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2006年6月6日火曜日

【Clip!アカデミー】第45回:解説号「心の関係図のイメージ」

【Clip! アカデミー】 第45回 2006/6/6
第3週 解説号「心の関係図のイメージ」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/

      ◆目次◆

※【お詫び】※
            1)【前回のまとめ】
            2)【問題の解説】
          【Q1】集団の定義についての問題
          【Q2】集団の分類についての問題
          【Q3】集団内の相互作用についての問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
 ※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


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※【お詫び】※
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 | 前回のClip!アカデミー(第44回問題号)において、
 | 【Q2】の選択肢に記載上のミスがありました。
 |
 | 以下に、正誤表を示します。
 |
 |       ×… c. B D A C
 |
 |       ○… c. B A D C
 | 
 |一生懸命問題を解いてくださった読者の皆さんに、
 |心からお詫び申し上げます。
 |
 |
 |
 |                 Clip!アカデミー事務局一同


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1)【前回のまとめ】
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Clip!アカデミーでは、
全体的なイメージを捉えるために図式を立てつつ、
”こころ”をこれまで様々な側面から検討してきました。

前回のエッセイ号では、
新しく、心の関係図の検討が始まりました。

”こころ”が実体としても、概念としても、
捉えきれない存在であるとすると、
”こころ”には、まだまったく別の側面があるのではないか。

そこに、関係性としての心の在り様を、
想像してみる余地があります。


心の関係図(仮)
==========================

● 集団 = 個人1⇔個人2⇔個人3…個人N +α

“こころ”= ???⇔???⇔???…N +α

==========================

集団を形作るのは、まずは、N人の個人です。

それに加えて、集団においては、
個人間に継続的な相互作用(⇔)が生じています。

果たして、個人間でやり取りされる相互作用から、
個々人の総和とは異なる存在として、
どのようにして集団が立ち上がっていくのでしょうか。

集団という、関係性に特徴付けられた存在を検討する中から、
”こころ”についての、新しいイメージを得られるかもしれません。


エッセイ号では、集団に対する大まかなイメージを
把握するところからはじめましたので、
問題号・解説号では、
集団の基本的な特徴をつかんでいくことにしましょう。

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2)【問題の解説】
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【Q1】集団の定義についての問題

以下の文章は集団の定義について挙げたものである。
成熟した集団にもっともよく見られる特徴を、以下の選択肢から選びなさい。


 ============選択肢=============

  a. 複数の人々の間に、持続的に相互作用が行われている

  b. 外部と内部の境界が意識されている

  c. 構成員に帰属意識や愛着が存在する

  d. 集団内に構造が形成され、機能の分化がみられる

 ============================

正解は、   【 c. 】
…このような集団を、構成員にとっての準拠集団といいます。


集団は、様々な特徴から、定義することが可能です。

選択肢の【 a. 】で挙げた、
持続的な相互作用という特徴は、前回のエッセイ号でも
とりあげた、集団の基本的な条件でした。

集団としてのまとまりを、
社会心理学では、集団凝集性と呼んでいます。

【 a. 】や【 b. 】のような特徴は、
出来たばかりの集団にも見られます。

それに対して、
【 c. 】や【 d. 】のような特徴は、
出来たばかりの集団において、
ハッキリと見られるとは限りません。

これらの特徴は、
目的が明確に設定されている集団や、
凝集性の高い集団に見られるものです。

企業ように目的が明確な集団では、
初期から目的に向けて、
集団内に明確な構造(たとえば地位)や、
機能(営業や事務)の分化が進みます。

学校や習いものにおける友人関係のように、
目的が明確でなくても、
枠組みの中で持続的に集団が維持される場合、
それぞれの力関係や役割は、自然と分かれていくことになります。

