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2006年1月31日火曜日

 【Clip!アカデミー】第31回:エッセイ号「心の研究法図の盲点」

【Clip! アカデミー】 第31回2006/1/31
第1週 エッセイ号「心の研究法図の盲点」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

      ◆目次◆

          1)【前回のまとめ】
     2)【 【ゲシュタルト】の側面を捉える、特有の研究法は、 】
     3)【アクション・リサーチとは、】
4)【アクション・リサーチの現状】
     5)【なぜ心理学において用いられないのか。】
          6)【実践と研究の葛藤】
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
 ※【今回はこちら!】 第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


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1)【前回のまとめ】
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これまで、前回エッセイ号(第28回)を含め、
心の研究法図を立て、それを分析していく中から、
心理学における研究法について、検討してきました。

●心の研究法図(仮)
===================================

          【 捉え方 】     【  道具   】
・・・・・  ┌─┐       ┌─┐           ┌─┐
     → │ |【 身体 】…|操|→ 生理学的検査  →| |
     → |観|【 意識 】…|作|→ 内観法     →|仮|
“こころ”→ |察|【潜在意識】…|的|→ 事例研究・面接 →|説|
     → | |【 行動 】…|定|→ 観察法・実験法 →|検|
     → | |【認知過程】…|義|→調査法・数理的解析→|証|
・・・・・  └─┘       └─┘           └─┘
===================================
===================================

【 捉え方 】 【  道具   】  【研究への影響】 

【 身体 】→ 生理学的検査   …【科学的観察】
【 意識 】→ 内観法      …【言語報告】
【潜在意識】→ 事例研究・面接  …【対話】
【 行動 】→ 観察法・実験法  …【条件統制】
【認知過程】→ 調査法・数理的解析…【モデル構築】
===================================


心の研究法図3回目のエッセイ号となる今回は、
その締めくくりとして、
心理学研究法の、
限界と課題について論じていきたいと思います。

心の研究法図を立てた、
第25回のエッセイ号↓では、

なぜ【ゲシュタルト】の側面
図に入れなかったのかについて、
あえて説明をしませんでした。

【ゲシュタルト】の側面を捉えるために開発され、
今でも心理学に影響を与えているような、特有の研究法。

今回は、そこから話を始めていきましょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【 【ゲシュタルト】の側面を捉える、特有の研究法は、 】
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ハッキリこれ、と言えるものがないのです。

【ゲシュタルト】の側面を捉えられる道具が開発され、
心理学に一般化できたのだとすれば、
その成果は、現在の個々の研究にも反映されているはずです。

ゲシュタルト心理学の、心理学全般への影響は、
計り知れないものがありますが、
【ゲシュタルト】の側面を捉えるための道具は、
残念ながら、他の側面と比べて現代心理学において
一般的であるとはいえません。

独自の切り口と、それを研究するための強力な道具がなかったことが、
現在ゲシュタルト心理学が、そのままの形で残っていない
理由のひとつかもしれません。

しかし、それをあえて挙げてみることで、
それを通して、心理学研究法の現状について、
なにかの示唆を得られるでしょう。


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3)【アクション・リサーチとは、】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


アクション・リサーチは、
ゲシュタルト心理学の流れを汲むK・レヴィンによる、
人間全般に一般化できるような結果を求める、
実験室アプローチへの批判として現れました。

実験法では、研究対象を完全に統制し、
研究者の主観を極力排除するところから、
物理学における自然法則のような結果を得ようとします。

それに対してアクション・リサーチでは、
研究対象を、我々の日常から切り離し、
研究者自身から切り離すことを批判します。

むしろ研究者自身が、自分が生活し、
参与しているありのままの現場の中で問題を立て、
それをどう改善できるか、
というところから、研究をスタートさせようとします。

つまり、研究者が現場に参与しながら、
ありのままの研究対象を観察し、
研究者の主観(実感)に基づいた研究をすることを目指したのです。

これは、人間の心を、要素や条件付けに分解することを
批判した、ゲシュタルト心理学当初の理念と、
同じところから来ています。

心理学における研究法として確立し、
産業領域や教育領域、または、社会運動の領域で
用いられるようになりました。

日本においても、
看護や教育、市民運動における行政的かかわりなどに
用いられています。

もちろん、心理学においても研究法の教科書を開けば、
アクション・リサーチについての記述が見られるはずです。

しかし、それにもかかわらず、
アクション・リサーチは、心理学領域においては、
ほとんど用いられていないのです。


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4)【アクション・リサーチの現状】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

