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2008年6月3日火曜日

【Clip!アカデミー】第122回:理論号「心理学研究法から:一事例実験計画」

【Clip! アカデミー】 第122回 2008/6/3
第1週 理論号 「心理学研究法から:一事例実験計画(single subject designs)」

◆提供:臨床心理士指定大学院受験講座◆ http://www.clinicalpsychology.jp/
  
      ◆目次◆

           1)【現在地】
    2)【一事例実験計画(single subject designs)】
           3)【解説:知識の種】
             【次回配信日】
             【参考文献】
             【編集後記】

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   ○ ~~~~~~Clip!アカデミーサイクル~~~~~~ ○

    ◆ 【Clip!アカデミー】は、
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     1ヶ月(3週)1サイクルで完結するユニークな
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            ■ 基本サイクル ■
 ※【今回はこちら!】 第1週「理論号」… 知識のタネをまく
                 ↓  (用語説明から)
            第2週「応用号」… 知識の根を伸ばす 
      ↓  (具体例を中心に)
            第3週「展開号」… 知識をつなげる
                 ↓  (テーマを展開する)
           第4週 基本的にお休み
         (特別号が配信される場合があります)
               ↓
            ■ 第2サイクルへ続く ■

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 ※ 【初めてお読みになる方は、こちらもご覧ください。】

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/04/clip.html

 ● 0ヶ月目 ガイダンス号2
   http://clipseminar.blogspot.com/2007/09/94clip.html 


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1)【現在地】
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【現在のテーマ】 3巡目5ヶ月目 心理学研究法から
         「一事例実験計画(single subject designs)」

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        0ヶ月目 (ガイダンス号)   
        1ヶ月目 心理学の歴史から
        2ヶ月目 基礎心理学から1
        3ヶ月目 基礎心理学から2
        4ヶ月目 臨床心理学から
  【NOW!】5ヶ月目 心理学研究法から 
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    |  【※違うテーマではじめから繰り返します。】
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 ● 第1週「理論」号
「心理学研究法から:
 一事例実験計画(single subject designs)」はコチラ↓

   ~~~~~~~~~~【今週】~~~~~~~~~~~~~~

   用語説明は、知識のタネです。
   
   勉強、特に受験勉強においては、まずはたくさんのタネを
   自分の脳の中にまかなければなりません。
   
   タネは小さくてかまいません。

   逆に、完ぺき主義はいい結果を生みません。
   
   はじめはできるだけコンパクトな知識からはじめましょう。    
   
   しかし、そこで勉強は終わりではありません。

   そこからが、勉強のスタートなのです。    
   
   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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2)【一事例実験計画(single subject designs)】
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今回は心理学研究法から、
「一事例実験計画(single subject designs)」
を通して、心理学について考えていきましょう。


============用語説明==============

単独事例を対象に、
独立変数と従属変数との間の「因果関係」を
検証するために計画される実験手法のことを指す。

行動主義の中でも、
今もって確立された方法論を持ち、
臨床実践においても優れた成果を挙げている
応用行動分析において主に用いられている。

この研究法の特徴は、
統制群と実験群の設定、
複数の被験者への反復測定といった
群間差を比較するための統計的手法を用いずに、
単一事例(一人でも一クラスでもよい)における
独立変数と従属変数との間の因果関係を、
検証することができる点にある。

独立変数には行動への介入を設定し、
従属変数には変化を望む行動を設定する。

手続きとしては、
まずはじめにベースラインを設定し、
介入前の行動を記録する。

続いて、
介入を行った後に見られた行動を記録する。

ここまでは事前事後実験計画と同様だが、
因果関係の検証をするためには、
さらに、介入を取り去り、
ベースラインに戻した状態で、
もう一度行動を記録することになる。

このとき、
行動が介入前の状態に戻っていれば、
行動の変容は外的要因ではなく、
介入によるものである可能性が高い。

すなわち、
行動の変容と介入との間に、
因果関係があることになる。

これを、特に反転法あるいは、ABA法と呼ぶ。

そのほかにも、
多層ベースライン法や条件交替法など、
様々な方法が工夫されている。


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3)【解説:知識の種】
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スキナー派は、
行動主義の中でも、
徹底的行動主義と呼ばれ、
早くから臨床現場、教育現場における
学習理論の応用に進出し、
行動の制御について、
実践的な研究を多く行ってきています。

現場においては、
治療や教育を行いながら、
同時に研究を行うことがほとんどです。

そのため、
実験室のように被験者を募り、
条件を統制して理想的な状況を作ったうえで
厳密な実験を行うことは、
実質上不可能になります。

また、
統制群と実験群を設定することも、
現場においては被験者への不平等を意味します。

このような現場の制限を、
科学として乗り越えようとする、
心理学の回答のひとつが、
一事例実験計画であるといえるでしょう。

方法論がシンプルで明快であるため、
訓練と経験を積むことで、
教育現場や、臨床現場においても、
比較的導入しやすく、
成果が期待できる方法であるといえます。


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【次回配信】
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   次回 【応用号】… 2008年6月10日(火)にお送りする予定です。

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【参考文献】
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● 行動分析学入門 杉山尚子 著 2005 集英社新書

● はじめての応用行動分析 P.A.アルバート A.C.トルートマン 著
  1992 二瓶社


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【編集後記】
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一事例実験計画は、
心理学の、というより、
現時点では行動分析に固有の研究法といったほうが、
正確かもしれません。

研究法は、
それが生み出された状況や社会、
時代からの要請を、
色濃く反映しています。

多くの場合、
矛盾し、対立する要素を、
いかに両立させるか、
が重要になります。

現場で使える研究法として、
アクションリサーチや、事例研究など、
様々な研究法が考案されていますが、
因果関係の検証ができる可能性のある研究法というと、
なかなかありません。

もちろん、
その一方で様々な限界があるのは当然ですが、
このように難問を解決し、
新しいやり方を考案していく姿勢は、
大切にしていきたいものです。




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送信者:臨床心理士指定大学院受験講座  http://www.clinicalpsychology.jp/    ※Clip!アカデミーの記載内容は臨床心理士指定大学院受験講座 に帰属します。無断転載・転用を禁止します。

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