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2005年10月25日火曜日

 【Clip!アカデミー】第21回:解説号「心の歴史図を解説する」

【Clip! アカデミー】 第21回2005/10/25
第3週 解説号「心の歴史図を解説する」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/


 
      ◆目次◆

            1)【前回のまとめ】
            2)【問題の解説】
           【Q1】実験心理学の時代に関する問題
           【Q2】行動主義の時代に関する問題
           【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
  ※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

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1)【前回のまとめ】
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現在のClip!アカデミーでは、
心の歴史図(仮)を用いて、心理学史を少し違った視点から、
取り上げる試みをしています。

● 心の歴史図(仮)

===時代==|==========心的過程===========|=外界=

17世紀以前  【         魂→精神→意識         】
17~19世紀後半【    意識     】【     身体     】
20世紀前半:1【   意識   】【 潜在意識  】【  身体  】
20世紀前半:2【   意識   】【 潜在意識  】【  身体  】【行動】
20世紀前半:3【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体】【行動】
20世紀後半  【意識】【潜在意識】【  認知過程  】【知覚】【身体】【行動】

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エッセイ号では、
心の歴史図の各年代を、それぞれ個別に解説していきました。

そして問題号では、
心理学史の中でも特に取り上げられることの多い、

◆ ヴントの実験心理学の時代
◆ ワトソンの行動主義の時代
◆ ヴェルトハイマーらのゲシュタルト心理学の動き

について、もう少し詳しく補足的な問題を出題しました。

解説号の今回は、以上の3問について、
心理学史の流れから解説していきたいと思います。

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2)【問題の解説】
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【Q1】実験心理学の時代に関する問題

実験心理学を創始したヴントの影響を示した以下の文章において、
適切な文を○、不適切な文を×とした場合、
選択肢から、正しい○×の組み合わせを選びなさい。

1)アメリカに心理学を広めた
  スタンレー・ホール(Hall,G.Stanley.)、J・M,キャッテル(Cattel)、
ティチュナー(Tichener,E.B.)は、ヴント研究室の出身である。
2)ヴントの有名な言葉に、
  「心理学の過去は長いが歴史は短い」という言葉がある。
3)クレペリン(Kraepelin,E.)とヴントは同時代人である。
4)ヴントは、ヘルムホルツ(Helmholtz,H.L.F.von)のもとで助手をしていたことがある。
5)ヴントによって初めて出版された心理学の専門紙の名前は、
  「哲学研究」だった。

   ========選択肢========

       1) 2) 3) 4) 5)

    a.  ○  ○  ○  ×  ×
    b.  ○  ×  ○  ○  ○
    c.  ○  ○  ×  ×  ○
    d.  ×  ×  ○  ○  ○

   ===================

正解は、 
       【 b. 】 
…2)は、エビングハウス(Ebbinghaus,H.)の言葉です。

今回の選択肢は、トリビアというべきもので、
実際に知らなくとも試験や研究に差しさわりがあるものではありません。

ただし、周辺の細かなエピソードは、
その時代に対する我々の興味を膨らませてくれます。

皆さんも、面白い心理学史を目指して、
意外なエピソードをあさってみてはいかがでしょうか。

以下、それぞれの選択肢について。

スタンレー・ホールは、どちらかというと教育学で有名ですが、
アメリカ心理学会の立役者であり、初代会長を勤めました。

彼らは、留学など何らかの形でヴントの研究室にかかわりを持っています。

当時は、心理学の博士号を取れる研究室が
アメリカになかったため、多くの学生が、
学位を取るためにドイツに留学していたのです。

また、精神医学における精神疾患理解の基礎を築いたクレペリンは、
ヴント研究室でも心理学実験を行っていたといわれます。

新しい学問の確立には、
その分野での研究論文を掲載する雑誌の存在が欠かせませんが、
ヴントがはじめて発行した心理学雑誌は、「哲学研究」という名前でした。

のちに「心理学研究」に改称されています。


【Q2】行動主義の時代に関する問題

以下にあげた、人名と理論の組み合わせのうち、
もっとも適切なものを、選択肢から選びなさい。

1)ワトソン(Watoson,J.B.)2)ハル(Hull,C.L.) 
2)スキナー(Skinner,B.F.) 4)トールマン(Tolman,E.C.)