その根拠として、
過去に日本において投稿された論文数を、
データベースから検索してみましょう。

アクション・リサーチをキーワードに
ヒットする論文は、
過去に日本では159件あります。

これだけでも、
事例研究でヒットする7696件に比べると、
かなり少ないのですが、
その中でも、心理学関連の雑誌に載っているものは、
明確にわかる限りでは5・6件ほどなのです。

この現状は、どこからくるのでしょうか。


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5)【なぜ心理学において用いられないのか。】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ひとつには、アクションリサーチ側の限界があります。

1、 研究者が参与しつつ統制できるフィールドでないと難しい
2、 直接「集団」や「集団の中の個人」が対象になる。
3、社会変革に動機付けられている。

アクション・リサーチを実際に用いることの多い、
看護や教育、行政の研究者と、現場の特徴はなんでしょうか。

研究者自身が、実践家であり、
なおかつ、程度の差こそあれ、
実践の中で現場の条件を変更する権限を持っている、
ということです。

また、アクションリサーチは、現場全体の枠組みや、
現場という集団の中での、個人のあり方を直接対象にします。

このことは、心理学や、心理臨床でも行われていますが、
心理学では、個人や個人の内的過程を対象にするため、
集団の扱い方は、あくまでも間接的になります。

しかし、アクションリサーチ的な手法をそこに導入すると、
実際にクライエントの職場でいっしょに働く、
という発想になってしまうのです。

また、集団に参与し、直接介入し、統制する中で、
研究を進めるということは、その現場の責任者であっても、
その現場から、大きな抵抗を受ける可能性が常に存在します。

こうした点が、心理学にはなじまなかったと考えることができます。

ただ、ここから見えてくるのは、
心理学の側の問題点とも言えるところです。

つまり、心理学のほうも、
社会に向いていない点があるのではないか、
という点です。


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6)【実践と研究の葛藤】
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この点については、
皆さんにも考えてほしいと思います。

現在、スクールカウンセラーの配置が進んだことで、
今まで面接室に閉じこもっていたカウンセラーたちが、
社会に出ることが増えてきました。

学校ではじめて、
カウンセラーという存在と出会うという人も、
非常に増えてきています。

今まで、個人を対象にし、
集団や、集団とのかかわりは間接的に扱ってくればよかった
心理学者たちが、
生活者として、社会と直接かかわらなければならない
状況が出現してきているのです。

学校の中で生活していれば、
守秘義務であるとか、臨床家の中立性といった、
これまでカウンセラーを守るために役立ってきた点が、
現場から自分を切り離そう、
という発想になり、逆にカウンセラーの首を絞める場面も出てきます。

そうした点について、
やまだようこらの提唱するフィールド心理学など、
現場の実感を大切にする心理学を模索する試みも始まってきています。

特に臨床心理学は、
心理学の中でも、もっとも現場性が強い領域です。

そこから得られた知見を、共有し、蓄積するための、
新しい研究法が求められているといえるでしょう。

このような流れを、
心の研究法図に組み入れるとしたら、

     【ゲシュタルト】→ ? …【参与観察】

とでも書けるでしょうか。

いずれにしても、まだ取り組みは始まったばかりです。


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【次回配信】
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   次回 【問題号】… 2月7日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● ヘルスケアに活かすアクションリサーチ 2005 
  アリソン・モートン=クーパー著 岡本玲子 関戸好子 鳩野洋子 訳
  医学書院

