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2008年8月12日火曜日

【Clip!アカデミー】第130回:展開号「基礎心理学1:群化(perceptual grouping)」

【Clip! アカデミー】 第130回  2008/8/12
第3週 展開号 「基礎心理学1:群化(perceptual grouping)」


◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆ http://www.clinicalpsychology.jp/

  
      ◆目次◆

           1)【現在地】
           2)【その他の重要概念】
           3)【解説:知識の展開】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
            第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
 ※【今回はこちら!】 第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 


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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 4巡目2ヶ月目 基礎心理学から1
         「群化(perceptual grouping)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
  【NOW!】2ヶ月目 基礎心理学から1
    |   3ヶ月目 基礎心理学から2
    |   4ヶ月目 臨床心理学から
    |   5ヶ月目 心理学研究法から 
   |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓

 ● 第1週「理論」号
「群化(perceptual grouping)」はコチラ↓

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 ● 第2週「応用」号
「群化(perceptual grouping)」はコチラ↓

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 ● 第3週「展開」号
「群化(perceptual grouping)」はコチラ↓


   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   知識は、知識とつなげることで、はじめて意味を持ちます。

   取り入れた知識を、自分の中に根付かせるためには、
   他の知識とつなげていくことを同時にやらなければなりません。

   展開号では、
   これまでに紹介してきたテーマを、さらに展開していきます。

   関連する様々なテーマを紹介することで、
   立体的な理解と、
   心理学の中での位置づけが、
   容易になるでしょう。
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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http://clipseminar.blogspot.com/


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2)【その他の重要概念】
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今回は、展開号として、
群化に関連するその他の重要概念
について触れていきましょう。


●図と地

図とは視野の中で浮き上がって見える部分、
地とは引いて背景となる部分をいう。

ルビンは、
現象学的な観察を通じて、
図と地が転換可能で、
同じ領域でも、
役割によって見えがまったく異なることを発見した。

視野の中で、
どのような領域が図になりやすく、
地になりやすいか、
という図と地の分化については、
プレグナンツの原理からいくつかの
要因が指摘されている。


●知覚の恒常性

知覚の恒常性とは、
外界からの刺激が安定しない場合でも、
知覚自体は急激に変化せず、
ある程度の安定性を保つ性質を指す。

暗いところでも明るいところでも、
白い紙は白く、
黒い紙は黒く見えるが、
これを、明るさの恒常性という。

これは当たり前のように思えるが、
実際には、
物理的な光の反射量は、
明るいところの黒い紙ではかなり
高くなる。

つまり、
白く見えてもおかしくはないのだが、
知覚を体制化する時点で、
実際よりも、恒常性のほうが優先されている
と考えられる。

どちらにしても、
感覚は刺激とは一対一で対応していない
ことになる。

こうした考え方は、
はじめ、ゲシュタルト心理学者たちによる、
当時の心理学(要素主義)の批判から始まった。

つまり、
感覚と刺激が一対一で対応している、
という考えを、理論の前提にすえることへの批判である。

しかし、今日では、
ではなぜ、我々の世界は、
感覚と刺激とが、一対一で対応しているように、
「見える」のか、
という点から、研究が進められている。


●場の概念

現象を理解するためには、
その諸要素をバラバラに把握し、
その集合として理解するのではなく、
諸要素が属している全体を場と考え、
その配置や関係性から理解するべきであるとする
考え方を指す。

この概念を心理学に持ち込んだのは、
ゲシュタルト心理学者のケーラーである。

もともとは物理学における、
磁場や力場のような物理的なモデルに
由来している。

場を形成している諸要素の変化は、
場全体を変化させ、
全体の変化が要素にも影響する。

ケーラーは、
群化における知覚の体制化や、
錯視、図形残効といった視覚現象も、
こうした場の概念から説明可能であると考えた。


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3)【解説:知識の展開】
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群化は、
ゲシュタルト心理学における
体制化の概念の基礎となるものでした。

それは、他の概念とあいまって、
心理学に様々な影響を与えていくことになりました。

そのなかでも、
特に重要なのが図と地の概念でしょう。

知覚が良い形態へと体制化されていくにあたり、
ある領域が図として浮かび上がり、
その他の領域が地として背景になることで、
我々は日常の安定した視野を得ています。

こうした視野のあり方は、
我々が、特定の対象に注意を集中することを
助けてくれますが、
逆に言えば、
我々はこのような知覚の特性に縛られている、
ということもできます。

図と地は、
ある状況における、問題とその背景、
という比喩にも用いられます。

我々が問題にとらわれ、
悩んでいるときに、
良くあるのは、
問題の特定の領域だけが図として浮かび上がり、
重要な点が背景として見過ごされている場合です。

図と地が逆転し、
背景が図となり、問題が地となったら、
もしかしたら、
問題は問題ではなかったことが分かるかもしれません。

しかし、
今の自分の視野や、
問題のあり方が、当たり前である、
として「前提」としてしまうと、
問題を問題として構造化している要因
が見えなくなってしまいます。

実際には、
我々が見ている視野は、
「変えようのない現実」=刺激などではなく、
見る側の構造化の仕方によるものなのです。

ゲシュタルト心理学者たちは、
このように、感覚と刺激が、
当然一対一で対応しているとみなす考え方を、
「恒常仮定」として批判しました。

こう考えていくと、
我々の視野だけでなく、
記憶や状況など、様々なものが、
実はハッキリとは確定できずに、
常に移ろっているあいまいな存在である
ように感じられてきます。

その全体を指して、
物理学に習って「場」と呼ぶのは相応しい
ことのように思われます。

このあいまいな全体を、
そのたびごとに、
自分が生きやすいように体制化し、
意味づけしているのが、
人間を含めた生物の在り様であるといえるでしょう。


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【次回配信】
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   次回 【理論号】… 2008年8月26日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● キーワードコレクション心理学 重野純 編 1999 新曜社

● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣

● 心理学物語 テーマの歴史 R.C.ボールズ 著 富田達彦 訳
  2004 北大路出版


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【編集後記】
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ゲシュタルト心理学の
恒常仮定は、
我々が日々体験している
知覚世界の恒常性を否定するものではなく、
それを「当たり前」の前提とすること
への批判でした。

知覚が、
世界を安定し、一貫したものとして
体験させようという性質を持っているのは、
世界が安定し、一貫しているからではなく、
人間の認知過程が、
かなりの努力を払っている結果だということです。

これは、
我々が子どもに、
「世界はいいところで、安定していて、一貫している」
と伝えたいことと似ている気がします。

世界をそう信じることは必要です。

だからこそ、
人間として世界を生きていける。

しかし、
現実にはそうではなく、
そうであるように、
陰でたくさんの努力や犠牲が支払われている、
ということも、知っている必要があります。

それを知っている人だけが、
それを支えることの大切さを理解するのではないでしょうか。

学説を価値観につなげるのは
当然自粛するべきですが、
それについて考えることは、
もっと奨励されてもいいことのように思います。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座  http://www.clinicalpsychology.jp/    ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座 に帰属します。無断転載・転用を禁止します。

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