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2008年4月15日火曜日

【Clip!アカデミー】第117回:応用号「基礎心理学から2:学習(learning)」

【Clip! アカデミー】 第117回 2008/4/15
第2週 応用号「基礎心理学から2:学習(learning)」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆ http://www.clinicalpsychology.jp/


  
      ◆目次◆

           1)【現在地】
           2)【ふたつの条件づけ理論】
           3)【解説:知識の根っこ】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
 ※【今回はこちら!】 第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
            第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 


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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 3巡目3ヶ月目 基礎心理から2
         「学習(learning)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
        2ヶ月目 基礎心理学から1
  【NOW!】3ヶ月目 基礎心理学から2
    |   4ヶ月目 臨床心理学から
    |   5ヶ月目 心理学研究法から 
   |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓

 ● 第1週「理論」号
「基礎心理学から2:学習(learning)」はコチラ↓

http://clipseminar.blogspot.com/2008/04/clip116learning.html

 ● 第2週「応用」号
「基礎心理学から2:学習(learning)」はコチラ↓


   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   知識のタネをまいたら、
   次にすることは、水をあげること。

   いろいろな方向から刺激してあげることで、
   知識を様々なイメージで膨らませていくことが出来るでしょう。

   応用号では、
   理論号で紹介した概念について、
   今度は具体例などを紹介しながら肉付けしていきます。

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2)【ふたつの条件づけ理論】
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前回の理論号では、
学習の生理的基盤や、
生得的要因との関係に触れました。

生得的要因の影響が強い学習は、
刻印づけなどの初期学習に見られるように、
まだ成熟していない個体が
生きていくために必要な学習を、
生得的な要因によって準備しているために生じます。

一方、パブロフの唾液反射の実験や、
ワトソンのアルバート坊やの実験などに見られる
古典的条件づけの理論でも、
唾液反射や、驚愕反応など、
生得的に備わっている行動が重要な役割を果たしています。

新行動主義者として知られるスキナーは、
学習によって身につけられる条件反射が、

●先行する刺激によって受動的に形成されるか、
●能動的な行動が結果的に条件反射になるか、

という違いから区別しています。

古典的条件づけでは、
驚愕反応を引き起こすような刺激が先行しています。

まず最初に刺激が存在し、
刺激への反射として驚愕反応が生じ、
そこに他の刺激が結びつくのです。

そのため、
お昼寝の時間になると同じメロディが鳴り出したり、
もう帰ってほしい時間になると蛍の光が鳴り出したりすると、
なんとなくその刺激に結びついた反応が
引き起こされてしまうことになります。

一方で、
我々が一般的にイメージする意味での「学習」に
大きな貢献をしたのは、
もうひとつの条件づけ理論である、
オペラント条件付けの理論です。

スキナーがソーンダイクの問題箱を改良して作成した
スキナー箱の場合、
プロセスはまず最初に箱の中のネズミが、
なんらかの行動(例えば中のレバーを押す)をとることから始ります。

この場合、
行動主義的な学習理論では、
ネズミの意図や意思は重要されません。

行動に続いて、
何らかの刺激(餌や電気ショック)が与えられると、
ここでも驚愕反応や唾液反射のような、
生得的な反応が生じます。

その繰り返しの結果、
レバーと餌→食べるという行動(無条件刺激-無条件反射)
の間に条件づけが成立します。

そのため、
オペラント条件づけにおいては、
まずはじめに、
「自分が行動した」という前提が常に存在します。

自分が行った行動への環境側からの返答によって、
またやったり、もうやめたりする。

朝「おはよう」と声をかけたら、
愛想のよい「おはよう!」が帰ってくると、
まだ挨拶しようと思う、ということが起こります。


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3)【解説:知識の根っこ】
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ふたつの学習理論は、
一見対照的に見えます。

一方では、
「主体」は受動的に「条件づけられている」
ように感じられます。

他方では、
「主体」は能動的に
自分の行動を制御しているように感じられます。

おそらく、一般的な意味での「学習」は、
ふたつめのような意味合いで使われることが多いでしょう。

能動的に知識や行動を学びとっていく、
その前提には、主体的で自発的な存在としての人間がいます。

しかし、実際にはどちらも、
環境からの刺激に反応している、
という点では違いはありません。

あいさつの話にしても、
相手から「愛想のよい返事」が返ってきた
ことが、「あいさつ」という行動の生起水準を
高めるのであって、
そこには、いかなる主体的な存在や、
”自発的な”行動は仮定されていません。

逆にいえば、
そういったものを仮定しなくても、
動物や人間が日々おこなっている学習というものが説明できる、
という点が、学習理論の大きな成果であるともいえます。

つまり、
ある行動を学習したい・させたい場合、
人間の「根性」や「やる気」を発揚させるよりも、
まずは環境を整えることの方が、
学習には有益である、ということです。

このように、
現実的な教訓に着地しましたが、
もちろん、このような理論は、
実際に人間の行動を制御する上で効果があっただけ、
ほかにも様々な議論を巻き起こしましたし、
その多くは、今でも明確な結論が出ていないないものが多くあります。

皆さんはどんな印象を受けますか?


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【次回配信】
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   次回 【展開号】… 2008年4月22日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣

● 誠信 心理学辞典 外林大作 辻正三 島津一夫 能見義博 編
  1981 誠信書房

● 心理学の基礎知識 東洋 大山正 詫摩武俊 藤永保 編
  1970 有斐閣


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【編集後記】
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前回理論号でも触れたように、
学習には様々な側面があり、
学習に関する統一理論というものは、
現在に至るまで体系づけられていません。

しかしその中で、
一般に学習理論と呼ばれる一連の理論があり、
研究があります。

それが行動主義における学習の理論です。
もっとも、「学習理論」という呼称は、
心理学的な意味では現在あまり用いられていないかもしれません。

とはいえ、「学習」の領域は、
基礎心理学の領域において
古くから熱心に取り組まれてきた領域であり、
学習の基礎を学ぶ上で、
学習理論を省くことはできないでしょう。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座  http://www.clinicalpsychology.jp/    ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座 に帰属します。無断転載・転用を禁止します。

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