【Clip! アカデミー】 第75回 2007/3/27
第1週 エッセイ号「心の総合図を生かす」
◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆
http://www.clinicalpsychology.jp/
◆目次◆
1)【前回のまとめ】
2)【心の総合図アプローチ】
3)【心の総合図の可能性】
4)【心の総合図の課題】
5)【最初に戻る】
【次回配信日】
【参考文献】
【編集後記】
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○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○
◆ 【Clip!アカデミー】は、
心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
無料心理学メールマガジンです。
■ 基本サイクル ■
※【今回はこちら!】 第1週「エッセイ号」…問題提起
↓
第2週「問題号」…練習問題
↓
第3週「解説号」…確認とフィードバック
↓
第4週 基本的にお休み
(特別号が配信される場合があります)
↓
■ 第2サイクルへ続く ■
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1)【前回のまとめ】
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これまでの【Clip!アカデミー】では、
心理学の全体について、様々な捉え方をまとめ、
紹介する努力をしてきました。
その目的は、心理学の勉強、それも、
勉強をする上でもっとも忍耐を必要とする、
基礎心理学のまとめと暗記の作業に、
役に立つことにあります。
心理学部で4年間、基礎的な訓練を受けてきた人たちと比べて、
心理学にはじめて触れる初学者が
概論書を手にとって最初に感じるのが、
心理学の全体像のつかみにくさです。
全体像をつかみにくいこと自体が、
心理学の特徴であることは、
これまでのメルマガの中でも、たびたび強調してきました。
しかし、この特徴は、
初学者が心理学の基礎的学力を身につける上で、
大きなネックとなります。
全体像の見えなさ、見通しのつかない曖昧さはしばしば、
初学者のモチベーションを下げ、
毎日の地道な勉強を、体系的な知識から、
無意味つづりのように無味乾燥な、断片にしてしまうからです。
入門書のまえがきを読み比べれば、
どの編著者たちも、この点をどう克服するかについて、
いかに心を砕いているかが分かるでしょう。
しかし、現時点では、
それぞれの学習者が、自分なりに解決策を見出すか、
あるいは、中途半端なまま受験勉強として割り切るか、
の二択を迫られることになるのです。
本メルマガの目指す目標は、
全体を網羅せざるを得ない教科書に対して、
異なる角度から、
心理学の全体像を提示することです。
現時点では、実験的な要素も含みますが、
心理学の持つあいまいさに対して、
様々な角度から全体像を捉えようと試みることで、
その全体を浮かび上がらせようとしてきました。
それが、心の総合図は作りえるか?
という問いにつながっていったのです。
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2)【心の総合図アプローチ】
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心の総合図とは、
ここでは、仮に、ひとつの図式によって、
心理学の全体像を示したものとしておきましょう。
心理学が、あいまいさによって、
用意に全体像を把握させないということは、
このような図式化が困難であることを示しています。
本メルマガがこれまで行ってきたアプローチである、
●心理学ついて新しい図式を立てる
●図式からの全体像の把握
●その図式では捉えきれない部分の指摘
という3段構えの論理も、
常にひとつの図式では捉えきれない、
という心理学の特徴を、繰り返しによって、
より具体的に示してきたといえるでしょう。
どこまでも繰り返すことが出来る、
つまり、完結しない、
という点を強調した心の総合図のイメージが、
以下のイメージです。
●【心の総合図2】(イメージ)
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□
□
■ ■ □
■ ■ □
■ * * * * ■ □
□ * “心” * ■ □
□ * ■ □
□ * + + ■ ■ □
□ □
□ □
□ □
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“こころ”をめぐって、
どこまでも新しい図式を立てていくことができる、
という点が、ラセン状に連なっていく四角形で示されています。
心の総合図は、完結しないジグソーパズル
のようなものなのです。
そこに、どんな絵柄が浮かび上がるのか、
は、いまだにハッキリしていません。
それがそのまま、“こころ”の理解の現状なのだといえるでしょう。
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3)【心の総合図の可能性】
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しかし、このようなイメージでは、
けっして、心の全体像を捉えさせるような総合図には
ならないことは、もはや明白です。
それでは、逆に総合図が作れる、
ということは、どういうことなのでしょうか。
それは、心理学研究が、ひとつのパラダイムに統一される、
ということです。
基本的には、
クーンの提唱したパラダイム(もしくは専門図式)は、
自然科学において、一度に1つだけ存在するものです。
たとえば、物理学において起こった、
アインシュタインの相対性理論による、
ニュートン力学からのパラダイムシフトのように、
二つのパラダイムが同じ位置を占めることはありません。
このパラダイムシフトの前と後とでは、
我々にとって、時間と空間の意味が、
大きく変わってしまうことになりました。
つまり、これまでとは、