● アクションリサーチの勧め-新しい英語授業研究 2000 佐野正之 著
  大修館書房

● 現場(フィールド)心理学の発想 1997 やまだようこ 伊藤哲司
  佐藤達哉 下山晴彦 奈須正裕 著 新曜社


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【編集後記】
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今回は、アクションリサーチの現状を通して、
臨床心理学における研究法上のボトルネックを
あぶりだす試みをしてみました。

ただ、アクションリサーチという研究法は、
研究法の参考書にはよく乗っている割に、
心理学のなかでは、
ほとんど用いられていない研究法でもあったりします。

そのため、今回はアクションリサーチの
説明も長くなってしまいましたし、
その割りにアクションリサーチ自体、
よく分からない、という人もいるかもしれません。

その点については、
次回の問題号でもフォローしていきたいと思います。

事例研究だけでなく、
もう少し広い視点から、
よりよい質的研究について考えていくきっかけ
になってくれるといいと思います。

その意味で、
やまだようこ編の「フィールド心理学」はお勧め。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
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 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   

2006年1月17日火曜日

 【Clip!アカデミー】第30回:解説号「心の研究法図を分析していくと」

【Clip! アカデミー】 第30回2006/1/17
第3週 解説号「心の研究法図を分析していくと」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/
  
      ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【問題号の解説】        
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

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            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
  ※【今回はこちら!】第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


 
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1)【前回のまとめ】
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  今回は、前回問題号の解説をしていきたいと思います。




●心の研究法図(仮)
===================================

          【 捉え方 】     【  道具   】
・・・・・  ┌─┐       ┌─┐           ┌─┐
     → │ |【 身体 】…|操|→ 生理学的検査  →| |
     → |観|【 意識 】…|作|→ 内観法     →|仮|
“こころ”→ |察|【潜在意識】…|的|→ 事例研究・面接 →|説|
     → | |【 行動 】…|定|→ 観察法・実験法 →|検|
     → | |【認知過程】…|義|→調査法・数理的解析→|証|
・・・・・  └─┘       └─┘           └─┘
===================================

前回エッセイ号では、
これまでに、心の研究法図を立てて検討してきた、
心理学における研究法について、さらに詳細な分析をしていきました。

●心の研究法図2(仮)
===================================

【 捉え方 】 【  道具   】  【研究への影響】 

【 身体 】→ 生理学的検査   …【科学的観察】
【 意識 】→ 内観法      …【言語報告】
【潜在意識】→ 事例研究・面接  …【対話】
【 行動 】→ 観察法・実験法  …【条件統制】
【認知過程】→ 調査法・数理的解析…【モデル構築】

===================================

心の研究法図2は、
心理学が、心の様々な側面を捉えるために、
道具となる研究法を工夫してきたこと、
その結果が、今日の個々の研究にも影響を与えていることを
示しています。

前回は、研究に関する問題3問を通して、
研究法への理解を深めていきました。

今回は、前回問題号の解説を通して、
研究法の基礎的な知識を確認していくエッセイをお送りしていきます。


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2)【問題号の解説】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【Q1】変数に関する問題

以下の中から、もっとも適切な主張を、ひとつ選びなさい。


==========選択肢==============

 a. 独立変数は多ければ多いほど、分析に有利である。
 b. 独立変数と予測変数は、どちらも観測変数である。
 c. y = ax + bの中で、変数は aである。
 d. 従属変数は、分析自体には関わりのない、
   いわばおまけのようなものである。

===========================


正解は、 【 b. 】

 …独立変数は、実験計画法における呼び方、
  予測変数は、回帰分析などで用いられる呼び方です。
  どちらも、実際にデータとして観測された変数を指しています。


量的研究につきものの統計処理ですが、
これが苦手な人も多いはずです。

わけの分からない公式や、
統計ソフトの操作に、右往左往するのはいい方で、
受験勉強として丸暗記している人の中には、
さっぱり言葉の意味が頭に入ってこない人もいるでしょう。

