臨床心理士指定大学院受験講座が提供している、心理学・臨床心理学を学ぶ方を対象とした、メールマガジンのバックナンバーサイトです。 http://www.clinicalpsychology.jp/

最新のバックナンバー

2007年12月18日火曜日

【Clip!アカデミー】第104回:理論号「臨床心理学から:健忘症(amnesia)」

【Clip! アカデミー】 第104回 2007/12/18
第1週 理論号「臨床心理学から:健忘症(amnesia)」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
 http://www.clinicalpsychology.jp/
  

      ◆目次◆
           1)【現在地】
           2)【臨床心理学から:健忘症(amnesia)】
           3)【解説:知識の種】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

 ※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※

  メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
  のフォント設定のやり方を載せてあります。

==================================================================


   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
 ※【今回はこちら!】 第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
            第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
            第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【現在地】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【現在のテーマ】 2巡目4ヶ月目 臨床心理学から
        「臨床心理学から:健忘症(amnesia)」

       ======================

        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
   2ヶ月目 基礎心理学から1
      3ヶ月目 基礎心理学から2
【NOW!】4ヶ月目 臨床心理学から
    |   5ヶ月目 心理学研究法から 
   |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓

 ● 第1週「理論」号
  「臨床心理学から:健忘症(amnesia)」はコチラ↓

   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   用語説明は、知識のタネです。
   
   勉強、特に受験勉強においては、まずはたくさんのタネを
   自分の脳の中にまかなければなりません。
   
   タネは小さくてかまいません。

   逆に、完ぺき主義はいい結果を生みません。
   
   はじめはできるだけコンパクトな知識からはじめましょう。    
   
   しかし、そこで勉強は終わりではありません。

   そこからが、勉強のスタートなのです。      
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


※ その他バックナンバーはコチラ↓

http://clipseminar.blogspot.com/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【臨床心理学から:健忘症(amnesia)】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


今回は臨床心理学から、
「健忘症(amnesia)」
を通して、心理学について考えていきましょう。


============用語説明==============

健忘症とは、
記憶のプロセスになんらかの障害が起こり、
必要な記憶を思い出すことが出来なくなる症状を指す。

障害が生じているプロセスや原因によって、
様々なタイプが報告されている。

大きく分けると、
健忘症の原因は心因性と器質性に分けられる。

また、
新しい出来事を記憶できなくなる症状を順向性健忘、
過去の記憶を思い出せなくなる症状を逆向性健忘、
と呼ぶ。

心因性の健忘のなかでも、
強烈な心理的ショックを原因に、
見当識(自分が誰で、ここがどこかについての意識)
が失われるものは、記憶喪失と呼ばれる。

強烈なストレスや環境変化によって、
一時的に生じる一過性全健忘症は、
50歳以上の人に生じるが、見当識は失われず、
数時間から数日で回復する。


器質性の健忘は、
脳の損傷、特に海馬を含む大脳側頭葉
の損傷によるものであり、
長期にわたる深刻な影響が生じることが多い。

損傷の原因としては、
慢性アルコール中毒による損傷(コルサコフ症)、
脳の老化(認知症)、
アルツハイマー病における脳の萎縮、
脳血管の疾患、
などがあげられる。

一方、通常ほとんどの人は2・3歳の頃の記憶を持たない。

言語や記憶が未発達であるために、
経験をエピソードとして言語化し、
記憶しておくエピソード記憶が成立していないことが
原因である。

これは乳児性健忘と呼ばれる。

==============================


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【解説:知識の種】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


忘れることは自然で必要なプロセスであり、
人間の社会においては、
いつでも、どこでも、
常に進行していることが普通です。

しかし一方で、
記憶は我々が我々であることを保証してくれるものでもあり、
その意味で、変わらない、なくならないことが、
我々が社会生活をおくる上での、大前提となっています。

我々の社会では、
「憶えていない」、「記憶が首尾一貫していない」ことは、
ときに、その人自身への人格的な非難にさえ、
結びつくことになるのです。

忘却は常に進行しているのに、
前提としては、記憶が永遠であるかのように振舞う。

両者のズレが露呈するのが、
この健忘症という症状であるということができるでしょう。


我々は、日常において、
あまりに当然のものとして、
「永遠に忘れない」「首尾一貫している」
などの言葉を、
美しい言葉にしていることに、
考えをめぐらせる必要があるでしょう。

裏を返せば、
それは逆に、「忘れる」ことを
ネガティブにしか捉えられないことを
意味しているからです。

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【応用号】… 12月25日(火)にお送りする予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣

● 心理学用語の基礎 東洋 大山正 詫摩武俊 藤永保 編 1978 有斐閣  

● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


記憶喪失や健忘症は、
小説や映画などにも、
多く取り上げられる題材です。

おそらく、健忘症に面した人々の多くは、
これまで自分が当たり前のものと考えてきたことと、
現実とのギャップを体験し、
そこから人間そのものについて考えざるを
えなくなったのでしょう。

人間を描こうとするとき、
そのようなギャップを分かりやすく示すものとして、
健忘症が取り上げられてきたのだと考えられます。

解説では、
記憶が首尾一貫していることをよしとする社会、
という言い方をしましたが、
これは、言い換えると「自己同一性」を重視する社会、
ということでもあります。

つまり、健忘症を題材にするような社会は、
個人に
「自分が自分であること」
「自分の記憶や主張がいちいち一貫していること」
を、厳しく問う社会であるということも出来るかと思います。


「自己同一性」を重視する社会があるということは、
それをあまり重視しない社会もあるということでしょう。

それはどんな社会でしょうか。

その是非はともかく、
おそらくは、健忘症をめぐる人々にとっては、
もう少し生きやすい社会かもしれません。


====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/    
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。     
無断転載・転用を禁止します。

0 件のコメント: