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2007年4月10日火曜日

【Clip!アカデミー】第77回:解説号「心の総合図を生かす」

【Clip! アカデミー】 第77回 2007/4/10
第3週 解説号「心の総合図を生かす」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/
  
      ◆目次◆

      【職業性ストレスに関するアンケートのお願い】
            1)【前回のまとめ】
            2)【問題の解説】
       【Q1】心理学のカテゴリーに関する問題          
       【Q2】心理臨床家の倫理綱領に関する問題
       【Q3】心理学研究の立場に関する問題
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
 ※【今回はこちら!】 第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○



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1)【前回のまとめ】
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心の総合図についての
第3回目のエッセイ号だった前回は、
心の総合図の総まとめと、その可能性、
限界について検討しました。

本メルマガでは、
これまで、あいまいで全体像のつかめない”こころ”を、
様々な角度から捉えることの、
その積み重ねによって、立体的に提示する、
という試みを行ってきました。

●この角度からは、どんな”こころ”の側面が捉えられるか?
●それによって、どんな側面が捉えられないか?

この繰り返しを、それぞれの図式の検討を
通して行ってきたわけです。

しかし、心の総合図は、これまでとは異なり、
仮に、1つの図式によって、
心理学の全体像が示せたとしたら、
という仮定から検討を行ってきました。

その結果は、
果てのないジグソーパズルのように、
完結しない図式として、
イメージすることしかできない、というものでした。

どこまでいっても、
ひとつの全体像を得られない心理学という学問が、
もしそれを得る可能性があるとしたら。

それは、我々が持っている、
”こころ”自体についての前提が、
ひっくり返るような、
根本的なパラダイム・シフトが起こったときでしょう。

そして、約2年をかけた本メルマガのこれまでの検討も、
心の総合図の検討を持って、
新しいサイクルに入っていくことになります。

4月は新しい始まりの月です。

今回も、次につなげていくための、
問題3問をお届けします。


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2)【それでは問題です】
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【Q1】心理学のカテゴリーに関する問題          

(1)~(4)の空欄に、入るA~Dの組み合わせとして、
もっとも適当なものを、以下の選択肢から選びなさい。


感覚・知覚|学習|記憶|要求・行動|性格|3)|社会|4)|異常
     |  |1)|感情・2)|知能|  |  |  |
     |  |思考|     |  |  |  |  |


A 発達 B 言語 C 臨床 D 情緒

   =======選択肢========

      1)  2)  3)  4)

    a. D   A   B   C
    b. D   A   C   B
    c. B   D   C   A
    d. B   D   A   C

   ==================


正解は、   【 d. 】

皆さんは、各カテゴリーが、どのような順序で
並んでいると思いましたか。

おそらく、それがハッキリ分からなくても、
設問には答えられたかもしれませんね。

カテゴリー自体は、
「心理学 改訂版」1990 詫摩武俊 編 新曜社
の一部から借用しました。

順序の意味が”ハッキリ分からなくても”答えられた人は、
おそらく、
心理学の概論書に何冊か目を通しているか、
心理学の学部で、基礎的な勉強をしてきた人でしょう。

心理学の概論書では、
目次を見比べてみれば分かると思いますが、
大体、上記のような並び方になっています。

とはいえ、
どの編者も、心理学の諸分野を、
どのような順序で説明していくか、
については、苦慮している様子が、
前書きやはしがきなどを読むと、よく伝わってきます。

問題として取り上げた順序では、

厳密ではありませんが、

    ●部分から全体へ、
    ●観察可能なものから、構成概念へ

と並んでいるといってよさそうです。

左端は、”こころ”のなかでも、
「感覚」なら感覚だけに限定して、観察可能なカテゴリーです。

一方、右端に行くほど、
扱わなければならない条件が増えていき、
また、「性格」といった、仮説的構成概念という、
実際には観察しがたい概念を扱わなければならなくなります。

皆さんのなじみが深いのは後者かもしれませんが、
どちらが、学問として提示しやすいかというと、
前者なのです。

自動車の仕組みのように、
論理的に説明しやすいからです。

まずはじめに、
論理的に説明しやすいところからはじめて、
次第に、複雑であいまいな部分の説明に入っていく。

こちらのほうが、
知識の積み重ね方としては、
分かりやすいように思います。

学びはじめは、
このようなことを気にする余裕もないかもしれませんが、
余裕が出てきたら、
概論書や入門書の目次をいろいろと見比べても、
発見があるかもしれませんよ。


