】
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10月7日(火)配信予定だった、
展開号をお送りします。
配信が遅れましたことをお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。
Clip!アカデミー事務局
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目4ヶ月目 臨床心理学から
「ゲシュタルト療法(Gestalt Therapy)」
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0ヶ月目 (ガイダンス号)
1ヶ月目 心理学の歴史から
2ヶ月目 基礎心理学から1
3ヶ月目 基礎心理学から2
【NOW!】4ヶ月目 臨床心理学から
| 5ヶ月目 心理学研究法から
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↓
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知識は、知識とつなげることで、はじめて意味を持ちます。
取り入れた知識を、自分の中に根付かせるためには、
他の知識とつなげていくことを同時にやらなければなりません。
展開号では、
これまでに紹介してきたテーマを、さらに展開していきます。
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2)【全体性を重視する治療】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●人間性心理学
精神分析や行動療法に対する、
第三の心理学として提唱された立場である。
実存主義の影響を受け、
人間を、自由意志を持ち、
主体的な決断をなし得る存在として捉えようとする
点に特徴がある。
主な賛同者としては、
実存分析のヴィクトール・フランクルや、
欲求5段階論のマズロー、
来談者中心療法のロジャーズなどがあげられる。
また、アドラーやユングなど、
精神分析と分かれ独自の分析理論を立ち上げた
分析家たちとも、共通する点が多い。
心と体を含めた人間の全体性を重視する
ゲシュタルト療法のパールズも、
人間性心理学の立場に入ると考えられる。
●心身医学
病原菌や身体器官の器質的・機能的な損傷など、
疾患の主要な原因を特定することを、
まず第一としてきた従来の医学に対し、
「心身相関」の立場から、
疾患の発生を、生物学的要因に加え、
社会的・心理的要因から見ることを重視することから
派生した医学を指す。
心身相関とは、
心と体が、単にどちらがどちらに影響するというものではなく、
複雑に相互作用しあい、
原因と結果が切り離せない循環的な在り様をしているという
身体と精神の関係を示したものである。
主に、疾患の原因を特定することが困難な、
心身症や生活習慣病などの治療を得意とし、
日本では、心身医学的な治療をする科は、
「心療内科」と呼ばれている。
●自己実現
自己の中の可能性を実現し、
自己の全体性に向かって己を成長させ、
統合していこうとすること。
または、人間の中にあるそのような傾向を指す。
人間性心理学において重視される
概念のひとつであるが、
何を持って自己の全体性とするかによって、
用い方は異なる。
はじめに自己実現について論じたのは
ユングであるが、
後に個性化という概念を用いるようになる。
彼のいう全体性とは、
通常の自分(自我:ego)ではなく、
無意識を含む人格の全体としての「自己(self)」である。
マズローやロジャーズの自己実現は、
多少の違いはあれ、人格の成熟である。
自己の認めがたい側面をも受容し、
より大きな自律性や統合を目指す。
パールズにおいては、
身体と心の調和に基づいた「全人的な存在」
として、「今、ここ」に充分に存在できることが
重視される。
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3)【解説:知識の展開】
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ゲシュタルト療法は、
ヴェルトハイマーらのゲシュタルト心理学と、
直接の関係はなかったとはいえ、
医学や心理療法が、そこから受け取った、
非常に大きなインパクトを如実に表現しているといえます。
それは、個々の要素ではなく、
関係や状況、人間の全体を取り扱おうという視点であり、
それによって、
それまでアプローチすることが難しかった領域にも、
うまく手を差し伸べられるのではないか、
というインスピレーションでした。
20世紀の後半、
反戦運動や、ヒッピーブーム、カルト運動の隆盛した、
アメリカでは、
積極的で、人間を肯定できるような
人間観が求められていたということができます。
人間性心理学を標榜した人たちは、
多くが、
元は精神分析によって
臨床を行っていた経験を持っていましたが、
そうした流れの中で、
実存主義的な人間観、
人間の人格や、心と体といった全体性への指向、
などを共有しあいながら、
精神分析とは異なる理論を確立していったのです。
現在では、心療内科を含め、
そうした影響の生み出したものは、
一般社会にも広く認知されつつあります。
一方で、
たとえば「自己実現」といった言葉は、
あまりに広い意味で用いられるあまり、
ほとんど意味のない言葉にさえなりつつある感もあります。
また、
ゲシュタルト療法をはじめ、
精神分析から出発して、
独自の治療理論を確立した心理療法の中には、
科学的な効果の検証や、理論構築を嫌ったものが、
少なくありませんでした。
科学的な研究や理論構築は、
確かに、言葉に置き換える過程のなかで、
事例やクライエントその人、
臨床の場で生じた変化の全体性を損ない、
変質させてしまう危険性をはらんでいます。
しかし、
結果として、そうした治療法は、
その治療効果を創始者や治療者の個人的な才能や、
パーソナリティに負っており、
彼らがいなくなった後は、
心理療法としての発展を滞らせてしまう結果にも
つながってしまいました。
心理療法は、
理論を構築したり、
実証するために実践されるものではありません。
しかし一方で、
言葉にすることが出来ないことを
言葉にしようと努力し、
主観的なものを、客観的に検証しようとする努力を
あきらめてしまうことも、
心理療法家は充分警戒する必要があるでしょう。
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【次回配信】
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次回 【理論号】…
2008年10月21日(火)にお送りする予定でしたが、
予定を変更し10月27日(月)にお送りします。
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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
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【編集後記】
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全体性という言葉も、
認知や社会、知覚の文脈の中で用いている分には、
充分共通の土台を持ち合わせているように
感じられるのですが、
一歩その外に出てしまうと、
非常に感覚的で、感性的な言葉になってしまいます。
スピリチュアルという言葉は、
WHOの健康の定義に加えようという動きも
あるくらいであり、
日本においても、近年市民権を得つつありますが、
心理学においては、
まだまだ自戒し、警戒する必要があるでしょう。
他人に開かれ、
他人の批評の余地がある言葉や、
土台を通してしか、
我々は学問や理論を先に進めることが出来ません。
特に、
主観的な体験である心的現象については、
特にそういった点に禁欲的になる必要があると
考えられるからです。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/index.shtml
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