臨床心理士指定大学院受験講座メールマガジン
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【Clip! アカデミー】 第3回解説号「みなさんはどんな勉強をしていますか?」
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【問題号の解説】
【Q1】先行オーガナイザーに関する問題
【Q2】有意味受容学習に関する問題
【Q3】様々な学習理論とその提唱者に関する問題
【Q4】ピグマリオン効果に関する問題
【Q5】プログラム学習に関する問題
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
【今回はこちら!】第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
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1) 【前回のまとめ】
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第2回である前回は、
5問の、学習にまつわる問題をお送りしました。
以下に、その5問の出題分野を挙げます。
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【Q1】先行オーガナイザーに関する問題
【Q2】有意味受容学習に関する問題
【Q3】様々な学習理論とその提唱者に関する問題
【Q4】ピグマリオン効果に関する問題
【Q5】プログラム学習に関する問題
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※ 解説号である今回第3回は、前回の問題号の各問題の正解と、
その解説をお送りします。
「みなさんはどんな勉強をしていますか?」は今回で最後。
次回エッセイ号は、新しいトピックスにはいります。
お休みをはさんで、5月24日(火)の配信予定です。
それではまいりましょう。
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2) 【問題の解説】
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【Q1】先行オーガナイザーに関する問題
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先行オーガナイザーには、次の二つがあるといわれる。
学習材料に関する知識が少ない場合、有効と考えられるのはどちらか。
=========選択肢==========
a. 比較オーガナイザー
b. 概念的オーガナイザー
=========================
※ エッセイ号でも取り上げた、先行オーガナイザーの問題からです。
◆ 概念的(説明)オーガナイザー…学習内容を概念化して説明するもの
◆ 比較オーガナイザー…類似概念AとBを比較し、区別するもの
子どもに、「労働」という言葉の意味を教えるとき、
八百屋の子と会社員の子では、
学習材料に関する知識には差があると考えられます。
八百屋の子は、いつもお店で家族がしていることを見ていますから、
「お金を稼ぐために、お店でお父さんがしていること」
というと、ああ、ああいうことか、
と漠然としたイメージを持つことができます。
→ 概念化オーガナイザー
また、この子に、
「賃金労働=お父さんがお店でしていること、
家事労働=お母さんが、家でしていること」
という図を見せれば、「働く」ことにもいろいろな種類があるのだ、
という学習の構えが出来ます。
→ 比較オーガナイザー
上記の二つの例を比べてみると、
どちらがより多くの既有知識を必要とするかはお分かりでしょう。
よって、
正解は、 【 b 】
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【Q2】 オーズベルに関する問題
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オーズベルは、先行オーガナイザーを用いた学習法として、
有意味受容学習の有効性を提唱した。
逆に、批判の対象として比較したのは、次のうちどれか。
==========選択肢=========
a. 問題解決学習
b. 発見学習
c. 機械的(暗記的)学習
d. プログラム学習
=========================
※ 続いて、先行オーガナイザーの提唱者、オーズベルに関する問題です。
オーズベルの提唱した先行オーガナイザーは、
同じく彼の提唱した、有意味受容学習のための道具です。
受容学習とは、教師が知識を提示し、
生徒がそれを自分の知識構造の中に受容し、位置付けていく学習です。
しかし、この説明だと、確かに普段自分がしていることに近い気がするけれど、
====================
暗記とどこが違うの?
====================
という疑問がわいてきませんか?