A オペラント条件付け(opernt Conditioning) B 認知地図(cognitive map)
C 動因低減説(drive reduction theory) D アルバート坊や

  ======選択肢=======
       1) 2) 3) 4)
 
    a.  D  C  B  A
 
    b.  D  C  A  B
 
    c.  D  B  C  A
 
    d.  B  A  D  C

   ================

正解は、
     【 b. 】…BとCを取り違えなければOK

行動主義は、心理学の発展の中で一時代を築き、
最も成果を挙げてきた心の捉え方のひとつといえるでしょう。

初期においては、心や他の構成概念の否定と、
人間の行動を徹底的にS(刺激)-R(反応)の連鎖に解体しうる
という理念によって、心理学研究に新しい領域を開きました。

その後、ハルやトールマンなど、さまざまな立場の登場によって、
その理念は背景に退きましたが、今でも心理学研究の基礎のひとつとして、
多くの研究に、大きな影響力を与え続けています。

アルバート坊やを対象にした嫌悪条件付けの実験は、
学習理論によって、人間の行動を操作することができることを証明し、
それまでの主体的な人間観に大きな衝撃を与えました。

ただ逆に、ワトソンは人間を徹底的な環境の産物と考えたため、
行動主義の考え方は、「教育」というものの価値を高めたともいえます。

スキナーも、教育に大きな関心を示していました。

本メルマガの第2回・第3回でもご紹介した、
彼のプログラム学習や、行動形成の理論は、
今でも教育現場に広く取り入れられています。

特に、障害児教育の現場においては、
受容的・分析的な立場よりも、クライエントの求めるものを
提供しやすいようです。

一方で、ハル、トールマンは、
刺激(S)と反応(R)の間に、媒介変数・中間変数である
有機体(organism)を置き、
S-O-Rの図式を通して、人間を捉えようとしました。

ハルの取り入れた媒介変数のひとつが、動因であり、
トールマンのそれが、認知地図です。

動因や認知といった、観察可能な刺激や反応の中間に仮定される概念は、
初期の行動主義が、“心”と同じく存在しないものとして、
退けたものです。

そのため、彼らは新行動主義と呼ばれました。

この流れは、のちに認知心理学につながっていきます。


【Q3】ゲシュタルト心理学の時代に関する問題

ゲシュタルト心理学と関わりのある以下の4人の
心理学者のうち、仲間はずれと考えられる人物を、
一人選びなさい。

   =====選択肢=====

    a. ケーラー(Kohler,W.)
    b. フェスティンガー(Festinger,L.)
    c. レヴィン(Lewin,L.)
    d. ヴェルトハイマー(Wertheimer,M.)

   =============

正解は、
     【 b. 】…初学者ほど答えやすい問題かもしれません。

ゲシュタルト心理学は、まずはじめはヴント流の構成主義、
のちには当時全盛を誇った行動主義へのアンチテーゼであり続けました。

その主張は、科学全般に特徴的であった、
原子論、還元論への抵抗でもありました。

すなわち、自然現象のすべては、
究極的な要素、たとえば“原子”のような存在に分解し、
還元することはできないし、
また、そのような“原子”からすべての現象は解明することができない、
という主張です。

構成主義における“原子”が、
内観によって特定された単純感情、単純感覚であり、
行動主義におけるそれが、SとRでした。

それに対し、ゲシュタルト心理学では、
たとえばゲシュタルトのような、現象の持つ全体性、
還元不可能性を重要視しました。

この主張は、のちに様々な形で心理学に影響を与えていきますが、
ここでは、ゲシュタルト心理学から、社会心理学への流れを指摘したいと思います。

4人のうち仲間はずれとして取り挙げたフェスティンガーですが、
彼は教科書では、ゲシュタルト心理学者というより、
認知的不協和理論を提唱した
社会心理学者として紹介されていることが多いと思います。

ところが、彼はレヴィンの初期の弟子であり、
ゲシュタルト心理学から大きな影響を受けていました。

実際、シャクター(Schachter,S.)やケリー(Kellet,H.)といった
有名な社会心理学者も、レヴィンの下で学んだ人々です。

彼らは人間の社会活動を、
行動主義のように刺激と反応に還元して考えるのではなく、
個人間の認知や緊張関係から導き出されるものと考えました。

フェスティンガーは、知覚から、
ケーラーは学習に、
レヴィンは行動や動機付けに、
要素に還元できないところから人間を規定する
“場”の存在を感じ取っていましたが、
フェスティンガーは、それを人間の社会活動の場に広げたといえるでしょう。


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【次回配信】
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   次回 【エッセイ号】… 11月8日(火)にお送りする予定です。
   ※ 11月1日はお休みです。特別号が配信されることがあります。

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【参考文献】
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● 流れを読む心理学史 世界と日本の心理学 サトウタツヤ 高砂美樹
  2003 有斐閣

● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房

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【編集後記】
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今回のQ1のトリビア的情報は、
上のふたつの文献から持ってきました。

どちらも、初学者が受験勉強のために使う最初の参考書としては
使いにくいかもしれませんが、
心理学史自体についての考え方や、
歴史を、心理学者たちの物語として捉えた文献の中では、
とっつきやすく、面白いものだと思います。

よく言われることですが、
やはり参考書は、できるだけ幅広いモノに当たるのがいいでしょう。

特に、まえがきを読んでみることをお勧めします。

その文献の編者が、どんな思いとコンセプトでその文献を
作成したかが、にじみ出てくるためです。

Clip!アカデミーでも、
第1回~第3回を中心に、前回のまとめや編集後記にも、
本メルマガのコンセプトや考え方を掲載しているので、
ご覧になってみてください。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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