【Clip! アカデミー】 第59回 2006/10/24
第3週 解説号「心の物語図の未来」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
【弊社スタッフ竹内が、読売ファミリーに取材を受けました。】
1)【前回のまとめ】
2)【それでは問題です】
【Q1】世界仮説に関する問題
【Q2】様々な質的研究法についての問題
【Q3】ナラティブモードについての問題
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
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【弊社スタッフ竹内が、読売ファミリーに取材を受けました。】
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↓↓↓掲載記事はこちらからご覧いただけます↓↓↓
http://k.d.mail-magazine.co.jp/t/k9wv/606d6b003a69rnbk79
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◆関西方面で人気のフリーペーパー
「読売ファミリー」2006年9月27日号に、
竹内が臨床心理士としてコメントを提供しています。
竹内は【Clip!アカデミー】の執筆責任者であり、
【Clip!アカデミー】の質の高さが、メディアから注目された結果
今回の新聞掲載となりました。
紙面では「ホメ上手大人の心得」のテーマで、
上手なほめ方について
心理学的な観点からコメントを行いました。
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http://k.d.mail-magazine.co.jp/t/k9wv/606d7b003a69rnbk79
【Clip!アカデミー】では、
これからも心理学を学ぶ皆さんを応援していきます。
今後とも臨床心理士指定大学院受験講座を
よろしくお願いいたします。
Clip!アカデミー事務局
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1)【前回のまとめ】
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心の物語図を巡る検討も、
今回で最後になります。
前回のエッセイ号では、
これまでの議論を受けて、”こころ”を物語として捉えることの、
限界と課題について検討しました。
●心の物語図(仮)
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それまでの理屈では説明ができず、納得ができない“何か”
↓
物語的ロジック
↓
物語による理解
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●心の物語図2(仮)
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それまでの理屈で説明できない“何か”=“こころ”
↓
科学的ロジック/物語的ロジック
↓
物語としての“こころ”=心理学理論
==========================
ナラティブとして世界を捉える捉え方として、
質的研究法を考えたとき、
臨床心理学と事例研究が抱えている課題は、
ナラティブ・モードの抱えている限界と、
つながっているようです。
個々の事例研究は勉強になるものが多くとも、
全体の枠組みとして、
臨床心理学全体を発展させる仕組みとしての、
弱さを、どう乗り越えていくのかが、
これからの課題になるのではないでしょうか。
このような関心から検討してきた
心の物語的側面ですが、
解説号で最後のまとめをしていきたいと思います。
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2)【それでは問題です。】
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【Q1】世界仮説に関する問題
科学哲学者のペパーは、我々が、
世界観を周囲にあるものから比喩的に構成しようとする傾向を指して、
ルートメタファーという概念を提唱している。
なかでも、科学が現象を捉えるのに用いる4つの世界仮説を挙げている。
ナラティブ・アプローチが前提とする世界仮説として、
最も適当なのはA)~D)のうちどれか。
以下の選択肢から選びなさい。
====選択肢=====
a. フォーミズム
b. 機械論
c. 有機体説
d. 文脈主義
============
正解は、 【 d. 】
人間は、自分の世界観を構成するために、
自分の身近な事物や現象を比喩として使う傾向がある。
ここでいう「比喩」のことを、
ルートメタファと呼びます。
例えば「徒然草」に出てくる「木登りの達人」は、
木登りだけをしてきたにもかかわらず、
人生を木登りに例えて、奥深い考えを披露しています。
ペパーが科学や哲学から抽出したルートメタファが、
類似性、機械、有機体、文脈の4つです。
初期の行動主義は、
人間を機械として考えるところからスタートしていますし、
発達段階論は、受精卵から成体に至る、
有機体の発達の段階を比喩的に用いています。
フォーミズムの例として挙げられるのは、
ヴントの要素主義です。
ナラティブ・アプローチは、
文脈主義の立場に立っているといえます。
人間が、世界について考えるために適当な比喩を
必要とする、という考え方自体、
そもそもブルーナーのナラティブ・モードという
捉え方に似ています。
【Q2】様々な質的研究法についての問題
様々な学問領域において、
