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2005年12月6日火曜日

【Clip! アカデミー】 第25回:新章突入!エッセイ号「心の研究法図を作る」

【Clip! アカデミー】 第25回 2005/12/6
第1週 新章突入:エッセイ号「心の研究法図を作る」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/




      ◆目次◆

            1)【新サイクル突入!】
            2)【研究をするということ】
            3)【操作的定義】
            4)【心の側面】
            5)【研究方法は、捉え方に規定される】
            6)【心の研究法図(仮)】
              【次回配信日】
              【参考文献】
              【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
  ※【今回はこちら!】第1週「エッセイ号」…問題提起
                 ↓
            第2週「問題号」…練習問題 
      ↓
            第3週「解説号」…確認とフィードバック
                 ↓
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


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1)【新サイクル突入!】
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前回までは、3ヶ月にわたり、
心の歴史図を通して、心理学における、
心の捉え方の歴史的変遷を検討してきました。

今回からは、新しいサイクルとして、
心理学の研究法について論じて行きたいと思います。


研究法について考えるということは、
実は、心理学の勉強の中で、もっとも重要なことのひとつです。

というのは、

  心理学の研究法を身につける = 心理学者の考え方を身に着ける

ということに他ならないからです。

ですから、
単に心理学の知識が豊富な人を、
心理学者と呼ぶのは、この際やめましょう。

心理学者とは、
心理学の手続き、ロジックから、物事を見ることができる人、
つまり、心理学者として考えることができる人なのです。

それでは、心理学者はどのように考えるのか、
いつものように、非常に大まかにではありますが、
概観していくことにしましょう。

その中から、
心の研究法図を立てていくヒントが得られるかもしれません。

また、皆さんが、
実際に研究を行っていくときの、
発想のヒントになるといいなと思います。


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2)【研究をするということ】
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読者の皆さんは、研究法、というと、
どんなことを連想しますか。

心理学に興味のある人なら、
よくテレビでもやっていたりする実験や、
ストレス診断テストなどを思い浮かべるかもしれなせん。

大学院受験のために勉強している人なら、
観察法、実験法、質問紙法……と、
暗記したての専門用語が出てくるかもしれませんね。

どちらも、とても結構です。

ただし、そこには、
一番大事な事が抜けています。

それは、何を、どんな風に研究するのか、
というイメージです。

これが研究のキモで、
実験や質問紙などの具体的な研究法は、
実はここが決まらないと、何の意味もないのです。

つまり、研究法以前に、

   形のない心を、どのように切り取り、どのような捉え方をするか

を考えることが、研究をするということです。


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3)【操作的定義】
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そして、初めて研究に取り組むとき、最も苦しむのも、ここです。

前回までの心の歴史図では、
心理学の先人たちが、心をいかにして科学的に捉えるか、
に苦心し、心理学の歴史を作っていったかをたどりました。

逆を言えば、
心をうまく科学的な枠組みの中で捉えることに成功した
人たちが、心理学を作ってきたのだといえます。

ですから、ここに、その研究の価値や、オリジナリティの、
すべてが詰まっているといえます。

ただし、我々には、ゼロから新しい捉え方を
生み出す才能も経験もありませんから、
これまでの心理学の蓄積を、最大に生かすことを考えましょう。

まず、はじめにつまずきやすいのが、
自分が研究したいテーマを、
どうやって具体的な研究に落とせばいいのか分からない、
というものです。

ここで利用できるのが、
前々回の問題号でも触れた、操作主義、という考え方です。

一言でいうと、

 科学的な研究の対象は、
 手続き(操作)によって明確に示されなければならない

ということです。

たとえば、
「恋人の愛情」という形のないものも、
「1日に来る携帯メールの数」という手続きによって表現できるもの、
と定義することができます。

仮に、「恋人の愛情」=「1日に来る携帯メールの数」
ということにしておくわけです。

これなら、抽象的な愛情の代わりに、
1日に来る携帯メールの数を、研究対象にすることができます。

ここではじめて、
具体的な研究方法について考え始めることができるわけですね。


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4)【心の側面】
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たとえば、
愛情=メールの数、ということにすれば、
メール送信という行動の数を調べることで、研究が可能そうです。

しかし、
ここでもうひとつ、前提となっている条件に注意しましょう。

それは、
「恋人の愛情」を、「1日に来る携帯メールの数」として
操作的に定義する、ということは、
心のなかの、【行動】という側面を切り取っているのだ、
ということです。

心には、今までのメルマガでも取り上げてきたように、
行動以外にも、様々な側面があると考えられます。

そして実際、
皆さんは、本当に恋人の愛情が、
1日に来るメールの数で測れると思いますか?