学習が暗記学習になるか、有意味受容学習になるかは、
学習者が、学んでいる知識を、自分の既有知識と結び付けて、
自分にとって意味があるものとして受け止めていけるかどうか、
すなわち、
「学習材料を、自分にとって意味のある知識にできるかどうか」なのです。
ここにこそ、先行オーガナイザーの役割があります。
それと対照的なのが、発見学習です。
発見学習とは、
生徒自らが、仮説の構築から検証に至るプロセスを繰り返すなかで、
学ぶべき知識を再発見できるよう、導いていく学習です。
どちらが有効な学習法なのか気になるところですね。
オーズベルは、言語が理解できる年齢ならば、
有意味受容学習を用いた方が、
言語による知識を学習するためには効率がいいと考え、
発見学習に多くの時間を費やすことを批判しています。
一方、発見学習の提唱者ブルーナーは、
◆ 発見や検証の技術も身につく
◆ 発見を経て身につけた知識は忘れにくい
◆ 好奇心など内発的動機付けによって、学習が進む
などの点を、発見学習の利点としてあげています。
皆さんは、どれが好みですか。
暗記学習は、未だに根強い人気があるようですが、
本メルマガでは、有意味受容学習の立場に立ちたいと考えます。
ただ、臨床心理士指定大学院に進学したい方は、発見学習も必要でしょう。
研究のテクニックは、やはり、発見のプロセスを経て、
初めて身に付くと考えられるからです。
よって、
正解は、 【 b c 】 ※ふたつでした。
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【Q3】 様々な学習理論と、その提唱者に関する問題
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次の人名と用語との、正しい組み合わせを選びなさい。
(1)ケーラー (2)バンデューラ (3)ジンマーマン (4)ブルーナー
A 観察学習 B 洞察学習 C 自己制御学習 D 発見学習
=============選択肢===============
(1) (2) (3) (4)
a. A D C B
b. A C B D
c. B A D C
d. B A C D
==================================
※ 問題形式は、臨床心理士の資格認定試験の形式です。
この形式は、出題の仕方に慣れることがコツです。
まず(1)ケーラーは、アカゲザルを用いた、
様々な研究で有名なゲシュタルト心理学者で、洞察学習の提唱者です。
この時点で、選択肢 【 a. 】 【 b. 】 はアウト。
自動的に、
(2)の行動主義に新しい風を吹き込んだバンデューラは
観察学習の提唱者ということになります。
次に、(3)ジンマーマン。
ジンマーマンの名前は、これまでの二人ほど著名ではありませんから、
ここで止まる方も多いでしょうが、分からなくても問題は解けます。
という訳で、先に(4)ブルーナーに進みます。
ニュールック心理学、表象様式の発達で必ず概論書に登場するブルーナーは、
教育心理学においても多くの結果を残しています。
彼の提唱した学習方略は、D 発見学習です。
ここまで分かれば、
(3)ジンマーマン―自己制御学習 となります。
自己制御学習とは、文字通り、学習者自身が、
自分の学習を制御していく学習のことです。
動機付けや学習スキルを高めながら、見通しを持ち、
目標設定‐遂行‐自己評価を繰り返すことで進むとされます。
最近のトピックスであるため、邦訳の文献はまだ見当たりません。
(ご存知の方がいらっしゃったら、事務局までご情報をお願いします。)
大学院受験等では必要ないかもしれませんが、
心理学を生涯ブラッシュアップし続けていこうという、
本メルマガの読者の方々には有効な示唆を与えてくれると思われます。
興味のある方は、ネットや論文などを探してみるといいでしょう。
よって、
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(1)ケーラー - B 洞察学習
(2)バンデューラ - A 観察学習
(3)ジンマーマン - C 自己制御学習
(4)ブルーナー - D 発見学習
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正解は、 【 d. 】
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【Q4】 ピグマリオン効果に関する問題
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以下の文章のうち、ピグマリオン効果に関する文章として
もっとも適当なものはどれか。
========================選択肢==============================
a. 学習者の意欲に関する効果である。
b. 学習援助者の意欲に関する効果である。
c. 学習援助者の構えが学習者に与える影響に関する効果である。
d. 学習者が学習援助者に与える影響に関する効果である。
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※ ピグマリオン効果は、教師期待効果とも呼ばれます。
ピグマリオンは、ギリシャ神話に出てくる彫刻師です。
彼は、自らが象牙から削り出した美女の彫像に恋します。
服を着せ、様々な贈り物をするうちに、彼の願いに答えて
美女像は生身の女性に変わり、二人は結ばれる、というのが、
神話の内容です。
この効果について知らなくても、
この時点でもう答えはお分かりでしょう。
● あなたが持っている期待は、相手を変える。
学習援助者(教師)の持っている構えが、
学習者(生徒)に影響を与える事に関する効果なのです。
もともとは、ローゼンソールらのアメリカの教育現場での
実験からきています。
