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2007年12月4日火曜日

【Clip!アカデミー】第103回:基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable

【Clip! アカデミー】 第103回 2007/12/4
第3週 展開号 「基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable)」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
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      ◆目次◆
           1)【現在地】
           2)【無意味綴り(nonsense syllable)の研究】
           3)【解説:知識の展開】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】
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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
            第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
 ※【今回はこちら!】 第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■
   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○
 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】
 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html
 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 
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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 2巡目3ヶ月目 基礎心理学から2
        「基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable)」
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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
   2ヶ月目 基礎心理学から1
【NOW!】3ヶ月目 基礎心理学から2
    |   4ヶ月目 臨床心理学から
    |   5ヶ月目 心理学研究法から 
   |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓
 ● 第1週「理論」号
  「基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable)」はコチラ↓
http://clipseminar.blogspot.com/2007/11/1012nonsense-syllable.html
 ● 第2週「応用」号
  「基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable)」はコチラ↓
http://clipseminar.blogspot.com/2007/11/1022nonsense-syllable.html
 ● 第3週「展開」号
  「基礎心理学から2:無意味綴り(nonsense syllable)」はコチラ↓
   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~
   知識は、知識とつなげることで、はじめて意味を持ちます。
   取り入れた知識を、自分の中に根付かせるためには、
   他の知識とつなげていくことを同時にやらなければなりません。
   展開号では、
   これまでに紹介してきたテーマを、さらに展開していきます。
   関連する様々なテーマを紹介することで、
   立体的な理解と、
   心理学の中での位置づけが、
   容易になるでしょう。
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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2)【無意味綴り(nonsense syllable)の研究】
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エビングハウスは
無意味綴りの研究を続けませんでしたが、
記憶に関する彼の画期的な成果は、
言語学習の領域において、
様々な研究を生み出すことになりました。
●連想価
無意味綴りは、
日常の単語の持つ意味や文脈のばらつきが、
記憶過程に影響を与えることを統制するために
作成された無意味な単語である。
しかし、研究が進むにつれ、
無意味綴り自体も
既存の言葉を連想させることが分かってきた。
これでは、無意味綴りは、
記憶材料として等価な刺激として、
比較できないことになる。
そこで、それぞれの無意味綴りについて、
どの程度連想を生じさせるか、
という連想価についての評価が行われることになった。
グレースによって行われた連想価についてのリストは、
各無意味綴りについて、
何らかの有意味語を連想した被験者の人数を、
%であらわしている。
このような研究により、
極力等質な無意味綴りによって、
記憶や言語学習の研究を進めることが可能になった。
●抑制
エビングハウスのよって、
記憶の忘却曲線が示されてから、
忘却のメカニズムについて、
心理学においても様々な説が提唱されることになった。
干渉説は、想起されるべき記憶が、
ほかの記憶内容と干渉しあうことで、
想起しづらくなる、という説である。
それを支持する研究が、
記憶の抑制に関する研究である。
記憶の抑制には、順向抑制と逆行抑制があるとされる。
順向抑制では、
何かを記憶することで、
次に記憶することの内容を保持しづらくなる。
逆行抑制では、何かを記憶することで、
その前に記憶していた内容を想起しずらくなる。
この抑制が起こりやすいのは、
記憶内容が類似している場合であるとされている。
●レミニッセンス
エビングハウスの研究以降、
忘却は、時間経過とともに進行すると考えられたが、
ある条件下では、異なる結果が見られることがある。
それが、レミニッセンス現象である。
レミニッセンスでは、
学習が100%終わらない状態で中断された場合、
学習内容を想起させると、
学習直後よりも、一定期間が経過してからのほうが、
成績がよくなることが知られている。
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3)【解説:知識の展開】
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エビングハウスの無意味綴りに始まる、
記憶や言語学習に関する研究は、
行動主義と同様、連合主義の影響を強く受けていました。
そのため、
エビングハウス自身は研究を継続しなかったにもかかわらず、
行動主義が心理学の主導権を握った時代の
アメリカにおいて、
同じく盛んに研究が進められることになったのです。
連想価の評価による
無意味綴りの均一化は、
我々が日常で用いている言葉というよりも、
実験室のラットの飼育方法を連想させないでしょうか。
よりよい実験を行うために、
丁寧に、均質なラットを飼育する方法論を、
確立していくわけです。
この研究者の手つきのなかには、
慎重に条件を統制し、
全体を要素に分解していけば、
人間の内部についてもすべてを説明できるはずだという、
確信めいたものが感じられます。
その後、順向抑制や逆行抑制、レミニッセンスなど、
記憶や学習についての基本的な現象が発見され、
今日に至っていますが、
その背景にある記憶や言語に関する考え方は、
大きく変化していきました。
実験室における、
記憶過程や、言語の機械的な学習過程については、
言語学習(verbal learning)の語が当てられていますが、
その後、言語の有意味な側面を重視し、
自然環境の中での人間の言語を問題とする、
言語獲得(language acquisition)と呼ばれる領域が
盛んになってきています。
無意味綴りの連想価に関する研究は、
まさに言語学習の研究について、
非常に象徴的ではないでしょうか。
 
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【次回配信】
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   次回 【理論号】… 12月18日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣
● 心理学用語の基礎 東洋 大山正 詫摩武俊 藤永保 編 1978 有斐閣  
● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社
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【編集後記】
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無意味綴りは、言葉のラットである。
こう考えると、
様々な背景がクリアーになってくるように思いますが、
その中に、感情的な、あるいは感傷的な要素を
こめることには、
慎重にならなければならないでしょう。
現在においても、実験室における、
統制された条件下での実験研究は重要な意味を持っています。
また、言葉の意味を重視した研究が、
無意味綴りを用いた研究より人間的か、
という問いは、それこそナンセンスとしかいいようがありません。
それこそ、
動物実験を批判するような文脈を連想させるとしたら、
目も当てられないということになります。
長年にわたる基礎心理学の訓練を受けずに、
応用領域で仕事をすることの多い臨床心理士は、
この点について、特に注意する必要があるように思います。
感傷を研究に持ち込まずに、
それでも個人個人や自分が生きている世界に対する
感覚を、自覚していることが、
とても重要であるように思うのです。

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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
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