しかし、統計の基礎は、すでに中学校時代に
皆さんが触れているものなのです。

たとえば、変数は、中学校の数学においておなじみの、
方程式に代入するために用いる「x」や「y」などの
数字です。

もうひとつ、文系の人には久しぶりなものが、
中学校の数学で習う、y = ax + b
という一次方程式です。

よく、定数aやbを求めて、直線を引かされましたよね。

この直線を回帰直線といい、
予測変数xを観測することで、
回帰直線を用いて変数yを予測しようとすることを、
回帰分析といいます。

定数aとbが定まれば、あとは変数xを実際に測定しなくても、
変数yの値を予測することができる、というわけです。

回帰分析に必要な基礎的な手続きや計算は、
機械的にとはいえ、
実際には皆さんがすでに中学校でやっていたことの延長なのです。

心理学における統計の基礎は、
すでに中学校の数学で勉強したことのあるものです。

思い出してみましょう。
中学の教科書を引っ張り出してみましょう。

少し自信が湧いてくるはずです。


【Q2】統制に関する問題


以下にあげた実験の手続きにおいて、
実験した後に行うものとして、もっとも適当なものを、
次の選択肢からひとつ選びなさい。

   =====選択肢=======
 
     a. 実験計画法
     b. 実験室状況
c. ディブリーフィング
     d. 実験群と統制群

   ===============

正解は、 【 c. 】

 …ディブリーフィングは、実験後に、実験の目的や手続きなど
  について、被験者に説明することをさします。
  主に社会心理学においては、被験者に嘘の教示をしたり、
  サクラをしこんで望みの実験状況を作ることがあるため、
  重要になります。


コントロールとは、一種の暴力である。

実験計画法は、もともとはフィッシャーが、
農業における肥料の改良のために用いた方法です。

つまりもともとは、
農業という、同じ条件での毎年の繰り返しの中で、
いかに結果を改善できるか、
を目的として始められた方法だということができます。

農業では、天候などの自然環境に変化はあっても、
毎年同じ手順で同じ時間をかけて同じ結果を求めるわけです。

その中で、ひとつだけ条件を変えてみる。

そうすれば、その変えた条件が、
結果に与えた影響を知ることができるはずです。

もともと、条件をなるべく同じにする、
という統制という手続きが、やりやすい状況だったといえるし、
結果も体験的に実感しやすい。

しかし、心理学においては、
対象は人間の行動です。

人間の行動は、多くは習慣的・機械的なものであっても、
自然環境以外の、多くの社会的環境から豊かな影響を受けています。

社会的環境から引き離されると、
とたんに貧しく、画一的な行動しか見られなくなるかもしれません。

そこから、実験室状況についての、
心理学者の葛藤が生まれたといえます。

果たして、統制された実験室における実験結果は、
どこまで人間存在について一般化しうるのか?

被験者に実験内容を知らせずに、
実験に参加してもらったあとのディブリーフィングも、
独立変数として選択した要因の、
影響の仕方や程度を実感しやすくするための、
実験計画法も、こうした葛藤の中で、選択されてきたといえます。

一方で、実験室状況を作るということは、
人間を、画一的な枠組みに当てはめ、
その中で一定の反応を引き起こさせるには都合のいい状況です。

ミルグラム実験をはじめとして、
権力者による効率的な国民のコントロールのために
利用されやすいのは、そういった理由でもあるのです。


【Q3】多変量解析に関する問題


多変量解析とは、どのような解析方法か。
以下に挙げた1~4の文章の正否の組み合わせとして、
もっとも適切なものを、以下の選択肢から選びなさい。

1)正しいモデルを判定してくれる
2)正しいモデルを探してくれる
3)正しいモデルを作ってくれる
4)正しいモデルであることを証明してくれる


  =====選択肢=======

     1) 2) 3) 4)

