【Clip! アカデミー】 第139回 2008/11/4
第3週 展開号 「心理学研究法から:実験現象学(experimental phenomenology)」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
.http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【現在地】
2)【実験現象学の広がり】
3)【解説:知識の展開】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「理論号」… 知識のタネをまく
↓ (用語説明から)
第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす
↓ (具体例を中心に)
※【今回はこちら!】 第3週「展開号」… 知識をつなげる
↓ (テーマを展開する)
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
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※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】
● 0ヶ月目 ガイダンス号
http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目5ヶ月目 臨床心理学から
「実験現象学(experimental phenomenology)」
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0ヶ月目 (ガイダンス号)
1ヶ月目 心理学の歴史から
2ヶ月目 基礎心理学から1
3ヶ月目 基礎心理学から2
4ヶ月目 臨床心理学から
【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から
| ↓
| 【※違うテーマではじめから繰り返します。】
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↓
● 第1週「理論」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
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● 第2週「応用」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
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● 第3週「展開」号
「実験現象学(experimental phenomenology)」はコチラ↓
~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~
知識は、知識とつなげることで、はじめて意味を持ちます。
取り入れた知識を、自分の中に根付かせるためには、
他の知識とつなげていくことを同時にやらなければなりません。
展開号では、
これまでに紹介してきたテーマを、さらに展開していきます。
関連する様々なテーマを紹介することで、
立体的な理解と、
心理学の中での位置づけが、
容易になるでしょう。
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2)【実験現象学の広がり】
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今回の展開号では、
実験現象学の広がりを、3つのトピックスから
展開していきましょう。
●現象学的還元
哲学者フッサールは、
意識の志向性などについて触れ、
優れた業績を残した哲学者ブレンターノに師事し、
「厳密な学」としての現象学を構想した。
現象学的還元とは、
現象学のためにフッサールが提唱した主要な手段であり、
「判断停止」、「カッコ入れ」とも呼ばれる。
現象学的還元とは、
現象を経験しているとき、
それを「当たり前」としている前提自体を、
ひとまず「カッコに入れる」作業を指す。
たとえば、
リンゴを現象学的に観察しようとするならば、
まず、「それがリンゴである」、
という判断を停止し、脇に置いておく。
この手続きによって初めて、
”それ”は、「リンゴ」という言葉やイメージ、
概念としての含みなどを引き剥がされることで、
意識の作用として私に経験されている現象
として、厳密な観察の対象となることができるのである。
●現象学的心理学
対象としての心理過程や行動を、
現象学的な記述や分析から把握する立場を
指して用いられる。
精神症状や生きがい、疎外など、
実験的に取り扱うことが困難な心理的事象に対し、
特に実存主義的な立場から
記述や分析を行ったメダルト・ボスや、
ビンスワンガー、V・フランクルらの名前が
挙げられることが多い。
心理過程を要素に還元し、
操作的に定義し検証していく自然科学的な
立場と対置して論じられる。
●アフォーダンス
J・J・ギブソンは、
ゲシュタルト心理学や実験現象学に影響を受け、
知覚心理学に新しい視点を提供した。
それがアフォーダンス理論と呼ばれる、
知覚の性質である。
アフォーダンスは、
環境が知覚者に「与える」、
「アフォードする」特徴や機会を指す。
アフォーダンス理論においては、
対象の価値や特性は、
知覚者のなかにあるのではなく、
知覚対象と知覚者の関係によって決まる。
たとえば「水」は、
のどが渇いた人にとっては「飲むこと」を、
海辺の観光客には「泳ぐこと」をアフォードする。
こうした環境と行為主体との相互作用から、
人間の心理や行為を捉えていく立場は、
生態学的心理学と呼ばれている。
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3)【解説:知識の展開】
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世界を客観的に観察しようとするとき、
そこには、
「客観的な世界がまず実在し、私はそれを正しく認識できる」
という前提が隠されています。
しかし、もし本当に厳密に、
「客観的な観察」を行おうとするなら、
そもそも、そうした前提が本当か、
検討する必要があるでしょう。
その問題に、
現象学的還元、という方法論から
真剣に取り組んだのがフッサールです。
「客観的な世界」とはなにか?
そもそも、
その「客観的な~」は、
我々の主観的な経験を通して、
我々の意識の中に現れているわけですから、
その時点で厳密な検証に耐えません。
だからこそ、
まずはじめに、
主観的な経験として我々の意識に現れた
現象自体を検証することが必要だ、
とフッサールは考えたのです。
こうした方法論は、
哲学史の中では、
ハイデガーやメルロ=ポンティといった、
実存主義と呼ばれる人々によって、
継承されていきました。
そして、心理学においては、
●精神症状を脳の構造や化学物質の問題ではなく、
人間が人生の中で経験するままに記述しようとした
精神病理学者たち
●ゲシュタルト心理学を通して、
世界がなぜ今のように経験されるのか、
を同じく単純に生理学や行動主義的な単位に還元しないで
検証しようとした心理学者たち
などに受け継がれていくことになりました。
しかし、
状況や対象を「ありのまま」に観察しようとする、
状況や対象を「当たり前」と考えず、
それを「当たり前」にしている前提自体を疑う、
という発想は、どのような研究においても、
最初の出発点であるはずです。
この問題をよくよく考えていくと、
そもそも「客観性」って?とか、
「実証」とは可能なのか?など、
研究が一歩も先に進まなくなる危険性があります。
しかし、
それを独創的に踏み越えられれば、
ギブソンのように、
新しい学問分野さえ切り開いていけるかもしれません。
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【次回配信】
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次回 【理論号】… 2008年11月18日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社
● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
● わかりたいあなたのための現代思想入門
小坂修平 竹田青嗣 志賀隆生 他著 1990 JICC
● エコロジカル・マインド 三嶋博之 2000 NHKブックス
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【編集後記】
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「あるがまま」というのは、
言葉にする分には簡単なのですが、
かなりの曲者です。
あるがままに観察すれば、
それで現象学になるのかというと、
若干疑問です。
その難しさを引き受けて、
現象学的還元というひとつの方法論を打ち立てたのが、
フッサールであるということが出来るでしょう。
これはさすがに哲学者というところで、
その厳密さと徹底さには、
心理学者はかなわないのかな、
と感じてしまいます。
もちろん、
方法論が異なるのですから、
かなわなくてかまわないのですが、
どうも心理学者が現象学という言葉を使うと、
「あるがまま」のような、
抽象的なお題目になりがちな気がします。
その点については、
個々人のモラルにおいて、
自戒する以外にないのでしょうか。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 http://www.clinicalpsychology.jp/
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2008年12月17日水曜日
【Clip!アカデミー】第139回:展開号「心理学研究法から:実験現象学」
投稿者
臨床心理士指定大学院受験予備校
時刻:
19:47
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