そうです。

実際には、心(愛情) = 行動(メール)ではなく、
     心(愛情) > 行動(メール)ですね。

ですから愛情には、メールの数という、行動として測れる側面もある、
くらいなら許されそうです。

ほかには、たとえば、
恋人が今、どんな気持ちでメールを打っているか→【意識】の側面
メールの少なさは、本当に気持ちの薄さか、
それとも、本人も気づかない何かのサインなのか→【潜在意識】の側面
など、いろいろ考えることができます。

単純に、体調が悪かっただけかもしれないのです。→【身体】の側面


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5)【研究方法は、捉え方に規定される】
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このように、心を科学的研究に乗せようとする場合、
実際には、心のいずれかの側面に着目し、
それをどのような形で操作的に定義するか、
という手続きが存在しています。

このことが重要なのは、
着目する側面によって、用いることのできる研究法が
変わってくるためです。

メールを送っている恋人が、今どんな気持ちでいるか、
という意識体験は、行動とは一致しないかもしれません。

したがって、行動を対象とした研究では、
今どんな気持ちか、
という意識体験について知ることはできないことになります。

 可能な研究方法は、切り取ろうとする側面に規定される。

これが、
形のない心を、どのように切り取り、どのように捉えるかが、
重要な理由なのです。


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6)【心の研究法図(仮)】
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つまり、心の側面それぞれに、
それを研究しようとして工夫されてきた研究法が存在する、
と考えると、
研究法を、大まかに位置づける枠組みを作ることができそうです。

心の捉え方には様々なものがありますが、
我々は、これまでにいくつかの側面から、
心の捉え方を検討してきたのですから、
ここでもそれを利用しながら、図式を立てて見ましょう。


●心の研究法図(仮)
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          【 捉え方 】     【  道具   】
・・・・・  ┌─┐       ┌─┐           ┌─┐
     → │ |【 身体 】…|操|→ 生理学的検査  →| |
     → |観|【 意識 】…|作|→ 内観法     →|仮|
“こころ”→ |察|【潜在意識】…|的|→ 事例研究・面接 →|説|
     → | |【 行動 】…|定|→ 観察法・実験法 →|検|
     → | |【認知過程】…|義|→調査法・数理的解析→|証|
・・・・・  └─┘       └─┘           └─┘
===================================

 ※注 【ゲシュタルト・知覚】の側面は、今回は意図的に入れていません。
    
    図式を分かりやすく、シンプルにするためです。
    
    その理由は、一度全体を一通り説明し終わった後に、
    改めて取り上げることにしたいと思います。
   

どうでしょうか。

この図式を通して、
大まかな研究の流れをつかむことができます。

しかし、これは単なる1回きりのプロセスではなく、
日常においても、常に繰り返し行われる、
心理学者としての考え方の流れと考えましょう。

次回は、この図式を使って、
実際に、あれこれと物事を考えてみたいと思います。


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【次回配信】
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   次回 【問題号】… 12月13日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● チビクロこころ 中学生高校生のための心理学入門 森まりも 著
 1999 北大路書店

● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
  2004 有斐閣

● 心理用語の基礎知識 東洋・大山正・詫摩武俊・藤永保 編 1973
  有斐閣


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【編集後記】
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Clip!アカデミーが臨床心理学を学びたい人にも、
基礎心理学の重要性を説き続けている、
その理由がお分かりいただけたでしょうか。

どんなにカウンセリング理論について詳しくなっても、
心理学者として考えることができなければ、
実際の現場において、
カウンセリング理論を応用していくこともまたできません。

特に、最近のスクールカウンセラーばやりによって、
カウンセラーが相談室で、
クライエントを待っていればいい時代は終わりを迎えています。

現場では、心理学者として主体的に考え、
創意工夫できる人間が求められているのです。

そのためには、
専門家としての研究能力が、
これから、現場のレベルでも重要になってくることは、
間違いないところだと考えられます。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。   
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