臨床心理士指定大学院受験講座が提供している、心理学・臨床心理学を学ぶ方を対象とした、メールマガジンのバックナンバーサイトです。 http://www.clinicalpsychology.jp/

最新のバックナンバー

2007年6月5日火曜日

【Clip!アカデミー】第83回:解答号「基礎心理学から:感覚と知覚

【Clip! アカデミー】 第83回 2007/6/5
第2週 解答号「基礎心理学から:感覚と知覚」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
  http://www.clinicalpsychology.jp/


      ◆目次◆

           1)【現在地】
           2)【論述問題】
           3)【論述問題の解答】           
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】



==================================================================


   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「出題号」… タネをまく
                 ↓  (基礎概念と論述問題)
 ※【今回はこちら!】 第2週「解答号」… 深める 
      ↓    (論述問題の解説)
         第3週「確認号」… つなげる
                 ↓    (関連諸分野から)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1)【現在地】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


【現在のテーマ】 2ヶ月目 基礎心理学から
             「感覚と知覚」

       ================

        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
【NOW!】← 2ヶ月目 基礎心理学から
  |     3ヶ月目 応用心理学から
  |     4ヶ月目 臨床心理学から
  |     5ヶ月目 心理学研究法から 
  |
  |    ================
  ↓

  ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~
  
  前回出題した、論述問題の解答例を取り上げます。

  第1週で取り上げたテーマを、
  深めていくことが目的です。

  その中から、今度はテーマを心理学全体に
  広げていくためのきっかけが見つかるでしょう。

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2)【論述問題】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ヘルムホルツの無意識的推理について説明し、それが知覚研究に与えた
影響について考察しなさい」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3)【論述問題の解答】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「無意識的推理」とは、
ヘルムホルツが空間知覚を説明するために導入した概念である。

感覚が生じると、それが対象についての概念の形成を可能にする。

無意識的推理とは、
そのようにして形成された概念から、
実際の刺激対象を推理する過程である。

無意識的推理の過程は、
意識的行為とは異なり、
即時的に、我々の意思とは無関係に生じ、
先行経験に依存するという特徴を持つとされた。

このことは、様々な感覚における錯覚現象に、
端的に現れる。

たとえば、主観的輪郭においては、
我々がその種明かしを知っていたとしても、
止めることは出来ないし、
断片的な情報にも、我々の知覚は、
見慣れたパターンを見出してしまうことがわかっている。

ヘルムホルツの無意識的推理は、
それまで生理学的なメカニズムとして解明されようとしていた
感覚-知覚過程に、心理学変数が導入されたことを意味する。

すなわち、ここから、科学としての心理学の必要性が
生じたことが、ひとつの歴史的意義であった。

感覚は、受容器の生理学的構造と、
感覚刺激がどのように神経信号に変換され、
感覚が生じるか、という問題に還元することが出来る。

物理学者であり、生理学者でもあった
ヘルムホルツは、主に色覚と聴覚の分野において、
これを証明して見せた。

しかし、ヘルムホルツは、知覚の分野においては、
我々が光の刺激から「並木道」や「曇り空」を見ることを、
純粋に生理学的メカニズムだけで説明しきれなかったのである。

知覚の持つこのようなジレンマは、
現在も変わらず残されている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4)【論述問題の解説】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


感覚・知覚の領域は、
もっとも早くに生理学から出発し、
心理学が生まれた領域です。

その特徴として、自然科学的な研究が比較的容易でありながら、
人間の心理過程について、
重要な示唆が得られる点が挙げられます。

そもそも、我々の体験世界を構成しているメカニズムは、
どのようなものなのか。

特に知覚過程は、
古くから哲学や宗教の中で考えつくされてきた、
存在論的な問いにまで、
接近していくことになるのです。

この点が意識されると、
興味を持って、取り組めるような気がします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【次回配信】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

   次回 【確認号】… 6月12日(火)にお送りする予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【参考文献】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


● 心理学 鹿取廣人・杉本敏夫編 1996 東京大学出版会

● 心理用語の基礎 東洋・大山正・詫摩武俊・藤永保編 1973 有斐閣

● 心理学物語 -テーマの歴史- R・C・ボールズ著 2004 北大路書房  

● キーワードコレクション 心理学 重野純 編 1994 新曜社


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


感覚・知覚領域は、文系の心理学学習者にとっては、
とっつきにくいことが多いようです。

理由の多くは、
自然科学についての訓練を受けていないこと、
もともとの関心の方向が異なること、
などによるでしょう。

数式嫌いを克服するためには、
基礎から積み重ねていく以外に方法はなさそうですが、
関心の方向が異なることについては、
どのように繋げればいいか、を考えることで、
多少はモチベーションが異なってきます。

知覚研究は、そのような意味で、
生理学的な研究と、心理学的研究の、
ちょうど交点にあるようで、面白い領域だと思います。

最近だと、テレビでもよく見る
茂木健一郎が、大脳生理学の観点から、
知覚についても発言しています。

====================================================================
送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/  
 ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座に帰属します。   
 無断転載・転用を禁止します。

0 件のコメント: