【Clip! アカデミー】 第34回 2006/2/28
第1週 新章突入!エッセイ号「心の対象図を立てる」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【新サイクル突入!】
2)【心の外にあるもの】
3)【“こころ”の外1:空間】
4)【“こころ”の外2:時間】
5)【心の対象図】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
※文中の図が正しく表示されない場合、等幅フォントでご覧ください※
メルマガの最後に【Outlook Express・Netscape Messengerの場合】
のフォント設定のやり方を載せてあります。
==================================================================
○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【新サイクル突入!】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これまでのClip!アカデミーでは、
“こころ”を様々な視点から捉える試みをしてきました。
構造として、
過程として、
歴史として。
これまでは、個人の内的過程、
すなわち、“こころ”を実体として捉える試みをしてきました。
しかし、
そもそも、“こころ”は実体としては捉えきれないものでもあります。
だからこそ、様々な角度から光をあてることで、
“こころ”なるものを浮かび上がらせようとするのが、
本メルマガのコンセプトでもあります。
実体としての“こころ”を一通り検討したあとは、
一度そこから離れ、
俯瞰的な視点から“こころ”を見ていきたいと思います。
前回の、心の研究法図はその意味で、
“こころ”そのものではなく、
それを捉える道具からの検討でした。
今回から始まる新しい図式では、
同様に“こころ”そのものではなく、
“こころ”の外にあるものとの比較から、
“こころ”を捉える試みをしていきましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【心の外にあるもの】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
それでは、心の外にあるもの、とはなんでしょうか。
厳密に考えていくと、
様々な言い方ができそうですが、
ここでは、大雑把に“対象”としておきましょう。
=======================
┌-----┐ ┌----┐
|”こころ”| ⇔ | 対象 |
└-----┘ └----┘
=======================
“こころ”の外には、“こころ”の対象があります。
我々の“こころ”の外にあるものは、
たとえば、衣服、歯ブラシ、テーブル、朝食、家族、マンション、
街路樹、空、太陽…と、無限に続いています。
それは本来なら、心理学以外の学問、
たとえば、物理学とか、化学とか、
そういった自然科学の領域であるはずです。
しかし、本当にそうでしょうか?
物理法則に従う物質としての外界は、
“こころ”と切り離して客観的に論じることのできる、
心理学に無縁の世界なのかもしれません。
ただし、それが“こころ”に対して存在するもの、
言い換えると、“自分以外のもの”としての
“対象”として論じられるとき、
心理学にとっても“こころ”にとっても、
重要なトピックになります。
なぜなら“こころ”は、
“こころ”以外のものがなければ成り立たないから。
そして、外とのかかわりの中にこそ、
“こころ”を考えていくにあたっての、
重大なテーマが存在しているためです。
つまり、
“こころ”が対象としているものとの比較の中から、
“こころ”そのものが見えてくるのではないか。
このような位置づけで、
“こころ”と、その対象について考えていきましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【“こころ”の外1:空間】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
“こころ”の外にあるものとして、
対象を考えていくとき、ふたつの軸を考えることができます。
ひとつは、空間。
“こころ”には、内側と外側の区別があり、
外側は、我々人間の視点からすると、
無限に空間的広がりを持っています。
● 心の対象図1(仮)
=======================
※たとえば他人
┌-----┐ ┌----┐
|”こころ”| ⇔ | 対象 |
└-----┘ └----┘
←-------------------→
空間的広がり
=======================
人間の“こころ”がいかなるものであれ、
我々の内側にあるものとして身体に位置づけられている以上、
身体の外側は、“こころ”にとっても、
便宜的には外側として認識されています。
(ただし、身体性の議論からは、
クルマの車幅を、自分の体の延長のように感じることができるように、
必ずしも“こころ”を、皮膚の内と外でハッキリ分けられるわけでは
ないことが知られています。)
我々は、自分、として認識しているものと、
自分以外、つまりこころを向ける対象との関係を、
多くの場合、空間的な距離として認識しています。
自分に近いものと遠いもの、
似ているものと似ていないもの、
自分ではないものとの比較によって、
自分が明確に位置づけられることになります。
空間的な比較の中で、“こころ”と対象とを比較する。