    a. ○  ○  ×  ×
   b. ○  ○  ×  ○
    c. ×  ×  ○  ○
    d. ×  ×  ×  ×

  ===============


正解は、 【 d. 】

 …「正しいモデル」について、何かを自動的に「してくれる」
   ものではありません。

因子分析や、重回帰分析、共分散構造解析といった、
多くの変数を一度に扱う解析方法の目的は、
測定された変数間に一定のパターン・構造を見出すことです。

それが、因子分析であれば、観測変数に対する潜在変数、
つまり因子であり、
共分散構造解析であれば、モデルであることになります。

そこにはもちろん、
研究者の想定したモデルが必ず存在します。

しかし、解析法自体は、
純粋に数学的な構造を、最も当てはまりがよい形で
提出してくれるものにすぎません。

つまり、我々が求めている基準に比べると、
かなり大まかな目安を与えてくれるにすぎないのです。

そうしたパターンに意味を見出すのは、
いつだって我々人間の方です。

ですから、いかに高度な分析手法であれ、
変数を放り込めば、何らかの結果を産出してくれる、
と考えるのは間違いです。

そして、それ以上に「正しいモデル」が存在する、
と考えることにも、謙虚である必要があります。

ただし、はじめに研究者の想定していたモデルと、
そうした数学的に算出された構造が、
非常に似通っているとするなら、
そこには、なんらかの必然性が存在しているはずです。

そして、研究者のモデルが論理的にも、
説明として納得できるものであり、
実際に我々の心の理解や、行動の予測に役立つのであれば、
そのモデルには、意味があるといっていいでしょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【エッセイ号】… 1月24日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心は実験できるか―20世紀心理学実験物語 
  ローレン・スレイター 著 岩坂彰 訳 2005 紀伊国屋書店

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎 岡隆 編
  2004 有斐閣

● あなたもできるデータの処理と解析 岩淵千明 編著 1997 福村出版

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   
   【問題数5問。3分で終わるアンケートに答えるだけで、
         スターバックス500円券が抽選で20名様に】

    ※ 皆さんが大学院受験について感じていることを
      お聞きしています。

      ご協力していただいた方には、抽選で、
      少し遅いお年玉のチャンス。
    
      今すぐ受験を考えていない方も
      よろしくお願いします。
      
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   
Clip!アカデミーも今回で30回。



30回ということは、ちょうど、
【エッセイ→問題→解説】のサイクルを10回づつ繰り返した
計算になります。

心理学を、様々な角度から切ってきました。

どんな角度から切ると、
心理学が、今までと少し違って見えるのか。

少し分かりやすく、捉えやすくなるのか。

こちらもこちらで、毎回頭をひねっていますが、
我々の努力で、皆さんの勉強における負担が、
少しでも軽くなり、その分がモチベーションに
変わっていくことを願っています。

いよいよ、次回のエッセイ号で、
心の研究法図の検討も最後になります。

心理学における研究法の課題について
一緒に考えていきましょう。



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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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2006年1月10日火曜日

【Clip! アカデミー】第29回:問題号「心の研究法図を分析していくと」

【Clip! アカデミー】 第29回 2006/1/10
第2週 問題号「心の研究法図を分析していくと」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/      

◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【それでは問題です】        
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。


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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
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 ※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
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           第4週 基本的にお休み
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               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【前回のまとめ】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


●心の研究法図(仮)
===================================

          【 捉え方 】     【  道具   】
・・・・・  ┌─┐       ┌─┐           ┌─┐
     → │ |【 身体 】…|操|→ 生理学的検査  →| |
     → |観|【 意識 】…|作|→ 内観法     →|仮|
“こころ”→ |察|【潜在意識】…|的|→ 事例研究・面接 →|説|
     → | |【 行動 】…|定|→ 観察法・実験法 →|検|
     → | |【認知過程】…|義|→調査法・数理的解析→|証|
・・・・・  └─┘       └─┘           └─┘
===================================

前回エッセイ号では、
これまでに、心の研究法図を立てて検討してきた、
心理学における研究法について、さらに詳細な分析をしていきました。

●心の研究法図2(仮)
===================================

【 捉え方 】 【  道具   】  【研究への影響】 

【 身体 】→ 生理学的検査   …【科学的観察】
【 意識 】→ 内観法      …【言語報告】
【潜在意識】→ 事例研究・面接  …【対話】
【 行動 】→ 観察法・実験法  …【条件統制】
【認知過程】→ 調査法・数理的解析…【モデル構築】