前提となるパズルのルール自体が変わってしまったのです。
だから、心の総合図が作りえる可能性があるとしたら、
我々の“こころ”の捉え方が決定的に
変わってしまうような、
何か根本的な変化が心理学に起こったときでしょう。
すでに、立花隆は、2005年11月のNHKスペシャルにおいて、
脳科学の周辺領域において、
脳の神経インパルスを電気信号に置き換え、
意図するだけで機械の義手を動かすチップの開発風景を紹介しています。
ほかにも、人間や“こころ”そのものへの
見方を変えてしまうような、科学技術の進歩が
ところどころで進んでいます。
そうした中で、
果たして心理学のパラダイムシフトは、
起こるのか、起こらないのか。
皆さんも考えてみてください。
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4)【心の総合図のこれから】
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この4月で、【Clip!アカデミー】は、
連載を開始して丸2年を数えます。
最後に、“こころ”を、様々な側面から検討してきた、
心の総合図のアプローチのこれからについて検討していきましょう。
以下にあげたのが、これまでに立ててきた図式です。
【心の構造図】
【心の過程図】
【心の歴史図】
【心の研究法図】
【心の対象図】
【心の関係図】
【心の物語図】
【心の実践図】
:
↓
“こころ”を捉えるための図式を立て、
その図式では捉えられない部分を、課題として、
次の図式を立てていく。
ちなみに、臨床心理学は、この図式の中でも、
心の実践図の中で検討されています。
臨床心理学が応用心理学に位置づけられるのは、
こうした様々な“こころ”の捉え方を前提として、
成立しているからである、
というのはいいすぎでしょうか。
つまり、この繰り返しは、理論上、どこまでも
続けていくことが可能かもしれませんが、
後に行くほど、前の内容を踏まえた、
より応用的・抽象的な議論になっていることがわかります。
ここで、我々は、
1)このまま、先に進む。
2)もう一度、はじめから捉えなおしをする。
という二つの選択肢から、ひとつを選ぶ必要がありそうです。
本メルマガは、
初学者の勉強のサポートという意味合いの強いものです。
特に、
心理学の勉強を続ける上で有益な、
心理学の全体像のイメージ。
それを、読者の皆さんと積み上げていくことが、
重要な目的のひとつになっています。
そのためには、
新しい見方を突き詰めていくよりも、
繰り返し、前提となっている心理学におけるモノの見方を、
捉えなおしていく方が、有益かもしれません。
また、勉強は、はじめに戻っての繰り返しが基本です。
全体を捉える試みを、
最初に戻って繰り返し積み重ねていくことで、
知識はより豊かに育っていくでしょう。
そこで、本メルマガも、
新しいアプローチでの、2巡目に突入したいと思います。
最初に戻るといっても、
スタートラインは、第1回とはすでに異なります。
これまで読まれてきた読者の皆さんにも、
きっと新鮮なモノになるのではないかと思います。
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5)【最初に戻る】
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心理学の勉強を続ける上で有益な、
心理学の全体像のイメージ。
それを、どのように捉えることが出来るでしょうか。
それは、これからのメルマガで
ともに模索していきましょう。
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【次回配信】
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次回 【問題号】… 4月3日(火)にお送りする予定です。
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【参考文献】
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● 2005年11月5日放送NHKスペシャル
「立花隆最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える」
● 現代心理学〈理論〉事典 2001 中島義明 編 朝倉書店
● 心理学物語-テーマの歴史 R.C.ボールズ著 富田達彦訳 2004 北大路書房
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【編集後記】
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皆さんのおかけで、この4月で、本メルマガも丸2年を迎えます。
受験勉強とはいえ、
その先の勉強に、つながるような、
意味のある勉強をしてもらいたい。
受験勉強に意味を感じられないなら、
それはどこに問題があるのか。
受験勉強が厳しい単純作業であることは、
変えられません。
逆に、近道をしようとすれば、
必ずどこかで落とし穴にはまるでしょう。
厳しい単純作業を地道に続けながら、
心理学の勉強に、意味と意義を感じてもらいたい。
その思いから始まった本メルマガですが、
また4月から、初心に戻って、
皆さんの役に立つ情報を発信していきたいと思います。
これからも、【Clip!アカデミー】をよろしくお願いいたします。
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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座
http://www.clinicalpsychology.jp/
※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。
無断転載・転用を禁止します。
2007年3月27日火曜日
【Clip!アカデミー】第75回:エッセイ号「心の総合図を生かす」
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