こうしたシンプルな“こころ”の捉え方の代表が、
心理学でいう個人差研究です。
自分の外にいる他人。
個人差を研究するとき、
我々は、今までのように、
“こころ”を内的過程に限定して捉えることが
できなくなります。
むしろ、“こころ”の外側との関係を
考慮して初めて、個人差、という発想が出てくるのです。
自分の“こころ”という点だけでは捉えきれない、
外に広がっている、無数の同じような“こころ”。
パーソナリティや、IQなどの研究は、
その違いを比べることで、
今この瞬間の“こころ”だけを見ていては分からない、
“こころ”全体を捉えようとするのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)【“こころ”の外2:時間】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
もうひとつは、時間。
これまでは、今ここでの“こころ”として、
時間的要素を便宜的に考慮に入れない形で論じてきました。
しかし、“こころ”の外は、
空間だけでなく、過去と未来にも広がっています。
● 心の対象図2(仮)
=======================
時間的広がり
↑
| ┌-----┐
| |”こころ”|
| └-----┘
| ↑
| ↓
| ┌----┐
| | 対象 |※たとえば過去の自分
↓ └----┘
=======================
心理学における時間の扱われ方を、
哲学や脳科学のそれと比較するのも面白いテーマですが、
ここではもっと基本的な“こころ”の捉えかた、
という視点に徹しましょう。
心理学における“こころ”の捉えかたに、
非常に大きな影響を与えたのは、ダーヴィンの進化論です。
生命が、単純な生命から複雑な生命へ進化し、
また、個体発生において、その過程を繰り返す、
という生物学上の発見は、
すぐさま、“こころ”の捉えかたにも影響を与えました。
現在の“こころ”の外側には、
過去の“こころ”の在り様、未来の“こころ”の在り様が
広がっている。
時間的広がりの中で“こころ”を捉えるということは、
“こころ”の現在を、過去と未来との比較において
捉えるということです。
その移り変わりにある、なんらかの法則を把握することで、
“こころ”の在り様を、
より全体的に捉えることができると考えられるようになりました。
これが、発達という考え方です。
こうした捉え方は、
我々が、これまで検討してきた、
心の様々な側面すべてに適用することができます。
【意識】の発達、【認知過程】の発達、などなど…。
こうして、発達という捉え方は
現代心理学において、非常に重要な位置を占めています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5)【心の対象図】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
“こころ”と対象を、時間的・空間的比較から捉えると、
より大きな“こころ”の全体像に迫ることができます。
このように、“こころ”の外にあるものから、
“こころ”の在り様を捉えようとする視点は、
ある瞬間の“私”の“こころ”の静的な在り様だけを
論じる中からは出てこない視点を提供してくれるのです。
以上、“こころ”の外に広がる二つの軸を、
いつものように仮に図式で表してみましょう。
● 心の対象図(仮)
=======================
時間的広がり
↑
| ┌-----┐ ┌----┐
| |”こころ”| ⇔ | 対象 |
| └-----┘ └----┘
←+-------------------→
| 空間的広がり
↓
=======================
次回以降、
この図式から、“こころ”と対象についての
検討を深めていきたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次回 【問題号】… 3月7日(火)にお送りする予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
● わかりたいあなたのための現代思想・入門 小阪 修平 志賀 隆生
竹田 青嗣著 2000 宝島社
● 心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 高野陽太郎・岡隆 編
2004 有斐閣
● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月も終わりですね。
4月から、新しいスタートを切る方も多いことと思います。
Clip!アカデミーも、新たに新章に突入しました。
今回は、“こころ”を、外側から見ていきます。
Clip!アカデミーでは、
心理学の対象を、様々な視点から立体的に捉える試みをしています。
なぜかといえば、
これまで何回も繰り返してきたことですが、
“こころ”は一つの側面からでは捉えきれないからです。
勉強は勉強、そもそもが大変で単調な作業を
避けることは出来ません。
しかし、本メルマガでは、教科書レベルの知識を元に、
教科書とは違った視点から、
“こころ”を捉えていくことを目指しています。
これからも、Clip!アカデミーの新しい試みに、
お付き合い下さい。
====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2006年2月28日火曜日
【Clip!アカデミー】第34回:新章突入!「心の対象図」
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