===================================

心の研究法図2は、
心理学が、心の様々な側面を捉えるために、
道具となる研究法を工夫してきたこと、
その結果が、今日の個々の研究にも影響を与えていることを
示しています。

そこで今回も、
前回に続き、研究に関する問題3問を通して、
研究法への理解を深めていきましょう。

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2)【それでは問題です】
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【Q1】変数に関する問題

以下の中から、もっとも適切な主張を、ひとつ選びなさい。


==========選択肢==============

 a. 独立変数は多ければ多いほど、分析に有利である。
 b. 独立変数と予測変数は、どちらも観測変数である。
 c. y = ax + bの中で、変数は aである。
 d. 従属変数は、分析自体には関わりのない、
   いわばおまけのようなものである。

===========================


【Q2】統制に関する問題


以下にあげた実験の手続きにおいて、
実験した後に行うものとして、もっとも適当なものを、
次の選択肢からひとつ選びなさい。

   =====選択肢=======
 
     a. 実験計画法
     b. 実験室状況
c. ディブリーフィング
     d. 実験群と統制群

   ===============


【Q3】多変量解析に関する問題


多変量解析とは、どのような解析方法か。
以下に挙げた1~4の文章の正否の組み合わせとして、
もっとも適切なものを、以下の選択肢から選びなさい。

1)正しいモデルを判定してくれる
2)正しいモデルを探してくれる
3)正しいモデルを作ってくれる
4)正しいモデルであることを証明してくれる


  =====選択肢=======

     1) 2) 3) 4)

    a. ○  ○  ×  ×
   b. ○  ○  ×  ○
    c. ×  ×  ○  ○
    d. ×  ×  ×  ×

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【次回配信】
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   次回 【解説号】… 1月17日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心は実験できるか―20世紀心理学実験物語 
  ローレン・スレイター 著 岩坂彰 訳 2005 紀伊国屋書店

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎 岡隆 編
  2004 有斐閣

● あなたもできるデータの処理と解析 岩淵千明 編著 1997 福村出版

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣
 
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【編集後記】
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心理学実験を扱った映画として、
一時話題になった「ES」があります。

参考文献の先頭に挙げた
「心は実験できるか―20世紀心理学実験物語」という本は、
ミルグラムの電気ショックの実験、ハーローのアカゲザルの実験、
など、有名な心理学実験についての、
ドキュメンタリーといえる内容の本です。

著者は、臨床心理学者でもある
ジャーナリストすが、、
内容もセンセーショナルな書き方がされています。

ただ、教科書的な勉強をした後で読むと、
知識に血肉をつけるためのいろいろな材料を
与えてくれるかもしれません。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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2006年1月3日火曜日

【Clip!アカデミー】第28回:エッセイ号「心の研究法図を分析していくと」

【Clip!アカデミー】 第28回  2006/1/3
第1週 エッセイ号「心の研究法図を分析していくと」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

      ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
       2)【 心の側面を捉えるための道具 】
       3)【身体】…【科学的観察】=解剖や生理的指標の利用
       4)【意識】…【言語報告】 =言語報告の重要性と限界
       5)【潜在意識】…【対話】=事例から見えてくるもの
       6)【行動】…【条件統制】=条件を統制した上での観察
       7)【認知】…【モデル構築】=数理的解析とモデルの構築
            8)【歴史的蓄積の意味】
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。



 
  ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
 ※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
         第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 
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1)【前回のまとめ】
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これまで、本メルマがでは、心の捉え方という言葉で、
心理学の概念を検討してきました。