教師たちに、潜在能力が高いと考えられる子どもたちのリスト
(実はランダムに20%を抽出したリスト)を与えると、
半年後の再調査の際に、彼らの学業成績が向上していた、
というものです。
教師達からの期待が高まった子どもは、
教師達から非言語的な励ましを受け、
誉められる機会も多くなっていたそうです。
また、生徒が自分自身に向ける期待の高低も、
成績に大きな影響を及ぼすことが分かっています。
よって、
正解は、 【 c. 】
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【Q5】プログラム学習に関する問題
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スキナーが提唱したプログラム学習の原理は、
行動主義に基づく学習法として広く受け入れられた。
次にあげたプログラム学習の原理のうち、仲間はずれは
どれか。
==============選択肢===============
a. スモールステップ
b. 積極的反応
c. フィードバック
d. プロンプティング・フェイディング
e. 般化
f. 学習者ペース
g. 学習者検証
===================================
※ プログラム学習の原理は、
行動療法のプロセスと似ていると考えられます。
そう考えて、ざっと見渡すと、
分かりづらいのは、【 b. e. f. g. 】あたりでしょうか。
プログラム学習は、提唱者のスキナーが、
娘の授業参観をした折に、
個人差を無視した授業に対して反感を覚えたことから
始まったといわれています。
すなわち、学習援助者は、学習者個人のレベルに合った、
学習者個人のペースで進められるような課題を提供するべきである、
というのが、プログラム学習の考え方です。
したがって、【 f. 】学習者ペースは、OK
学習者ペースでの学習を与えるために、
課題は適切にプログラムされている必要があります。
プログラムの実行は、ティーチングマシンが行います。
ティーチングマシンは、1つづつ課題を表示し、
学習者の回答に応じて、すぐに次の問題を出題します。
まず、誤反応が生じないよう、
問題は少しずつハードルを上げていきます。
…【 a. 】スモールステップ
また、プログラムは、学習者が、
自ら自発的に取り組む必要があります。
つまり、学習者が問題に取り組もうとしなければ、
どんなに高価で高性能のティーチングマシンでも、
機能することは出来ません。
…【 b. 】積極的反応
正解不正解は、その場で即フィードバックされる必要があります。
…【 c. 】フィードバック
回答へのフィードバックとして、より高いハードルに進むか、
より低いハードルからやり直すかが決定されます。
始めは手がかりをふんだんに与え正解しやすく(プロンプティング)、
次第に、手がかりを減らしながら(フェイディング)、
反復することで、学習が定着しやすくなります。
…【 d. 】プロンプティング・フェイディング
さて、作成したプログラムは、学習者によって使用され、
学習が身についたかどうかで、再度修正される必要があります。
すなわち、【 g. 】学習者検証 です。
【 f. 】般化 は、条件付けされた反応が、他の刺激においても
生じることをいいます。
プログラム学習の原理には含まれません。
よって、
正解は、 【 f. 】
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【参考文献】
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● 【子どもとむかいあうための教育心理学概論】 1996 会田元明・
内野康人之・横山明子 ミネルヴァ書房
● 【図でわかる学習と発達の心理学】 2000 新井 邦二郎編著 福村出版
● 【学習方略の心理学―賢い学習者の育て方】 1997 辰野 千寿 文化社
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【編集後記】
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前回の配信後、励ましや、こうしたらもっとよくなるのでは、
というご要望が事務局に届くようになりました。
読者の皆さんと一緒に作って行きたいと思い作ってきたこのメルマガ、
このようなメールに事務局も大感激です。
その中に、問題がどの参考文献からの引用かを示すと、
もっと面白くなるのでは、というご意見がありました。
それぞれの問題に関係した参考文献を、巻末に挙げるというのは、
参考文献に興味を持ってもらえるようないいアイデアですね。
いただきです。
ただ、今回の問題自体は5問ともオリジナルで、
【参考文献】は、教育心理学や学習理論全般についての
文献という形であげています。
なので、【参考文献】については、次回以降の配信の中で、
どのような形にするか検討していきたいと思います。
以上のようなご意見など、
必ずしも全てを反映できるとは限りませんが、
ありましたら、事務局までお願いします。
…今回は、かなり長くなっています。
読者の皆さんが、最後まで読んでくれているかな、
と少し不安になりながら書いています。
解説号は、特に長くなりますね。
HTMLにしたら、皆さんからの投票結果のグラフなども入る予定なので、
また構成が変わるかもしれません。
次回5月24日(火)配信のエッセイ号は、新展開。
お楽しみに。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2005年5月10日火曜日
【Clip!アカデミー】第3回:解説号「みなさんはどんな勉強をしていますか?」
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