【Clip! アカデミー】 第16回 2005/09/12
第1週 エッセイ号「心の捉え方の歴史」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【心を歴史から捉えるとは】
3)【心理学の戦略】
4)【心をいかに操作可能な形で捉えるか】
5)【捉えられたものの歴史】
6)【心の歴史図(仮)】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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■ 基本サイクル ■
第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
※【今回はこちら!】 第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
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1)【前回のまとめ】
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今回から、Clip!アカデミーは、“心”を、
歴史的な視点から切っていきたいと思います。
第一回のエッセイ号では、
まずは、恒例となった図式を立てることからはじめましょう。
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2)【心を歴史的に捉えるとは】
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これまで、
我々は心理学が扱う重要な心の側面として、大きく
「身体」「意識」「行動」「潜在意識」「認知過程」「ゲシュタルト」
の6つの側面を立てて考えてきました。
ここでも、この6つの側面を通して、
心の歴史図を構築してみましょう。
心の歴史図はいかなるものになるでしょうか。
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3)【心理学の戦略】
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“心”というものは、捉えがたいものです。
もともと形がなく、目にも見えない上に、空気のように
物質的基盤すら定かではありません。
それが、何千年もの昔から、
我々人間に不可欠なものとして、
思想と考察の対象となってきたのは、
“心”を理解することが、人間存在を理解することと、
ほとんど同じ意味だったからなのでしょう。
そのため、人文科学、人間科学と呼ばれる分野は、
全て、捉えがたい“心”を捉え、理解するための戦略
を持っているといえます。
ですから、我々が試みようとしている、
心の歴史図の構築も、
心理学におけるこうした戦略の変遷を、
歴史的な視点から検討するということになるでしょう。
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4)【心をいかに操作可能な形で捉えるか】
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現代心理学においては、
研究の対象になる“心”は、いくつも存在します。
これは、初学者を混乱させやすい、
心理学の特徴です。
心理学は、これまでに心に様々な側面を見出し、
それを研究対象とすることで、心なるもの、しいては人間なるものを
理解しようとしてきました。
これがすなわち、“心”を捉えるための、
心理学独自の戦略といえそうです。
つまり、
“心”という存在を定義する中で、
科学的に検証可能な部分をいわば切り取ることで、
新しい心理学研究が可能になった感があります。
それを繰り返していくうちに、
アリストテレスの時代には単純だった“心”という存在は、
多様な側面を持った複雑な構造体に変わっていきます。
心の側面の代表として取り上げた6つの側面が、
見出された年代順に並べて行くことで、
このような心理学の戦略、
そのダイナミックな働きが、我々人類の“心”に対する眼差しを、
いかに変えて行ったか、
が浮かび上がってくるはずです。
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5)【捉えられたものの歴史】
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新しい視点が登場するたびに、
心理学はその全てが変化し、新しい視点を中心に
再統合されるのではなく、
旧来の視点と新しい視点が共存することで、
より複雑に、多様化して発達してきました。
人間を内省する「意識」と機械である「身体」に分け、
今日の二元論的価値観を決定付けたデカルト。
彼が「方法序説」を執筆したのが、1637年です。
ヴントが、研究の対象として「意識」そのものを挙げることで、
心理学研究室を立ち上げたのが、1879年。
無意識という潜在的意識を中心的概念として、
人間について独自の理論を構築したフロイトの、
「夢判断」の初刊が1900年。
ワトソンが、行動主義を提唱する講演を、
コロンビア大学で行ったのが1912年です。
ウェルトハイマーがゲシュタルト心理学初の研究として、
仮現運動に関する論文を発表したのも1912年でした。
ここからしばらく行動主義全盛の時代と、
ゲシュタルト心理学のゲリラ的抵抗の時代が続きます。
1956年には、ブルーナーやミラー、チョムスキーらによって、
認知心理学と呼ばれる新しい流れが生まれ、