今回は、心の研究法図を使いながら、
そのまま研究対象を捉えるための手段である、
研究法について、より詳細な検討に入っていきましょう。

●心の研究法図(仮)
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          【 捉え方 】     【  道具   】
・・・・・  ┌─┐       ┌─┐           ┌─┐
     → │ |【 身体 】…|操|→ 生理学的検査  →| |
     → |観|【 意識 】…|作|→ 内観法     →|仮|
“こころ”→ |察|【潜在意識】…|的|→ 事例研究・面接 →|説|
     → | |【 行動 】…|定|→ 観察法・実験法 →|検|
     → | |【認知過程】…|義|→調査法・数理的解析→|証|
・・・・・  └─┘       └─┘           └─┘
===================================


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2)【 心の側面を捉えるための道具 】
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心理学における研究法は、
心の捉え方を具体化し、実際に研究するために用いられる道具だと
考えられます。

ここで重要なのは、
心理学においては心をどう捉えるかという捉え方自体が、
新しい発明であり、それは、心の捉え方を具体化する道具の発明と、
切り離せないということです。

まずは、
心の側面を捉えるための工夫が、研究法として蓄積されてきた
心理学の歴史=研究法の歴史でもある、
と捉えるところから、始めましょう。

蓄積されてきたということは、
現代において我々がひとつ研究をするにしても、
これまでの研究法の蓄積の上に行われているのだということです。

そこで、心の研究法図にもうひとつ、
現代心理学の研究に、どのように影響を与えたか、
という点を付け加えてみます。

それを検討していくことで、
各研究法をバラバラに見るだけでは見えてこない、
心理学における研究法全体が、
イメージできるようになるでしょう。

心の研究法図2(仮)
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【 捉え方 】 【  道具   】  【研究への影響】 

【 身体 】→ 生理学的検査   …【科学的観察】
【 意識 】→ 内観法      …【言語報告】
【潜在意識】→ 事例研究・面接  …【対話】
【 行動 】→ 観察法・実験法  …【条件統制】
【認知過程】→ 調査法・数理的解析…【モデル構築】
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3)【身体】…【科学的観察】=解剖や生理的指標の利用
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科学におけるもっとも基本的な研究法は、
対象を詳しく観察することです。

【身体】の側面を捉える方法は、自然現象としての身体構造や、
生命活動を観察する過程で、発展してきました。

その延長上として、
身体構造や脳の障害を観察するために解剖したり、
皮膚電気反応や脳波など、ありのままでは観察しにくい
生理的反応を、データとして捉えるための技術が発展することになりました。

ただし、心理学における観察法とは、
一般に行動を対象にした、より狭い意味で用いられることが多く、
ここでいう観察とは区別されます。

ただ、研究をするうえでは、
まず始めにこうした科学的に観察する、
という行為が存在することは、覚えておく必要があります。


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4)【意識】…【言語報告】 =言語報告の重要性と限界
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被験者が、主観的な経験を言語化して報告する内観報告は、
現在、独立して用いられることはありませんが、
観察と並ぶ、心理学研究の基本的な要素のひとつといえます。

ウェーバー・フェヒナーらが用いた当初は、
主観的感覚という現象を、データとして
測定することを可能にしたという点で、画期的な意味を持っていました。

その後、内観の対象が、被験者の感情や印象、価値観と
広がっていくにつれて、科学的分析を可能とするデータとして、
言語報告を用いることの困難性が、繰り返し指摘されつつあります。

とはいえ、我々の心は、
行動から推測する以外は、言語を媒介にしてしか
近づくことが出来ません。

これからも、言語報告からいかにして
人間の内面を探るか、心理学者は頭を痛めていくでしょう。


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5)【潜在意識】…【対話】=事例から見えてくるもの
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潜在意識を仮定したフロイトが取ったのは、
精神疾患を抱える人々との、対話による方法でした。

脳の損傷から記憶中枢を定位したヴェルニッケ、ブローカらは、
患者の症状(行動)の原因が脳の損傷部位にある、
という仮説を、解剖で確認することによって、
研究を行いました。

