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2008年12月17日水曜日

【Clip!アカデミー】第137回:理論号「心理学研究法から:実験現象学」

【Clip! アカデミー】 第137回 2008/10/27
 第1週 理論号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」
   
      ◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆ 
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       ◆目次◆

         1)【現在地】
         2)【実験現象学(experimental phenomenology)】
         3)【解説:知識の種】
           【次回配信日】
           【参考文献】
           【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
 ※【今回はこちら!】 第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
            第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
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         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

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 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
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 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
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【お詫び】
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     10月21日(火)配信予定だった、
     137回理論号をお送りします。

     配信が遅れましたこと、お詫びいたします。

     申し訳ありませんでした。

                 Clip!アカデミー事務局
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
        「実験現象学(experimental phenomenology)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
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        2ヶ月目 基礎心理学から1
        3ヶ月目 基礎心理学から2
  4ヶ月目 臨床心理学から
  【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から 
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    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓

 ● 第1週「理論」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓


   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   用語説明は、知識のタネです。
   
   勉強、特に受験勉強においては、まずはたくさんのタネを
   自分の脳の中にまかなければなりません。
   
   タネは小さくてかまいません。

   逆に、完ぺき主義はいい結果を生みません。
   
   はじめはできるだけコンパクトな知識からはじめましょう。    
   
   しかし、そこで勉強は終わりではありません。

   そこからが、勉強のスタートなのです。    
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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2)【実験現象学(experimental phenomenology)】
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今回は心理学研究法から、
「実験現象学(experimental phenomenology)」
を通して、心理学について考えていきましょう。


============用語説明==============

心理学における実験現象学とは、
我々に直接体験されている現象を、
実験的手続きを持って記述し、検証しようとする
ものである。

たとえば、
色を研究する場合、
知覚の対象であるリンゴやコップ
の性質を問題にするのではなく、
主観的な体験の中で、
色がどのように経験されているのか、
それがどのような条件・要因に影響されているのか、
といった問題を問う。

研究対象への、
こうした接近の態度を現象学的方法と呼ぶ。

また、実験の際は、
被験者に「ありのままに見える」
ものを報告してもらう、
という方法が好んで用いられる。

条件や要因による「見え方」の違い
を比較するためである。

代表的な研究者としては、
E・J・ルビンや、D・カッツ
などが挙げられる。

ルビンは、
「ルビンの壷」と呼ばれる図形を
用いて、我々の知覚における、
「図」と「地」の現象的な特性を明らかにした。

カッツは、
我々の知覚に現れてくる仕方を観察し、
色を、表面色、面色、空間色、透明面色、
透明表面色、鏡映色、光沢、などに分類している。

ヴェルトハイマーらゲシュタルト心理学者も、
実験現象学の立場から研究を
行っていたことが知られている。


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3)【解説:知識の展開】
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たとえば、
ひとつのリンゴを見る場合、
哲学者のカントやヘーゲルは、
我々が見ているリンゴは、
実際の”リンゴ自体”か、
つまり、
経験と対象は一致するのか
否かについて議論しました。

議論自体については割愛しますが、
これは、主観と客観、
主体と他者、
に関するかなり根本的なテーマであり、
今日でも最終的な結論は出ていない難問です。

今の時点でいえることは、
我々が持っているといえるデータは、
主観的に「見えて」「体験している」
現象のみである、ということです。

しかし、
哲学がこうした難問を考え続けて
きたおかげで、
生理学者や心理学者が知覚について
研究しようとしたとき、
ひとつの方向性が示唆されることになりました。

それが、
現象学的なアプローチです。

「リンゴ」を客観的に知覚し、
認識できるという前提で知覚を考えだすと、
複雑な哲学論議に巻き込まれてしまいます。

しかし、
我々が意識し、体験している現象、
すなわち、
”リンゴ自体”ではなくて、
我々が今見て、体験している
「赤」や「いびつな円形」については、
検証の余地があります。

哲学においては、
フッサールという哲学者が、
「現象学的還元」という方法によって、
こうした経験を分析しようと試みました。

今日では、「現象学」と言った場合、
主にフッサールの哲学思想を指すことがほとんどです。

心理学においては、
主に視覚研究において、
こうした問題意識を、
実験的に検証しようとする試みが続きました。

ヴェルトハイマーの仮現運動や、
ルビン、カッツらの研究も、
こうした努力のひとつの成果であるといえるでしょう。


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【次回配信】
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   次回 【応用号】… 2008年10月28日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● わかりたいあなたのための現代思想入門
  小坂修平 竹田青嗣 志賀隆生 他著 1990 JICC

● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社

● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣

● 心理学物語 テーマの歴史 R.C.ボールズ 著 富田達彦 訳
  2004 北大路出版

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【編集後記】
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現象学とは、
今日においては主に、
哲学の、それもフッサールの哲学思想を
指して用いられます。

そのため、
心理学における実験現象学と
混同されることが良くあります。

ただし、
混同されるのも当たり前で、
この二つは
同じ問題意識から出発し、
同じ哲学的伝統に根ざしています。

ただし、実際には両者の現象学を、
同じものということはできないでしょう。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座  http://www.clinicalpsychology.jp/
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