【Q2】心理臨床家の倫理綱領に関する問題

以下にあげるのは、平成10年に制定された、
心理臨床学会員のための倫理基準の中で
取り上げられているテーマである。

以下の選択肢の中から、倫理基準の中には存在しない、
不適当なものを挙げなさい。

==============選択肢=================

 a. 会員は、(略)原則として、私的な場所または公開の場で
   心理療法・カウンセリング等の援助的活動をしてはならない。

 b. 会員は、対象者の許可を得ていれば、公表資料の中で、
   当人を識別できるような情報を用いて発表をすることができる。

 c. 会員は、専門家としての知識や意見を、
   新聞・ラジオ・TV・一般大衆紙・一般図書等において公表する場合、
   専門性と信頼を傷つけることのないよう十分な配慮をすること。

 d. 会員は、対象者および関係者に対して、
   臨床心理学の限界を超えた情報を提供してはならない。

===================================


正解は、   【 b. 】
…実際には、どんなに対象者の許可を得ていても、
資料の中では、当人を識別できないような配慮をするべきです。


ここでは、倫理綱領の中から、
心理臨床家の社会活動に関係の深そうな条文を
取り上げてみました。

社会活動にかかわる倫理的なテーマの中で、
もっともよく直面するものには、
たとえば守秘義務の問題があります。

心理臨床家が、
スクールカウンセラーなどの形で
日常的に社会に接することが増えると、
どうしても、社会からどう見られているか、
を意識する必要が出てきます。

そのとき、考慮すべきことは、
ふたつあります。

●倫理的な配慮
●説明責任

前者が、守秘義務を含む、
倫理綱領に挙げられたような配慮だとすると、
後者はどのようなことでしょうか。

説明責任とは
アカウンタビリティの訳であり、
もともとは、企業がその会計(account)について、
明確に説明する責任(responsibility)を
持っていることを指していたものです。

臨床心理士も、
これからは、倫理的配慮をしつつ、
社会に対して、自らの存在意義を、
積極的に説明していく責任があるでしょう。


【Q3】心理学研究の立場に関する問題


心理学の教科書を目にしたときに感じる、
全体像の捉えづらさから、
心理学自体についての研究をはじめる場合、
そこで取っている立場とはどれか。

   ===選択肢===

    a. 現象学
    b. 構造主義
    c. 脱構築
    d. 解釈学

   =========


正解は、   【 a. 】


心理学の教科書を目にしたときに【感じる】、
全体像の捉えづらさ。

と問題文にはあります。

つまり、問題文では、
研究者自身が、自分の感じている体験から、
研究をスタートさせていることになります。

どのような研究においても、
研究の動機には、
研究者自身の個人的関心や、経験が少なからず
影響しているものです。

しかし、それを自分自身の立場として
選択する場合、
それに当てはまるのは、
現象学的立場ということになるでしょう。

フッサールが、ブレンターノの影響から
提唱した現象学は、
対象と認識とのズレを、
「体験」を通して乗り越えようとするものです。

たとえば、
心理学の教科書、について考察するとき、
「心理学の教科書」自体を説明するどんな言葉も、
「心理学の教科書の像」であって、
それそのものとはズレているのではないか、
というのが、デカルト以降の哲学上の難問でした。

現象学では、
「でも、心理学の教科書を見て、
私が感じたこの体験自体は、そのようなズレがない」
と考えます。

そして、そこから、そのような体験を成立させていく
要件について考えていくのです。

もちろん、ほかにも、
研究者が取りうる立場はあります。

構造主義では、
研究者は、観察している現象の中に、
目には見えないなんらかの”構造”を
見出そうとします。

心理学では、個人差を、
個々人の中に、ある構造を仮定することで、
説明しようとすることがあります。

これが、性格や知能と呼ばれるものです。

これらは、哲学上の立場であり、
深く理解するのは難しい分野ではありますが、
大学院に進学したい人は、名前だけでも
覚えておく必要はあるかもしれません。


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【次回配信】
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   次回 【エッセイ号】… 4月24日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心理学 改訂版 1990 詫摩武俊 編 新曜社

● 心理学 1996 鹿取廣人・杉本敏夫 編 東京大学出版会

● わかりたいあなたのための現代思想・入門 1990 
  小阪修平・竹田青嗣・志賀隆生 他著 JICC

● 新版 心理臨床家の手引き 2000 鑪幹八郎・名島潤慈 編著 誠信書房


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【編集後記】
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前回から掲載している、
職業ストレスに関するアンケートにご協力いただき、
ありがとうございます。

心理学関係の学部や大学院では、
経験のある方も多いかもしれませんが、
質問紙を作成するためのアンケートです。

もし、大学院受験をお考えの方なら、
いずれは、ご自分も実施する必要があるかもしれません。

ご興味があれば、
一度上記のURLからアクセスしてみてください。

ご希望いただいた方には、
調査の結果についても、
後日Emailにて、お知らせできる予定です。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
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 無断転載・転用を禁止します。

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