70年代にはすっかり心理学を変えてしまいました。
彼らが捉えたのは、“心”そのものではありませんでした。
いわば“心”なるものの、研究可能な一部分、
一側面を捉えることに成功したのだといえるでしょう。
それでも、
その積み重ねの中に我々は、
心理学が追い求めてきたものを見出します。
それは、我々自身が心理学など知らずとも
いつも当然と感じていること、
それでも、いざ実際に手を伸ばして、
目を凝らして捉えようとすると、
その正体がさだかではない、“心”というものではないでしょうか。
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6)【心の歴史図(仮)】
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なんとも大まかに、心理学史をたどってきました。
これらの年代の順に、
彼らが代表する心の捉え方を、並べて行くことにします。
以下に挙げた図式が、
歴史的に見た、心の捉え方の非常に大まかな変遷です。
● 心の歴史図(仮)
===========心的過程============|===外界====
↓【 魂→精神→意識 】
↓【 意識 】【 身体 】
↓【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】
↓【 意識 】【 潜在意識 】【 身体 】【 行動 】
↓【意識】【潜在意識】【知覚(ゲシュタルト)】【 身体 】【 行動 】
↓【意識】【潜在意識】【 認知過程 】【知覚】【身体】【 行動 】
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ここまで、“心”を、実在する存在のように
扱ってきました。
しかし、実際には、この“心”というものも、
仮説のようなものにすぎません。
ですから、心の歴史図で扱っている心の側面も、
「“心”とはこういうものではないか」という
捉え方=定義であって、実際に「意識」や「認知過程」
という実在物があるとは断言できません。
歴史的に見ると、
我々の“心”が、物理的に変化してきたのではなく、
我々の考える「“心”とはこういうものだ」が、
変化してきたのだ、と考えた方が、適切でしょう。
さて、
図式をながめながら、イメージを膨らませてみましょう。
例えば、受精卵が、分裂を繰り返し、
次第に分化して複雑な構造を持つように、
我々の“心”も、時代を追うごとに分化し、複雑になっていった様子を、
感じ取ることが出来るようです。
また、ヴントが心理学の対象として中心に据えた「意識」が、
時代を追うにしたがってどのようになっていくか、
新しい側面が、主にどこに生じているか、
などなど、図式化することで、
いくつかの傾向が浮かび上がってきます。
こうした発見や、論点が出てくることが、
図式にしてみることの面白さです。
ただ、ここではそうした論点の検討に移る前に、
次回は、この図式について、基本的な事項を確認しておきましょう。
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【次回配信】
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次回 【問題号】… 9月19日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 方法序説 ルネ・デカルト著 谷川多佳子訳 1637 岩波書店
● 夢判断 ジグムント・フロイト著 新宮一成訳 1900 岩波新書
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● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房
● 試験にでる心理学 <一般心理学編> 山口陽弘 高橋美保 2001 北大路書房
● 心理学群像 全2巻 末永俊郎 監修 2005 アカデミア出版会
● 流れを読む心理学史 世界と日本の心理学 サトウタツヤ 高砂美樹
2003 有斐閣
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【編集後記】
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●新しい図式に突入しました。
前回特別号では、レイアウトをよりシンプルに、
読みやすく変更していく予定ですとお伝えしたのですが、
いかがでしたでしょうか。
次回は問題号ですが、
問題数は減らす方向で検討しています。
ただし、内容については、
今までどおりのやり方を続けていきたいと考えています。
今後とも、皆さんのご勉強にいくらかでも
参考になるメールマガジンを目指していきたいと思います。
●セミナーへのご参加ありがとうございました。
これからも、皆さんにご協力いただいたアンケート結果を参考に、
人気のあったセミナーを企画していきたいと思います。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
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無断転載・転用を禁止します。
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2005年9月12日月曜日
【Clip!アカデミー】第16回:エッセイ号「心の捉え方の歴史」
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