それぞれに特徴的な質的研究が考案されている。
以下の選択肢の中から、
特に看護学の研究から出てきた手法を選びなさい。
=====選択肢======
a.グラウンデッド・セオリー
b.事例研究
c.フィールドワーク
==============
正解は、 【 a. 】
研究法は、常に何を捉えるために作られた方法か、
を念頭においておく必要がある。
質的研究が盛んな領域は、もともと量的研究を適用しづらく、
適用しても、現場の実感から乖離した理論しか作り得ない
ところです。
その実態を憂えた研究者達が、
なんとか自分たちの専門領域に、
現場との乖離が少ない理論をもたらそうと
悪戦苦闘した結果から生まれてきました。
質的データを分析し、解釈するため、
様々な理論や手続きが必要となりました。
統制された実験という、シンプルな道具によって、
実験データのみから仮説を実証していこうとする量的研究に対して、
複雑な手続きや道具を使って、
膨大な質的データの中に意味を見いだそうとするのです。
ここに、量的研究とはまた違った苦労があるといえます。
苦労の結果が研究法にも反映するわけで、
例えば「グラウンデッド・セオリー」という名前からは、
文字通り「地を這うようにして」ひたすら丹念にデータを拾い集め、
付き合わせながら理論を構成していく、という、
なんとも気の長い地道な作業が見て取れます。
このような作業を通じて、
なんとか研究の妥当性や信頼性を獲得しようとする努力には、
並々ならぬものがあるといえましょう。
ただし、研究法が一度確立してしまうと、
皇族はその名前だけ借りて、「○○分析をした」で安心してしまう
ところがあります。
質的研究を利用するならば、
まずはその研究法が確立した学問領域において、
なぜそのような研究法が必要とされたのかという成立背景、
現場や研究者たちの思いを、
押さえたいところです。
彼らは、なんとかして捉えたい対象があったからこそ、
そのための道具を考案したのですから。
【Q3】ナラティブモードについての問題
J・ブルーナーが取り上げている、
論理-実証モード(paradigmatic mode)、
物語モード(narrative mode)
の認知作用について、以下の表を埋めなさい。
| 論理-実証モード | 物語モード
――――――――――――――――――――――――――
目的 | (1) | (2)
――――――――――――――――――――――――――
評価基準| 妥当性・正確さ | 迫真性
――――――――――――――――――――――――――
結果 | (3) | (4)
――――――――――――――――――――――――――
A 説明 B 真実味 C 普遍的真理 D 理解
======選択肢=====
1) 2) 3) 4)
a. A C B D
b. A D C B
c. B A C D
d. D A C B
==============
正解は、 【 b. 】
ブルーナーは、
社会心理学、発達・教育の分野に置いて大きな成果をあげ、
晩年になってナラティブに深い関心を寄せました。
それまで注力してきた科学的方法論とは異なる形で、
世界を捉える方法として期待したのでしょう。
パラディグマティック・モードと、ナラティブ・モードの区別は、
現在の質的研究において、
重要な理論的根拠として盛んに参照されています。
医学や心理臨床でもそうですが、
エビデンス(科学的根拠)に基づかない実践は、
どうしてもマンパワーに頼らざるを得ず、
どうしても理論化が遅れたり、
努力が正当に評価されにくかったりすることも多いのです。
そうした実践を、
ナラティブに基づく実践と位置づけ、
エビデンスに基づく実践と同じように研究可能であり、
その価値があるものとして認めるための根拠を提示したことは、
ブルーナーの大きな業績であるといえるでしょう。
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【次回配信】
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次回 【エッセイ号】… 11月7日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 比喩から学ぶ心理学 2004 田邊敏明 北大路出版
● 現代心理学〈理論〉事典 2001 中島義明 編 朝倉書店
● 可能世界の心理 ジェローム・S・ブルーナー著 田中一彦訳
1998 みすず書房
● 質的心理学-創造的に活用するコツ 無藤隆・やまだようこ・南博文
・麻生武・サトウタツヤ編著 2004 新曜社
● 現場心理学の発想 伊藤 哲司・下山 晴彦・佐藤 達哉・奈須 正裕
1997 新曜社
● 人生を物語る-生成のライフヒストリー- やまだようこ 編 2000
ミネルヴァ書房
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【編集後記】
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心の構造図からはじめた
”こころ”の様々な側面の検討ですが、
心の物語図でひと段落という感があります。
ここから先、
”こころ”をどのように捉える射程がありうるのか、
次回からの新しい章で考えていきましょう。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
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2006年10月24日火曜日
【Clip!アカデミー】第59回:解説号「心の物語図の未来」
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