しかし、精神症状の多くは、脳の損傷のような、
観察可能な原因を同定することが出来ていません。

フロイトが個々の患者との対話を元に行ったのは、
精神症状の原因を、観察可能な対象に求めるのではなく、
我々が生きている、言葉の世界に求めることだったといえます。

我々は、主観的には世界や人生や自分の多くを、
言葉によって考え、生きています。

しかし、対話によって自分について突き詰めていけば、
いつか必ず、言葉の外にはみ出てしまう部分、
が出現してくる。

フロイトが精神分析(言葉)によって捉えようとした
無意識とは、このようなものであったようです。

ここでいう言葉の外とは、
物理的な身体や、世界とは明らかに異なるものであり、
客観的な手段では捉えることが出来ません。

様々な面接法や、事例研究を通じて、
心理学者がと捉えようとすることは、
言葉で持って言葉で捉えられないものを捉えようという、
矛盾した試みでもあるのです。


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6)【行動】…【条件統制】=条件を統制した上での観察
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行動は、心理学において、立場は異なれども、
もっとも重視される研究対象です。

それは、客観的に観察が可能であるのもかかわらず、
我々の心がどういうものか推測するために、
最も多くの情報を与えてくれると考えられているためです。

日常においても我々は、
自覚している以上に、話し合いよりも行動から
相手の気持ちを理解し、それに反応して生活しています。

研究において日常と異なるのは、
研究が行動を、組織的、計画的に観察しようとする点です。

そのためにもっとも重要なのが、
条件の統制(コントロール)です。

「恋人とのメールのやりとりの数」が、
多い人たちと少ない人たちがいるとしたら、
その差はどこにあるのか?

多い群と少ない群に分けたとき、
ある一つの要因以外は、まったく条件が同じであれば、
数の違いを、唯一異なる要因と結びつけて考えることが
許されるでしょう。

こうした手続きをとることが、
日常と研究との違いであり、
心理学者として発言することの意味であると言えるかもしれません。


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7)【認知】…【モデル構築】=数理的解析とモデルの構築
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モデルを構築するとは、簡単にいうと、
ある結果を引き起こすような因果関係の道筋を、
図式化して示すことだといえます。

いわば、物理学における物理法則のようなものであり、
先行条件さえわかれば、結果の予測が可能になることになります。

しかし、現状としてはこうしたモデルを、
心理学において実証することは難しいのが現状です。

たとえば精神分析における力動的な発達理論は、
実証はされていないけれど、子どもや成人の振る舞いを
ある程度予測・説明できるから、おそらく正しいのだろう、
と受け入れられるケースも少なくありません。

【認知過程】という側面の流行も、
こうしたモデル構築を、ある程度客観性のある手続きである、
因子分析や、共分散構造分析など、
数理的解析によって扱うことが出来るのではないか、
という期待によるところは大きいでしょう。

認知心理学によって発展したこのような手続きは、
心理学研究に広く波及しています。

ただし、モデル構築の目的として、
実効性を求める臨床心理学と、
実証性を求める基礎心理学では違いがあるのは当然で、
このような違いを十分自覚して研究することが、
これからの研究者には求められるでしょう。


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8)【歴史的蓄積の意味】
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さて、こうして見ていくと、
結局ひとつの研究を行ううえでも、注意点するべき点というのは、
膨大な先行研究の積み重ねから出てきていることが見えてきます。

当たり前といえば当たり前ではありますが、

 一つの研究を行うにあたり、一つの研究法を選び、 
 それだけ勉強するだけではすまない

ということです。

逆に、全ての研究法が、
自分の興味につながるのだ、という意識から
豊かな発想が生まれてくる。

こう考えることで、
目的意識を持って勉強に取り組めると思いませんか?


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【次回配信】
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   次回 【問題号】… 1月10日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● あなたもできるデータの処理と解析 岩淵千明 編著 1997 福村出版

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣

● 心理用語の基礎知識 東洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 編 1973
  有斐閣 

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【編集後記】
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Clip!アカデミー読者の皆さん、あけましておめでとうございます。

今年1回目のClip!アカデミーをお届けします。

今年も皆さんに、
心理学の勉強に向かうモチベーションと、
学問の楽しさに気付くきっかけをご提供できる、
Clip!アカデミーでありたいと思います。



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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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