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2008年1月22日火曜日

【Clip!アカデミー】第108回:応用号「心理学研究法から:条件統制(condition-control)」

【Clip! アカデミー】 第108回  2008/1/22
第2週 応用号 「心理学研究法から:条件統制(condition-control)」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座
 http://www.clinicalpsychology.jp/

  
      ◆目次◆
           1)【現在地】
           2)【フィッシャーの実験計画法】
           3)【解説:知識の根っこ】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
     心理用語を紹介するだけの従来の心理系メルマガとは異なる、
     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
     無料心理学メールマガジンです。
   
            ■ 基本サイクル ■
            第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
 ※【今回はこちら!】 第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
            第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

   ○ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  ○

 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 



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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 2巡目5ヶ月目 心理学研究法から
        「心理学研究法から:条件統制(condition-control)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
   2ヶ月目 基礎心理学から1
      3ヶ月目 基礎心理学から2
        4ヶ月目 臨床心理学から
  【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から 
   |    ↓
    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
   |  ======================
   ↓

 ● 第1週「理論」号
  「心理学研究法から:条件統制(condition-control)」はコチラ↓

http://clipseminar.blogspot.com/2008/1/107condition-control.html

 ● 第2週「応用」号
  「心理学研究法から:条件統制(condition-control)」はコチラ↓

  ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   知識のタネをまいたら、
   次にすることは、水をあげること。

   いろいろな方向から刺激してあげることで、
   知識を様々なイメージで膨らませていくことが出来るでしょう。

   応用号では、
   理論号で紹介した概念について、
   今度は具体例などを紹介しながら肉付けしていきます。

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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http://clipseminar.blogspot.com/


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2)【フィッシャーの実験計画法】
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統制について教えてくれる、
もっとも代表的なものとして、
イギリスの統計学者フィッシャーの開発した
実験計画法があります。

フィッシャーは、
試験農場での実際の仕事を通じて、

●層化の原理
●無作為化の原理
●反復測定の原理

の三つの原理を基本とした独自の統計理論を
打ち立てました。

4種類の肥料、あるいは、
肥料の量を4段階に分けて、
収穫量に対する効果を知りたい場合を考えましょう。

フィッシャーの基本原理に従って、
実験計画を立てるとすると、

層化…農地をいくつかの区画に分割する

無作為化…それぞれの区画に、
     無作為に肥料の条件を割り当てる

反復測定…各肥料を散布する区画は、
     1ヶ所ではなく、数ヶ所づつ用意する

などがそれにあたります。

なので、実際には、
ひとつの農地を12個の区画に分けて、
それぞれの区画に、
ランダム(無作為)に4つの肥料のひとつを選んで、
散布することになります。

4つの肥料は、それぞれ3つの区画に
散布されているようにします。

こうすれば、
最終的には、ひとつの肥料につき、
三ヶ所からの収穫量データが得られることになります。

実験計画法では、
独立変数である肥料を要因、
量や種類を変えるなど、その操作を処理、
処理の結果できた条件を、水準と呼びます。

すなわち、今回ならば、
1要因4水準の実験計画を立てたことになるのです。

要因=肥料

水準=肥料の種類

区画=A~L

       排泄物 枯葉 化学肥料 貝殻  
       ==============
        A   D   G    B
        H   E   L    C
        I   F   J    K                 
       ==============    


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3)【解説:知識の根っこ】
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たとえば、
優れた苗や肥料を作り出したいとします。

そのためには、
農場での収穫を、
苗や肥料の違いから比較するという手続きが
必要になるでしょう。

前回確認したとおり、
この手続きを行うためには、
苗や肥料を独立変数とみなして、
そのほかの条件はすべて統制し、
均一にしなければなりません。

しかし、
農場は実験室やシュミレーションのように、
簡単に統制は出来ません。

同じ農場の中でも、
農地によって日当たりや水はけなど、
無数の条件の違いが存在し、
それは環境要因の影響として結果に混入することになります。

その違いを統制するための工夫が、
フィッシャーの挙げている3つの原理です。

肥料の割り当てを端から順に行っていたら、
端のほうが水はけが悪かった場合など、
環境要因の違いが、
結果の偏りとして現れてしまうかもしれません。

ひとつの水準を反復して測定することで、、
ひとつの水準の中での偶然の誤差を考慮することができます。

こうしたフィッシャーの工夫は、
広大な農地をいかにして均質にするか、
という現場の条件から生まれたものです。

ですから当然、
何を知りたいのか、
何を対象にするのか、
によって、工夫は変わってくることでしょう。

ここで重要なのは、
自分が与えられている環境や制限のなかで、
どうやって均質な条件を作り出すか、
という頭の使い方です。

そう考えると、
実験計画法でフィッシャーが論じている統制の工夫は、
研究だけでなく、
現場においても大きな示唆を与えてくるのではないでしょうか。

 
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【次回配信】
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   次回 【展開号】… 2008年1月29日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 心理学辞典 中島義明 編 1999 有斐閣


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【編集後記】
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我々は統計学者ではないので、
フィッシャーが行ったように、
実際の現場での工夫から、
新しい統計理論まで構築してしまうようなことは、
なかなかマネ出来ません。

ですが、マネ出来るところがあるとしたら、
それは、彼がどのような状況の中で、
どのような課題にぶつかり、
それをどのように乗り越えたか、
ということでしょう。

似たような状況があれば、
フィッシャーの出した答えを、
そのままお借りすることさえ出来るかもしれません。

実験計画法で我々がしていることは、
まさにそれです。

しかしそれも、
そもそも彼がどういう状況に対する
答えとしてそれを行ったのか、
に対する想像力が欠けていれば、
的外れなものになってしまうでしょう。

統計は難しいので、
よほど数学に向いた人でなければ、
敬遠したくなってしまうのが実際ですが、
こうした実践や現場に根ざしたエピソードは、
だからとても貴重なものだと思います。


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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座 
 http://www.clinicalpsychology.jp/    
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