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2008年12月17日水曜日

【Clip!アカデミー】第138回:応用号「心理学研究法から:実験現象学」

【Clip! アカデミー】 第138回 2008/10/28

第2週 応用号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」


  ◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆ 
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  ◆目次◆

           1)【現在地】
           2)【現象学的観察】
           3)【解説:知識の根っこ】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
              ■ 基本サイクル ■
              第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
 ※【今回はこちら!】 第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
                 ↓  (具体例を中心に)
              第3週「展開号」… 知識をつなげる
                  ↓  (テーマを展開する)
              第4週 基本的にお休み
              (特別号が配信される場合があります)
                  ↓
             ■ 第2サイクルへ続く ■

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 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 


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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
        「実験現象学(experimental phenomenology)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
        2ヶ月目 基礎心理学から1
        3ヶ月目 基礎心理学から2
  4ヶ月目 臨床心理学から
  【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から 
    |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
    |  ======================
    ↓

 ● 第1週「理論」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓

http://clipseminar.blogspot.com/2008/10/clip138.html

 ● 第2週「応用」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓


   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   知識のタネをまいたら、
   次にすることは、水をあげること。

   いろいろな方向から刺激してあげることで、
   知識を様々なイメージで膨らませていくことが出来るでしょう。

   応用号では、
   理論号で紹介した概念について、
   今度は具体例などを紹介しながら肉付けしていきます。

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2)【現象学的観察】
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ルビンの壷は、
実験現象学者のエドワード・J・ルビンが、
視野における「図」と「地」について
検証するために用いた、
多義図形と呼ばれる図形のひとつです。


下の図を見てみましょう。

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黒い部分を、
ひとまとまりとして捉えると、
どんな風に見えるでしょうか。

壷や杯のような形に見えてきませんか。

このとき、
白い部分は、何もない背景として、
後ろに退いています。

しかし、
白い部分に注目すると、
向き合ったふたりの顔に見えないでしょうか。

このとき、
黒い部分は、今までと逆に、
人物の背後に広がっている背景に
見えてきます。

図形も、視覚的刺激も変わらないのに、
我々の注意の向け方によって、
まったく異なる現象が立ち上がってきたわけです。

我々の知覚においては、
いったい何が起こっているのでしょうか。

この現象を研究するための、
もっともシンプルな方法は、
何度も何度も図形を観察して、
黒い壷と、白い顔を交互に見比べてみて、
その特徴や、それが逆転するときに何が起こっているのか、
を素朴に観察しようとすることです。

皆さんも、
まずは、何度も繰り返し
ルビンの壷が自分の視野にどのように
存在するのか、観察してみてください。


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3)【解説:知識の根っこ】
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視覚について研究するためには、
様々な方法があります。

視覚的刺激や、眼球の構造について
検証する。

視覚的刺激が、どのように伝達され、
脳によって視覚に統合されるか、
を検証する。

前者は生理学的なアプローチであり、
後者は認知的なアプローチといえるでしょう。

実験現象学的なアプローチにおいては、
主観的に体験されている視野の、
現象としての性質を観察することから、
研究がはじまります。


前面に浮き上がって、
モノとしてのまとまりをもって
認知される部分は、
視野の中でも中心的な位置を占め、
注意の対象となっているようです。

一方、背後に引いて、
形を持たず、図の後ろにも広がっている
印象を与える部分は、
モノとして注意の対象にはならないようです。

ルビンは、前者を「図」、
後者を「地」と呼びました。

普段われわれは、
視野を無自覚にこのような図と地に分け、
全体の視野を構成しています。

そして、
なぜその部分が「図」で、
他の部分が「地」なのか、
などということを疑問に思ったりはしません。

ルビンの壷の画期的な点は、
多義的な図形であるために、
「図」と「地」の区別が、
対象がアプリオリに持つ特性ではなく、
われわれが対象を見るたびに
形成している、心理的な現象であることを、
示しえた点にあるといえるでしょう。

ルビンは、
ほかにも、図と地の観察から、
図となりやすい要因として、
閉合の要因、狭小の要因、内側の要因、
同じ幅の要因、相称の要因、空間方位の要因、
などをあげています。


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【次回配信】
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   次回 【展開号】… 2008年11月4日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社

● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣


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【編集後記】
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我々が当たり前のこととして、
無自覚にしている行為を疑い、
素朴に観察することによって検証すること。

これは実は、
どのような形式の研究においても、
もっともはじめの段階で必要とされる態度です。

そのあとで、
その疑問をどのように検証するかが、
それぞれの研究法で異なるだけなのです。

その意味では、
こうした物事の捉え方を身につけることは、
心理学を学び、研究をする上では、
必須の基礎であるといえるでしょう。

=====================================================送信者:臨床心理士指定大学院受験講座  http://www.clinicalpsychology.jp/    
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