その中でも、
構成員が、自分はこの集団の一員である、
という帰属意識を持ち、自分を同一化していくような集団があります。

このような集団は、

ベンチャー企業の中でも有名なもの、
質の高い教育を提供する大学や研究室、
昔でいう不良グループであることもあるでしょう。

目的の差、規模の大小はさておき、
凝集性が高く、持続性があって、
構成員の価値規範に大きく影響する、
準拠集団であるといえます。

臨床心理士を目指す人は、
臨床心理士のコミュニティを、
準拠集団として受け入れようとしているといえます。

そのコミュニティが、どのような集団なのか、
全体的な視野をゆがみなく反映しているか、
ときとして、覚めた目で見る余裕も持ちたいものです。


【Q2】集団の分類についての問題

集団は、以下のように様々な集団に分類することが出来る。

1)公式集団と非公式集団 2)一次的集団と二次的集団
3)ゲマインシャフトとゲゼルシャフト 4)タテ型組織とヨコ型組織

以下のA~Dは、1)~4)に示された集団類型を、分類する基準である。

A 直接接触か間接接触か B オフィシャルかプライベートか
C 年功序列か資格か D 親和か打算か

A~Dと、1)~4)の組み合わせとして、
もっとも適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。


   =======選択肢======

       1) 2) 3) 4)

    a.  A  B  C  D

    b.  D  A  B  C

    c.  B  D  A  C

    d.  B  D  C  A

   ================

正解は、   【   】

※問題号では、選択肢に正解がありませんでした。

正解は、【 c. 】… B D A C です。

知識を整理するために、以下に正解の組み合わせを
挙げておきたいと思います。

1)公式集団と非公式集団…B オフィシャルかプライベートか
2)一次的集団と二次的集団…A 直接接触か間接接触か(C.H.コーリー)
3)ゲマインシャフトとゲゼルシャフト…D 親和か打算か(F.テンニース)
4)タテ型組織とヨコ型組織…C 年功序列か資格か(中根千枝)

1)の「公式(フォーマル)-非公式(インフォーマル)」以外は、
聞きなれない言葉が多いかもしれません。

2)「一次的-二次的」の分け方は、
クラスメイトや同じ部署の成員のように、
実際に顔をあわせ、常に接触がある集団かどうか、
という分け方です。

同居家族は一次的集団ですが、
よほど近くに住んで、行き来が盛んでないかぎり、
親類縁者は、二次的集団になるといえます。

3)の「ゲマインシャフト-ゲゼルシャフト」は、
営利活動など、目的を達成するために形成される機械的組織、
コミュニティのように、人間が持っている、
自然な志向性として生じてくる共同体の対比です。

4)の「タテ型-ヨコ型」は、
一般に、「タテ社会」というときに用いられる類型です。

日本はタテ社会である、といわれますが、
先輩後輩、上司部下、お上と下々のように、
タテの結びつきが重視される構造を持っているということです。

一方で、ヨコ型の集団では、
上司部下、先輩後輩よりも、
同輩関係、同業種関係が重視され、
ギルドといった同業種集団が形成されたりします。

インドのカースト制度や、ヨーロッパの階級社会も、
こうしたヨコ型の結びつきから構成された社会であると
いうことができます。


様々な集団の捉え方について、
簡単に解説してきましたが、
この問題、聞いたことのない用語が多くて、
不安になった人も多いと思います。

それもそのはず、
ゲマインシャフトやタテ型組織、といった用語は、
心理学ではなく、社会学における基本概念なのです。

ですから、
そもそも用語の意味が分からない、
という方もひとまずご安心ください。

とはいえ、集団を論ずるうえで、
このような類型のパターンはある程度おさえておいたほうがいいことは、
いうまでもありません。

しかし、心理学だけみていても、
こうした集団のパターンは多くは見つかりません。

心理学では、実際の社会や現実に活動している集団よりも、
集団の形成過程や、個人間の相互作用、
個人の社会的行動に関心があるためでしょうか。

このように、学問によって守備範囲が異なったり、
同じものを見ていても、焦点の当て方が異なります。

あらゆる領域における詳しい知識は、
我々には持ちようもありませんが、
どこに何があるか、ありそうか、だけでも心得ておくと、
その後の視野の幅が変わってきそうです。


【Q3】集団内の相互作用についての問題

以下に挙げた選択肢の中から、集団内の相互作用のうち、
非言語的コミュニケーションの例と思われる選択肢を選びなさい。


 =============選択肢============

  a. メーリングリストにおいて意見のやり取りをすること

  b. メールでの書類催促に返信を返さないこと

  c. 挨拶メールをひんぱんにやり取りすること

  d. ダイレクトメールを、ゴミ箱に移動すること

 ============================

正解は、   【 c. 】


議論を単純にするため、
ここではメールを介したコミュニケーションに的を絞っています。

実際のコミュニケーション状況においては、
非言語的(non-verbal)なコミュニケーションとは、
我々の行っている相互作用の中で、
言語に寄らないコミュニケーションを指します。

すなわち、
声の高さやテンポ、間などの
聴覚的(vocal)なメッセージのやり取りや、
身振りや表情などの
身体言語(body-language)によるやり取りなどが挙げられます。

すなわち、コミュニケーションには、
異なるメッセージを伝達しうる、
複数のレベルが存在するということです。

言葉の上では「Yes」でも、
からだが逃げていたり、声が沈んでいれば、
我々はその同意が、単なる同意ではないことが分かります。

ちなみに、
ベイトソンによる、有名なダブルバインド理論は、
異なるレベルの間でのメッセージの矛盾が、
統合失調症の発生メカニズムと関係している、とするものです。

メール上では、
実際の音声や身体言語は伝達することが出来ません。

それでも、我々はメールを介して、
言語的なコミュニケーションだけでなく、
非言語的なメッセージのやり取りをしています。

選択肢を見てみると、
【 a. 】の意見のやり取りは、
言語的コミュニケーションの例といえます。

【 d. 】のダイレクトメールを捨てる、
というのは、コミュニケーションとして成立していません。

コミュニケーションとは、
あくまでも相互作用であり、
送り手の投げた球を受け手がどう受け止めたか、
が送り手に伝わらなければ成立したとはいえないためです。

言語内容以外のレベルでの、
メッセージのやり取りが行われているのは、
【 c. 】の挨拶メールの頻繁なやり取りです。

【 b. 】の返信を返さないという場合を、
非言語的コミュニケーションの典型例と言いたいところですが、
沈黙は非言語的メッセージではあっても、
コミュニケーションであるとはいえません。

その意味で、
内容を極力薄くし、
返信の間隔やスピードという非言語的メッセージを
多くやり取りするという、
今日的なメールの使い方は、
音声や身体言語の伴わないメールの弱点を補うという点で、
実に独創的です。

ちなみに、
こうしたメールのやり取りが、
恋人間や、友人間で多く見られるのは、
非言語的コミュニケーションのレベルでは、
人は嘘をつきにくい、とされているためです。


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【次回配信】
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   次回 【エッセイ号】… 6月20日(火)にお送りする予定です。
※ 次週6月13日(火)は休刊です。特別号が配信されることがあります。

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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編著 1999 有斐閣

● マンウォッチング<上> デズモンド・モリス 1991 小学館

● タテ社会の人間関係 中根千枝 1967 講談社


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【編集後記】
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本メルマガも、今回で45回を数えますが、
前回問題号では、ついに正答のない問題を出題してしまいました。

いくら考えてみても、
答えが分からなくて、
自分に自信がなくなってしまった方・・・

読者のみなさんにお詫びしたいと思います。

発行開始から多くの読者の皆さんに支えられてきたにもかかわらず、
期待に答えられなかったことを、とても重く受け止めています。

Clip!アカデミーも、もうすぐ50回を数えます。

このようなミスもありますが、
50回、60回、その先へと、
よりよい内容を目指して、
これからも、皆様のご期待に沿える内容を目指し、
尽力していきたいと考えております。

これからも、Clip!アカデミーをよろしくお願いいたします。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。

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